特捜最前線とは (トクソウサイゼンセンとは) [単語記事]

愛と死と憎悪が渦巻くメカニカルタウン。
非情の犯罪捜査に挑む、心優しき戦士達。
彼ら特捜最前線。

--オープニングナレーションより

特捜最前線とは、1977年 4月から1987年 3月までテレビ朝日系列で放送していた刑事ドラマ。全509話。
ファンからは『特捜』と呼ばれている。

概要

東京総合ビル33階の一室に置かれた警視庁「特命捜査課」に所属する刑事たちが、現実に悩みながらも、事件を解決していく姿を描く。担当する事件は「行方不明になった子供の捜索」から「特殊爆弾による爆破阻止」まで幅が広い。他の刑事ドラマでは部署内で怒る相手はミスをした部下や後輩であるが、この作品では同僚や先輩刑事、時には課長に対して怒りを見せるシーンもある。ほぼ全話で俳優・二谷英明演じる特命捜査課の課長・神代恭介が登場する。

キャストには、藤岡弘、荒木しげる、誠直也、桜木健一といった東映の特撮作品で主人公を演じた俳優が多いためか、通称・特撮最前線と言われることがある。また、ナレーションも第53話から最終回まで故・中江真司が担当していた。だから特撮作品っぽい感じが・・・

オープニングナレーションは上記のものが第105 ～435話の長きにわたって使われているため、最も有名である。
このバージョンが使われている間、パリ（第200～201話）、沖縄（第365話）、ベルギー（第407 ～408話）へと出向く場合があり、この時は別のナレーションが使われている。

日産自動車が番組終了までスポンサーを続けていたので、当時最新の日産車が登場をする。特に神代課長役の二谷英明は、1972年から1987年まで15年間高級車・セドリックのイメージキャラクターを務めていたため新型が登場するたびにセドリックが代わるので、『特捜最前線＝日産＝セドリック』という構図が出来たため、宣伝効果が抜群であった。現在でも東映制作枠の刑事ドラマでも日産自動車がスポンサーに付いているのもこのため。

またエンディング曲の『私だけの十字架』は、イタリア出身のナポリターナ歌手のF.チリアーノ（Fa usto Cig liano）が歌う。第115話に本人が登場をして『私だけの十字架』を歌唱している。
ちなみに、よく同一人物だと勘違いされていることだが、チリアーノとクロード・チアリは全くの別人である。

長年水曜夜 22時に放送されていたが、1985年に「ニュースステーション」の放送開始に伴い玉突き移動で木曜 21時放送となる。だが、その時間帯の裏番組「ザ・ベストテン」（TBSテレビ）の影響や視聴者の入れ替わりによって人気が低迷し、1987年 3月に惜しまれつつ終了することとなった。

以来、水曜 21時台でこの作品の流れを汲む刑事ドラマ枠となり現在に至っている。

2009年には家庭教師のトライのテレビCMでこの作品の映像にアテレコしたパロディ CMが放送された（ホットペッパーのCMと同様の手法である）。

2012年 10月にはCS放送の東映チャンネルで25年ぶりに復活を果たす。特命課長には俳優・渡辺いっけいが担当をしている。脚本も本家版も多く担当をした、脚本家・長坂秀佳が新作として執筆をしている。なお、覆面パトカーは日産車ではなく、トヨタ車（なお、トヨタがスポンサーに入っているわけではない）となる。

初期登場刑事

第1話より登場しているのは以下の6名。

神代恭介（演：二谷英明）
船村一平（演：大滝秀治）
桜井哲夫（演：藤岡弘、）
高杉陽三（演：西田敏行）
吉野竜次（演：誠直也）
津上明（演：荒木しげる）

このうち、桜井は第52話でアメリカへ出向という形で一旦退場し、第103話で帰国した。しかしこの事件で特命課と衝突した挙げ句に警部から警部補へ降格となり特命課へ復帰、出ない回もあるものの最終回まで登場した。

また、高杉は演じる西田敏行のスケジュールの都合で第105話をもって降板し、津上はある事件が元で神代に反発し、第147話で神代の命令を無視した挙げ句に殉職、特命課の殉職者第1号となった。

船村は若い刑事からは「おやっさん」と呼ばれて親しまれていたベテラン刑事だが、第128話でガンに冒された妻の看病をするために退職した。しかし、第170話で復帰（その間に妻を亡くして娘と二人でビーフシチューの店を開いていた）し、長期にわたって活躍していたが、自身の心臓病が悪化したことで再び退職し、娘と二人で倉庫番をするようになった。

そして吉野は、第1話から欠席や降板、退場をすることもなく出続けた唯一の刑事だったが、第435話で流血しながらも犯人を説得し、その犯人も応じたため事件解決…と思いきや、逃げそびれたその店のバーテンが犯人に襲いかかったため、はずみで犯人が発砲し、それが吉野の胸を貫いてそれが元で殉職した（殉職者第2号）。
バーテンが余計な事をしなければ吉野が死ぬこともなかったのに……。

その他の刑事は、第52話より紅林（演：横光克彦）、第53話より橘（演：本郷功次郎）、第108話より滝（演：櫻木健一）、第148話より叶（演：夏夕介）、第436話より時田（演：渡辺篤史）と犬養（演：三ツ木清隆）、第441話より杉（演：阿部祐二）が登場し、このうち滝が第169話で退職した以外は皆、最終回まで登場した。