連結器とは、鉄道などの交通機関で車両同士を繋ぐ装置である。
この項では鉄道のものについて説明する。
鉄道はレールの上を忠実になぞって走ることができる。その特性から、極端に輸送量が少ない場合を除き、複数の車両を連ねてひとつの列車としている。これは以下に例を示すとおり、非常に優れた方法である。
これらの目的のために、車両同士を物理的に繋ぐ装置が連結器である。鉄の鋳造で頑丈に作られており、前後に動力を伝え、首を振ってカーブに対応する。
もともと鉄道は馬で客車を牽く馬車をルーツとし、巨大な装置を持つ蒸気機関車で発展した。よって輸送のために車両を連ねるという発想は、ごく自然なものであったと考えられる。
現在使われている連結器には、使用条件によっていくつかの種類が使い分けられている。以下にその代表例と簡単な構造を示す。
なお特筆を除き日本国内の事例を書く。
人間の右手を鉤形に構えた形をしており、どこに荷重がかかるのか一目で分かる。先端が開くことで連結・開放ができ、さらに連結器同士が突き合わされると自動でロックがかかる(名の由来)。開放の際はてこでロックを引き抜くが、てこを強く引くと先端が自ら開く点も特徴である。ロック機構は腕の付け根の内側に入っている。
自動連結器の中でも細かな区分がある。図のように前後に隙間がある(意図的)基本タイプの並形連結器、ロック機構を改良し隙間をなくした密着自動連結器など。これらは一部私鉄の特異なものを除き相互に連結が可能である。
並形連結器に関してはバネ・ネジを一切使用しておらず、注油なしに安全に使用できる。構造もシンプルであり、「究極の組立品」と呼ばれることも。
アメリカで生まれた方式。西部劇の列車強盗シーンなどで、これを銃で撃って開放させる様子が見られることがある。
北海道の鉄道はアメリカからの輸入品で作られたので、弁慶号や開拓使号などは最初からこれを装備していた。
社を問わず機関車・客車・貨車・気動車全般に使われている。気動車と近年の客車は密着自動連結器の採用が多い。また私鉄の電車の先頭でも見ることができるが、これは緊急用としてのものがほとんどである。
ツノとそれが差し込まれる穴が特徴的である。一見頼りなくも見えるが、突き合わされると中央の回転するロック機構が噛みあい抜けなくなる。この構造から「回り子式連結器」とも呼ばれる。開放する際はレバーを引いて回り子を引っ込めてやればよい。
鋳造品を機械加工して作られ、連結後は全く隙間やズレがない。そのため連結器上下には、ブレーキ用の細い空気管が取り付けられている。また連結開放を頻繁に行なう連結部には、配線作業の簡略化のため、電気接点を自動で繋ぐ電気連結器がこれの下部に取り付けられ、連結作業の効率化が図られている。
JR(国鉄)の電車のほとんどがこの連結器を採用している。私鉄では日常的に連結運転が行われている社で採用されていることが多い。
フックにチェーンを引っ掛けて連結を行う原始的な方法。押し縮められる力には、車両に取り付けられたバッファーと呼ばれる大きな緩衝装置のはたらきで対応する。
ねじで隙間なく締め付けるため、乗り心地は自動連結器などより遥かに良く、発進時のショックもない。
この連結器を用いた連結作業では、連結(≒衝突)する車両同士の隙間に作業員が入り込んでいなければならなかったため、死亡事故が非常に多かった。
日本でも鉄道開業以来しばらくこの連結器を使用していたが、1925年7月17日に国内全線を運休し、自動連結器への一斉交換を行った。そのため、古い貨車などにバッファーを取り外した跡が見られることがある。このような対応が取れなかったヨーロッパの鉄道では、未だにこの連結器を使用し続けている。
日本では、愛知県犬山市の博物館明治村の汽車で使われており、機回し時に連結・開放作業が毎日行われている。
工場での検査以外ではまず切り離さないような箇所に使われるのが、棒連結器や半永久連結器である。
前者はその名のとおりただの棒で、連結器一帯を分解することで車両の切り離しができる。後者はボルト締めでの連結となり、連結・開放作業の容易さでは棒連結器以上密着連結器未満である。共に非常に簡単な構造であるため、価格も安いのではないかと思われる。
私鉄電車の編成中間部では両者とも広く使われてきた。国鉄ではほとんど使われてこなかった(全ての連結部に密着連結器を使用)が、近年の新車では半永久連結器が少しずつ採用され始めている。
車両を長く繋いで運転するには、物理的な連結のほかにブレーキや電線の引き通しが必要である。ブレーキは全車に効くことが法令で定められているほか、現在全盛の電車運転には電気的接続が不可欠である。
ブレーキの接続にはエアホースを用いる。通常は連結器の下をたすきをかけるように垂らすか、連結器と並行になるように垂らし、中央のコネクタで繋ぐ。密着連結器には連結器本体の上下にブレーキ菅が付いており、ホースを必要としない。
送られる空気はその編成が採用するブレーキの方式によって、圧力での指令を伝えたり、電気での指令でブレーキシリンダーに供給される。
電気的接続にはジャンパ連結器を用いる。これは何十もの芯を持つ太い電線であり、これを前後の車両の接点に接続する。
密着連結器には自動で接続ができる電気連結器を取り付けることができる。これは箱型で、未使用時に接点部はカバーで覆われている。連結する際はカバーが開き、内側にずらりと並んだ接点同士が接触する仕組みである。
現代の車両では、アクセル・ブレーキ・空調・車内放送など、非常に多くの指令が編成内を伝わっている。
掲示板
7 ななしのよっしん
2011/12/30(金) 16:58:30 ID: ovTryMm/G0
双頭式連結器も頼む。
8 ななしのよっしん
2020/03/04(水) 21:32:53 ID: shy7GY0Hkd
> 1925年7月17日に国内全線を運休し、自動連結器への一斉交換を行った。
運休したのは貨物だけで、客車列車は運休しなかったみたいですね
9 ななしのよっしん
2020/03/18(水) 19:15:24 ID: 7VeGJNGEIV
>>4
実はねじ式連結器でよく見かける「フック左右にバッファーが1つづつ」は急カーブに弱い(模型でもこれがカーブで当たって通れないというのがある)ので、カーブのきついナローゲージでは使用できないケースがある。
そういうところではどうするのかというと、フックの上側にバッファーをつけたり(イギリスのフェスティニオグ鉄道など)、バッファーを中央において左右にフック(スイスのベルニナ線など)などがある。
ちなみに日本と同じ1067mm軌間でもニュージーランド・インドネシアは、今はどうだか知らんが蒸機時代フックが左右のタイプを使用していた。
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最終更新:2024/11/09(土) 11:00
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