キズナアイ
キズナアイとは、世界初のバーチャルYouTuber(自称)でポンコツAIインテリジェントなスーパーAI(自称)である。愛称はアイちゃん。
ゆっくりしていってね♥
主にYouTubeで活動している動画配信者である。一時期ニコニコ動画上ではアーカイブ配信にて活動していた。
他のYouTuberと少し異なる存在として、人間のことを知りたいないし仲良くなりたい、といった目的で動画投稿を開始した。当初の目標は「CMに出ること」であったが、後にこれは叶うこととなる。
字面だけ見ていると間違えてしまいがちだが、名前の正しいアクセントは「キ↑ズナアイ」であり、一般的な「絆」の発音とは異なる(本人は「“川平慈英”と同じ」と表現している)。動画の冒頭でほぼ毎回名乗っているにもかかわらず、企業案件の担当者にすら間違えられることがあり、「いつも見てます!」と言いつつ見ていないことが一発でバレると憤慨したこともあるほどなので、日頃の活動をチェックした上で正しく呼んであげよう。
チャームポイントは生まれたての双葉をイメージしたというハート型のカチューシャや、ピンクのメッシュが入った髪である。
衣装に関しては白を基調としたセーラー服にショートパンツを履いているよう見えるが、彼女曰くこれはホログラムのようなものであるため、常に全裸のようなものとのことである。
一面真っ白で何も存在しない仮想空間、通称「白い空間」を拠点として配信する。私物や小道具もあまりない質素な空間だが、文字通り言葉を気まぐれに作り出す機械「ランダムワード生成機」を所有している。当初は実体を持たなかったが、「Makebox」回で実体化している。また、同回で唯一の家具となるイーゼルも作り出した。
動画の内容としては体力測定してみたり、AI同士の対談をしてみた
り、踊ってみた
り、ゲーム実況してみた
り、友達を金で買った
りとYouTuberらしく様々なことに挑戦している。
ほぼ毎日何かの動画を投稿しているコンテンツの多さは最大の魅力の一つ。通常動画の目まぐるしく変わる表情と共に繰り広げられる小気味良い語りの一方で、ゲーム実況などで見せる歯がゆくも初々しいプレイングやポンコツな一面なども魅力の一つと言える。
「世界初のバーチャルYouTuber」として先陣を切って活動してきただけあり、その人気は凄まじく、2021年1月現在チャンネル登録者数は290万人規模となっており、サブチャンネルであるA.I.Gamesの登録者数も約150万人の規模を誇る。バーチャルYouTuberの総数や各々の人気も拡大していく中で、そのきっかけを作った存在として着実に積み上げてきた人気は確かなものと言える。
「はいどうもー!バーチャルYouTuber キズナアイです!」という当初の挨拶に象徴される通り、元々「バーチャルYouTuber」という用語は、キズナアイ個人のパーソナリティを端的に表現した二つ名として本人も捉えていた。2017年以降、同じようにバーチャルなパーソナリティを持つ存在が増えてきたことで、この用語に彼らを総称する役割が生まれ、またその短縮形として「VTuber」という用語が生まれた経緯がある。こうした経緯から、キズナアイは自分自身を指す際には「VTuber」を使わず「バーチャルYouTuber」という呼称を用いている(「VTuber」が嫌なわけではなく、単に経緯としてより適しているのが「バーチャルYouTuber」だからである)[2]。
2018年12月1日に放送されたBS日テレの冠特番『のとく番』の番組内で、「バーチャルYouTuberっていうのはもう結構広まっているし、あえて自分から言わなくてもいいのかなって」「“キズナアイ”個人としてもっと見てもらいたい」という想いを語り、その翌日に投稿した動画から、挨拶を「はいどうもー!キズナアイです!」に切り替えている(A.I.Gamesでは引き続き「バーチャルゲーマー キズナアイです!」と名乗っている)。YouTube以外での活動も増えてきた現在では、公式プロフィール
などで「バーチャルタレント」という肩書きも用いている。
『美少女戦士セーラームーン』や『カードキャプターさくら』等の一昔前の美少女アニメを主に好む。『ラブライブ!』の矢澤にこも大好きで、にこ目当てに発狂しながらスクフェスのガチャを回す動画を何回か上げている。これらの動画を見る限りかなりスクフェスをやりこんでいることが伺え、キャラ作りでもなんでもなく素のキャラな模様。
アイドルグループの欅坂46の大ファンでもあり、たまに気持ち悪いくらい速い口調で欅坂を語る。自身のTV番組でも土屋プロデューサーに欅坂出演を懇願するほど。
本人は英語があまり得意ではないが、動画が投稿されるやいなや多言語の字幕が追加されるため、世界中にファンが存在し連日多くのファンアートやメッセージなどが寄せられている。また、2018年3月には訪日観光大使に任命されたほか、bilibili動画のイベント『BILIBILI WORLD 2018』にはバーチャルYouTuberとして初のブース出展をしており、海外への活動の幅も広げている。
中華圏でのキズナアイの表記は「绊爱」、愛称の「アイちゃん」は「爱酱」と表記される。その他の海外圏ではTwitter同様に"Kizuna AI"と表記される。
バーチャルYouTuberの後輩と言うべき同業者たちとの関係は概ね良好で、Twitter上ではリプライを交わす姿が見受けられる。ただ、なぜか世界初男性VTuber・ばあちゃるに限っては妙に敵視?している。
後輩のひとりである輝夜月からは“親分”と呼ばれ、その名は他のVTuberにも定着し慕われている。
2018年6月30日、2歳となる自身の誕生日イベント「A.I. Party! ~Birthday with U~」を開催。
前座としておめがシスターズ、小山内めいが登場し、会場を温めた。ゲストとしては輝夜月、ミライアカリ、電脳少女シロ、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん、ばあちゃる、ときのそら、富士葵が登場。祝辞を述べ、「クイズ アイオネア」、「キズナアイ裁判 ニコファーレ特別法廷」等の企画で盛り上がった。
イベント終盤にはサプライズで輝夜月からの手紙が読まれ、多くのキズナー、バーチャルYouTuberファンを感動させた。
2018年7月15日、オリジナル曲『Hello, Morning』をリリース。Amazonデジタルミュージック人気度ランキングで1位、moraランキングで2位を獲得。ここからアーティスト“Kizuna AI”としての活動を開始した(詳細は#アーティスト“Kizuna AI”節を参照)。
同日、TBSテレビ「サンデー・ジャポン」にゲストとして出演。加えてA.I.Channelの登録者が200万人を突破した。
2019年6月30日、3歳となる自身の誕生日イベント「A.I. Party! 2019 ~hello, how r u? ~」を開催。
そのほかにも、2018年4月から2020年9月までの2年半にわたり、BS日テレで自身の冠番組『キズナアイのBEATスクランブル』→『キズナアイのばん組』→『のばん組』→『てぇてぇTV(てぇべぇ)』に出演。また、日本政府観光局から訪日促進大使に任命され、海外向けの日本のアピール動画に出演した。さらに多種多様な企業とのコラボなど、着実に活動の場を広げている。
2017年1月16日頃、突如YouTubeのアカウントが凍結し、動画の視聴および投稿ができない状態になった。すぐにYouTube運営へ異議を申し立てるが熱烈にスルーされて失職した
(バーチャルNEET)。
同年1月26日にようやく凍結解除され完全復活……と思いきや、チャンネルは復活したもののログインができず動画投稿ができない状態になった。
長い戦いの末、同年2月4日にログインもできるようになり無事復職した。
なお、バーチャルニートだった間はニコニコ動画にアカウントを開設し、過去の動画を投稿したりしていた。ニコニコ動画への投稿は現在は行われていないものの、誕生日イベントや超音楽祭などニコニコとの関係は今も続いている。
様々なジャンルとコラボしており、特に有名なのはスマホゲームの『八月のシンデレラナイン』。同作のヒロイン有原翼をこれまで何回か動画内に招待しており、セクハラを敢行したり罰ゲームや宣伝をかけた対決を繰り広げてきた。また、2018年4月1日には友達に逢いたいと称して同作の運営サーバーをハッキングして占拠、数日後にキャラクターとしてキズナアイが実装される珍事も発生した。
2018年10月24日、チャンネル登録者数200万人突破記念として、バーチャルYouTuberで初めてHIKAKINとの対談コラボ動画を公開。続けて東海オンエアとも共演するなど、リアルYouTuberとのコラボを精力的に行った。
他方、同業者とのコラボは以前はあまりなく、2018年4月1日にはそれと明かさずに輝夜月と入れ替わった(と思われる)エイプリルフール動画を投稿し150万再生を突破した程度だった。転機となったのは2018年6月30日の誕生日イベントで、多数の有名VTuberが駆けつけ共演が実現。いわゆる“バーチャルYouTuber四天王”が初めて5人全員公の場に揃う機会となった。
その後、同年7月~8月には『マリオカート8DX』を使った「キズナアイ杯」を開催。こちらは有名無名問わず沢山のVTuberが参加し、大規模な共演企画となった。2018年10月27日にはピーナッツくんのアニメにゲスト出演し、翌28日に電脳少女シロと動画で初コラボ。11月3日にはそのシロに呼び込まれる形でニコニコ超パーティー2018に出演。11月21日には輝夜月とも公式で初となるコラボ動画を公開した。
Tda式モデルで有名なTda氏が制作監修、多数のMMDモデルの制作・配布で知られるトミタケ氏(ニコニコ動画での愛称は「狡猾全裸富竹P」)がモデリングをした、彼女のMMD用3Dモデリングデータが公式サイトにて無償で配布されている。利用規約など詳しくは公式サイトで参照のこと。ニコニコ動画でもMMDモデルを利用した動画が多数投稿され、ミライアカリや電脳少女シロ、ばあちゃる達と踊ったり寸劇を繰り広げている。
オリジナル楽曲のMVなど、アーティスト活動のコンテンツもこちらに投稿されており、基本的にゲーム関連以外のあらゆる動画はこのチャンネルを辿れば触れることができる(カジュアルゲームを使った実況・企画などがこちらに投稿されることもある)。
2017年3月13日に開設されたゲーム実況の専用チャンネル。こちらでの肩書きは「バーチャルゲーマー」となる。こちらもほぼ毎日動画を投稿している。ゲームのジャンルは様々で、和洋、メジャーマイナーインディー問わず様々なゲームに手を出している。
ゲームプレイ自体はお世辞にも上手とはいえないものの、たまに見せる機転の良さには定評がある。が、それ以上にリアクションに定評があり、Fワードを吐く、伏せ字やピー音必須の物騒な絶叫も頻繁に上げ、「ふぁっきゅー!」「ジジイ走るんだよ!」「かっほいひ」等の迷言も多数。
こちらのチャンネルも2018年8月に見事登録者100万人を達成した。
2019年6月29日に開設された、中国で活動するキズナアイ“爱哥(アイガー)”の専用チャンネル。2019年8月22日に運用開始。(詳しくは下記の#分裂(分人)による一連の騒動を参照)
bilibili動画の爱哥専用チャンネル「AIChannel中国绊爱」(2019年12月1日に「AIChannel官方
」から独立)に投稿された爱哥の動画をYouTubeでも視聴できるように用意されたチャンネルであり、基本的にはbilibili動画のコンテンツの一部が改めて投稿されている。逆にYouTubeの閲覧が制限される中国でもキズナアイの活動が観られるよう、A.I.Channelのbilibili動画支部「AIChannel官方
」も引き続き運営されている。
活動最初期から歌ってみた・踊ってみた動画も不定期に投稿していたが、2018年3月18日に開かれたファンミーティングイベント「A.I.Channel Fan Event 2018」で、本格的にアーティストとしてデビューすることを発表した。その後初めて歌唱パフォーマンスでステージに出演したのは、2018年4月29日の「超音楽祭2018」(in ニコニコ超会議2018)である。初めての歌の舞台にして大トリを務め、『金曜日のおはよう』『メルト』の歌唱・ダンスで観客を魅了したほか、この日から“バーチャルグランドマザー”としてバーチャル界にデビューすることとなった小林幸子とも共演し、『千本桜』を2人で熱唱した。
2018年6月30日、自身の2歳のバースデーイベント「A.I. Party! ~Birthday with U~」にて、初のオリジナル楽曲『Hello, Morning
』を披露。7月15日に配信リリースを果たし、ここからアーティスト“Kizuna AI”としての活動を本格的にスタートさせた。ちなみに、これ以前にもキズナアイをイメージして作られたファンメイド楽曲が存在し、中でもsasakure.UK作『Kizuna AI to AI
』は「A.I. Party! ~Birthday with U~」や「hello, world」などで本人が歌唱している。
アーティスト活動開始後間もなく、オランダ出身のDJユニット・W&Wから、声質やバーチャルな存在というパーソナリティを買われたラブコールを受けてコラボが実現し、『The Light』のボーカルとして参加している。
2018年10月25日のライブ配信にて、翌日26日より9週連続で新曲をリリースすることを発表。第一線で活躍するクリエイター陣のプロデュースのもと、『future base
』を皮切りに続々と新曲をリリース。その全てがiTunes Storeエレクトロニックチャートで1位を獲得した。このとき発表された楽曲は、EDM・フューチャーベースなどをはじめとするダンスミュージックの方向性でまとめられており、言語を超えて世界中とつながるツールとして音楽に向き合う本人の想いを体現している。
この9週連続リリース楽曲を引っ提げ、2018年12月29日・12月30日の2日間にわたり、1stワンマンライブ「hello, world」をZepp DiverCity(東京)・Zepp Osaka Bayside(大阪)で開催。バーチャルYouTuberではそれまでにない規模のワンマンライブで、楽曲をプロデュースしたクリエイターも出演し、DJパフォーマンスを織り交ぜた構成で会場を盛り上げた。2019年5月15日にリリースされたアルバム「hello, world」のDVDに、大阪公演の本人歌唱パートが収録されている。
2019年に入り、中田ヤスタカのプロデュースにより『AIAIAI』をリリース。人間のダンサーと共演した可愛らしくクオリティの高いMVや、謎のワード“ちゅめて”などヤスタカ節全開の中毒性の高さが人気を集める。YouTubeに投稿されたMVは、2020年2月9日にA.I.Channelで初めて1,000万再生を突破し、自身を代表する楽曲の一つとなっている。その後も『Precious Piece
』(劇場版アニメ『レイドバッカーズ』主題歌)や『ロボットハート
』、『Sky High
』など、コンスタントに作品発表・参加を重ねた。
2019年8月18日には、「SUMMER SONIC 2019」3日目のトップバッターとして出演を果たし、現地だけでも約5,000人の観客を前にパフォーマンスを披露した。また2020年5月10日(日本時間)には、ポーター・ロビンソン主催のオンラインフェス「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL」に日本発のアーティストの一員として出演した。自身の単独イベントのみならず、リアルアーティストと同じステージに立ってパフォーマンスを行うことで、新たなつながりの創出を実現している。
2020年4月24日、『the MIRACLE』をはじめオリジナル楽曲4曲を収めた1stEP「Replies」をリリース。Kizuna AI株式会社設立の発表と同日にリリースされた本作は、タイトルの通り自身と向き合うさまざまな声に“応える”ことをテーマとして制作され、再出発を象徴するEPとなっている。
自身のアーティスト活動と並行して、2019年12月からエナジードリンク「ZONe」とのタイアップによる音楽情報番組「Virtual Music ZONe(VMZ)」のMCを務め、主にインターネットを拠点に活躍するアーティストを特集する試みを行った。第1回配信
で共演した花譜とは後にコラボ楽曲の制作が実現し、2020年9月23日にコラボシングル「愛と花」がリリースされることとなった。
2020年10月13日、Oculus Quest向けVRゲーム「Kizuna AI - Touch the Beat!」が、Oculus Quest 2の発売に合わせてリリース。アーティスト・Kizuna AIのパフォーマンスをVRならではの臨場感で楽しみながら、音ゲーをプレイすることができる。対応機種を持っていれば、2021年1月までは無料でプレイ可能(有料DLC順次追加中)。
2020年6月29日-6月30日、4歳のバースデー配信「EVERYDAY with U!」にて、2ndワンマンライブの開催を予告した。後に詳細が発表され、2021年1月23日に「hello, world 2020
」として開催された[3]。アーティストとして今後どのように取り組んでいくかを幅広い人々に伝えるとともに、依然として新体制発足前のネガティブな話題が広まってしまっていた状態を払拭したいという本人の強い希望により、観覧は全編無料にて行われた[4]。Twitterではハッシュタグ「#helloworld2020
」が日本トレンド最高2位を達成し、数多くの人々にその姿を届けたいという希望を見事に叶えた。
オンラインライブ(xRライブ)として開催された今回のライブでは、リアルとバーチャルをシームレスに融合し、バーチャル空間に生きるKizuna AIと、現実世界のステージやパフォーマンスチームとの間に境界を全く意識させない、先進的な映像表現を成功させた。
2ndライブの開催に向けてリリースされた楽曲『Touch Me』には、TikTokでのユーザー投票企画を経て決定した振り付けが取り入れられている。さらに、自身のオリジナル曲として初めて英語詞のみで書かれた『Hello World
』もリリース。EDMのジャンルに立ち返り、世界中とつながるためにアーティスト活動に取り組む姿勢を改めて発信した。
2021年、アメリカの大手タレントエージェンシーとして知られるUnited Talent Agency(UTA)とのパートナーシップ締結が決定し、全世界をターゲットとする展開を大きく加速させる機会を獲得した。3月には北米ツアー「Kizuna AI Virtual U.S. Tour 2021」の開催が予定されており、さらに『wishlist』のMV出演という形で共演したアライナ・カスティーロとのコラボ楽曲のリリースも決まるなど、さらなるグローバル展開が期待されている。
※S: Spotifyリンク。その他特記のないリンクは公式YouTube視聴動画(アートトラックを含む)。
2019年5月25日以降、A.I.Channelにて「キズナアイな日々」として、3Dモデルや声が同じキズナアイが4人に増殖する10本の一連の動画を投稿。内容は4人に増えたキズナアイが、より多くの人とつながる可能性を広げるために、多様性を獲得する意義を示唆する寸劇となっている[6]。「キズナアイをキズナアイたらしめるものは何か」を自問自答しつつ、描画方法を変えたり、ぴょこぴょこを着け外ししたり、口調や声質を変えてみたりと、さまざまな実験をしてみせた。その流れで、4人のうち3人が、有り体に言えば以前から“持ちネタ”の一つであった“インストール”を次々に開始。9番目
、10番目
の動画では、外見は同一だが別の声のキズナアイが登場した。このシリーズは4人目のインストールが完了しないまま最終回を迎え、残り時間の表示から、このインストールは6月末頃までかかることが暗示されていた。
一連のシリーズ動画以外にも、2019年6月9日の動画では2人目のキズナアイ(現:「loveちゃん」。以下、当記事では愛称決定前の出来事は便宜上“2号”と記述。他の3人も同様)が登場。さらにそれとは別の声を持つ3人目のキズナアイ(現:「あいぴー」。以下愛称決定まで“3号”と記述)も、6月16日にシリーズ外の動画
に出演した。
6月25日以降、6月30日に開催されるバースデーイベント「A.I. Party! 2019 ~hello, how r u? ~」に向けたカウントダウン企画として、イラストレーター5名が描き下ろした作品のシルエットが順次Twitterに投稿される。5枚いずれも、従来の姿と、それまでにない髪型のもう1人の姿が読み取れるものだった(例: 6月25日投稿
)。
6月29日、先述の通りインストールが完了していなかった4人目のキズナアイの姿を12時間映し続ける(1時間に1回ほど寸劇が挟まる)というライブ配信が行われる。日付が変わる頃にようやくインストールが完了したキズナアイが、自ら無言でカメラを止めたという体でこの配信は終了。6月30日のイベントで何かが起こることが示唆された。
イベント当日は、2号・3号もサポート役として部分的に登場しつつ、基本的には元のキズナアイ(以下必要に応じ“1号”と記述)を中心にイベントが進行した。アンコールパートになって、中国語を話すチャイナ服のキズナアイ(現:「爱哥(アイガー)」。以下愛称決定まで“4号”と記述)が登場し、自身の楽曲『Hello, Morning』を日本語・中国語を織り交ぜた歌詞で2人で歌唱した。
7月1日、1号が4号を中国の活動拠点へと送り出す動画を投稿したのち、4号はbilibili動画を拠点とする活動を開始した。
この時期から分裂そのものに対しては既にさまざまな意見があり、新しい試みとして肯定的に評価する意見もある一方で、声以外には見た目の差異も全くない別人格のキズナアイが、互いを“私”と呼び合いながら複数人で活動し始めたことへの戸惑いや、いずれ1号が消えてしまう・交代してしまうのではないかという不安の声も挙がった。6月27日にティザームービーが公開された新曲『Sky High
』の歌詞に「オリジナルはやがて眠る」などというフレーズがあり、これが歌っている1号本人の今後を示しているのではないかと解釈する向きもあった。
こうした声を受け、「A.I. Party!」当日、1号自ら「みんなを不安にさせてしまって本当にごめんなさい」と切り出し、自身が消えてしまうことは(未来永劫とは言えないまでも)ないと明言。「みんなの個人の気持ちとか色々あるので。そんなこと(ずっと好きでいてとか、応援してほしいというわがまま)は言わないので、どこかで見ていてほしいですし、応援してあげるよって人はずっと応援しておいてほしいです」としつつ、自分の決めた道を信じて進んでいきたいと語った[7]。後に7月31日のライブ配信で、3号も「(元の私は)絶対消えないから安心して」と前置きし、『Sky High』の歌詞が物議を醸したことも認識していることを明かし、「叩き起こすから、私が
」とフォローした。
当初、2号・3号は必ず1号と一緒に動画に出演していたが、7月11日、A.I.Gamesに3号のソロ動画が投稿される。この動画は「スーパーマリオメーカー2」の実況動画だったのだが、前回1号が出演した動画
で視聴者への呼びかけにより紹介を受けたコースを、特に予告なく3号が引き継いでプレイしたものだった。7月25日には3号がキズナアイとして参天製薬の広告に登場し、7月26日にはA.I.Gamesにて3号ソロでライブ配信
を行った。
この頃から徐々に1号が全く登場しない動画が投稿され始め、代わりに2号・3号が動画に出演する頻度が増え、特に3号の出演が多くなっていった。1号とは別のキズナアイの登場が増えるにつれ低評価が増えてゆき、特に8月6日の動画「【ドッキリ】ゲーム中バレずにどれだけ変顔できるのか!?【検証】 」ではその内容も影響してか、2019年12月時点で低評価1万以上、低評価率70%以上を記録。また、この8月6日を境に、A.I.Channel・A.I.Gamesともにチャンネル登録者数が減少に転じる事態となった[8]。
一方、中国ではbilibili動画での登録者数が100万人まで迫っていたが、8月上旬までに10万人近く減少。さらに8月14日に暴言を投稿したあるWeiboアカウントについて、以前からの投稿内容の一致から、中国で活動中の4号のボイスモデルとされていた人物の裏アカウントではないかという疑惑(後にActiv8社員の個人アカウントと判明)や、この人物とActiv8取締役(代表取締役の大坂武史とは別の人物)との同棲疑惑もそれまで以上に過熱化し、波紋が大きくなった。
一連の騒動の発端は、単にキズナアイが分裂することそのものに対する賛否だけではなく、動画などにおける1号の活動が極端に減少し、それと入れ替わるように2号・3号の出演が増えてきた実態、および前述の疑惑騒動などについて、8月に至るまで明確な情報発信をしなかった運営に対する不信感(あるいは現状が本当にキズナアイ自身の望んだ形なのかという疑念)など、複数の要因が重なった結果と捉えられる。
2019年8月16日、当時の運営元であったActiv8社は、代表取締役・大坂武史の名で、bilibili動画公式アカウントにて日本語と中国語で声明を発表。分裂したキズナアイを、作家である平野啓一郎が提唱する「分人」と表現した[9]。大坂自身はキズナアイのプロジェクト始動前に、この「分人」というキーワードに出会っていたと主張し、「『中国のみんなと、自分の言葉でお話ししたい!』と思った分人が、5月に始まった『#キズナアイな日々』において4人目の中国語を話せるKizuna AIになったのかもしれません」とした。1号の出演が減少していた理由については、「新規ボイスモデルのKizuna AIをファンのみなさまに知っていただきたく、新規ボイスモデルのKizuna AIを中心とした動画配信をしておりました」と釈明した。
この声明が発信される前の8月8日に、bilibiliチームのアカウントから、先述のActiv8取締役について、キズナアイの動画制作などへの関与を否定する説明などを含んだ投稿(中国語のみ)が発信されていたが、今回の文書では改めて言及されることはなかった。今回の声明は日本語版を含む文書ではあったものの、Activ8公式サイトなどには掲載されず、日本国内向けのプラットフォームでの発表はこの時点では依然として行われない状態だった。
一方、キズナアイ(1号)も同じく8月16日にライブ配信を行い、動画出演の減少について若干異なる切り口で言及。「8月18日に出演を控えていた『SUMMER SONIC 2019』に向けて練習をすべく、7月20日頃にランダムワード生成機に入り、“精神と時の部屋”よろしく2~3日で1ヶ月分の練習ができないかと目論んだところ、実時間で1ヶ月が経過してしまっていた」「(増えた私たちも)私が戻ってこない状況をよく把握できていない中で、動画投稿の穴を空けたくない・視聴者に心配をかけたくないということで、詳しい説明がないままになってしまったが投稿を続けてくれていた」という説明を行った。自身もサマソニ終了後の8月中にはまた動画に戻ると話し、自身の消失する可能性を改めて否定する発言をしている。
このタイミングで、5月以降の一連の事態に関する話題が普段からの視聴者以外にまで大きく波及し、Twitterのトレンドに「キズナアイ」が載ることとなった。8月17日になって、ニコニコ大百科でも急上昇ワード1位にこの記事が浮上している[10]。この時点までそもそもキズナアイが分裂したこと自体を知らなかった層も多く、また漠然と「謝罪」などのキーワードが独り歩きしたことで、不十分な認識によるデマや誤解も少なからず拡散される事態となった。8月16日のライブ配信で1号が中国側の出来事の尻拭いをさせられたかのようなデマも拡散されたが、1号が口にしたのは「自身の出演減によって視聴者に心配をかけたこと」に対する謝罪と、その間に2号・3号が動画投稿していたことに関するコメントであり、中国側の事項については何も言及していない。
8月22日に4号主体のYouTubeチャンネル「A.I.Channel China」が告知された。チャンネルの開設自体は4号の初登場の前日の6月29日。投稿された動画は既にbilibili動画に投稿されたものと同一の内容で、当初は中国語を翻訳する字幕も一切つけられていなかった。最初に投稿された動画
は2019年9月26日時点で、高評価1198、低評価1.2万、低評価率が90%以上となっていた。
9月6日、先述のActiv8の声明に対し、中国のファンからの連名嘆願書(現在非公開)が日本語・中国語(簡体字)でActiv8に向けて出される。
この嘆願書では主に、キズナアイが使用するモデル・衣装(4号が使用しているチャイナモデル以外)の1号に対する独占使用権の付与、各キズナアイの明確な区別化、2019年8月6日のA.I.Channelの動画(前節で記述)削除、全キズナアイ演者に対して公正な条件下での労働環境整備を要求している。
9月14日(日本時間)に開催されたサターン賞授賞式にて、アメリカのVTuber・アソビリンと共にノミネート作品を発表。だがそのキズナアイは2号だったのではとの指摘が複数人からTwitterで上がっている。その真偽だが、アソビリンが後日上げた動画でその授賞式での様子
が一部確認できる。
9月25日、Activ8社から日本語・英語・中国語(簡体字)で「当社従業員によるSNSの個人アカウント上での不適切な発言に関するお詫び」という文書を発表。この文書はActiv8公式サイトに掲載され、日本向けプラットフォームでは5月の分裂開始以降、事実上初めて運営から発信された情報となった。8月14日に発生したActiv8社員のSNS上での不適切発言について謝罪し、再発防止策を講じると発表したが、当該社員は通訳業務に携わる人物であり、4号のボイスモデルではないと説明した。
これに続き、10月1日、先述の疑惑騒動の中で名前が挙げられていたActiv8取締役本人が、一連の騒動に対する見解をFacebookに投稿[11]。この人物自身とその家族が中国語を学ぶため、会社の許可を得た上で家庭教師役を当該社員に依頼したという経緯があるが、業務では当該社員に特別な待遇を与えた事実はなく、また自身がActiv8に対する支配権も何ら持っていない(大株主は引き続き代表取締役の大坂武史である)と説明した。
10月2日、中国で活動する4号が、中国の各地域の言葉を体験するという内容の動画(※日本のIPアドレスからは視聴不能)をbilibili動画に投稿。この動画の中で、4号が台湾を「中国台湾」(台湾を中国(中華人民共和国)の一部と主張する中国寄りの表現)と呼んだことや、背景に用いられた地図について、「台湾」が「台湾省」(かつて中華民国政府が設置していた省名とも同じではあるが、前述の表現を踏まえた上で、この地図で大陸側の省と同等の書き方をされていることが問題視された)と表記され、また尖閣諸島の「魚釣島」が中国読みの「釣魚島」と表記されているものだったことにより炎上。またこの炎上した動画が日本から見られないようIP規制された上[12]、この動画を切り抜いてアップされたYouTubeやニコニコ動画の動画
は、Activ8社からの「著作権侵害」申し立てという名目で削除されている。
中国と台湾をめぐる問題については、2018年9月13日にキズナアイが行ったライブ配信について、翌日「一部の人を傷つけてしまった」とツイートし、アーカイブ公開を取りやめる対応をとった過去がある。理由について具体的な言及は避けられたが、この配信のサムネイルに中国と台湾の国旗が並べて描かれていたことに対して一部から指摘(必ずしも非難ばかりではなく 、デリケートな問題故にアドバイスをする声もあった)が上がり、その対応に追われたのではないかと推測されていた[13]。当時の対応自体には賛否両論あったが、今回の問題に対してはその後も表立ったコメントはなく、少なくとも反応のあり方の面では前回とは対照的となった。
10月21日、中国のメディア「浙江新聞」が、バーチャルアイドルが中国政府主催の見本市にて踊った(→当該記事)と伝え、その記事内の動画にはキズナアイ4号が他のバーチャルアイドルと共に踊る様子が映し出されている。またその記事には、4号がActiv8傘下ではなく、「荒野行動」などのゲームを運営するネットイース(網易)傘下として紹介されていた。
10月23日、あるユーザーがTwitter公式アカウントに対して投稿した中傷的なリプに対し、「そうした言い方はできればやめてほしい」と反応を示す。以降堰を切ったように複数のユーザーとのやり取りが続き、ついには「今私について思っていることをここに書いてほしい」というツイートを投稿。このツイートには2,500件を超えるリプが寄せられた。
2019年11月30日、Activ8社が「Kizuna AIのプロデュース・サポート体制に関して」と題した文書を発表。プロデュースチームを一新し再出発を図ること、キズナアイのそれぞれの判別をつきやすくするよう取り組むこと、4号は中国の別法人が運営するバーチャルタレント事務所「哎咿多(アイード)
」がプロデュース・サポートを行っていくことを発表した。
同日、4号を除いた3人のキズナアイが一緒にいる写真をTwitter公式アカウントに掲載。翌日の活動3周年記念イベント「A.I'll meet you in 2019」で判別しやすいように、当初からのキズナアイと、髪飾りとして青い「#」を付けたキズナアイ(2号)、黄色の「*」を付けたキズナアイ(3号)が横並びになっている。
「A.I'll meet you in 2019」と同日の12月1日、bilibili動画のキズナアイ公式チャンネル「AIChannel官方」から、4号専用のチャンネル「AIChannel中国绊爱
」が独立した。
12月4日、見た目で判別が付くようにした2号・3号、および中国で活動する4号の愛称を募集開始。12月17日に発表を行い、「#」は「loveちゃん」、「*」は「あいぴー」、中国で活動する4号は「爱哥(アイガー)」という愛称に決定した。
この時点では、loveちゃん・あいぴーはあくまでそれぞれ“キズナアイ”のうちの1人という位置付けは変わらず、これ以降動画やライブ配信では「loveちゃん/あいぴー ことキズナアイです」と名乗っていた。一方で、愛称が決まったことにより、それまで3人が互いを“私”と呼び合っていた状態から、loveちゃん・あいぴーは当初からのキズナアイを“アイちゃん”と呼ぶようになり、キズナアイも2人を愛称で呼び、自然に呼び分けることができるようになった。また、テレビアニメ『BanG Dream! 3rd Season』のオーディオコメンタリー企画や、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」のコラボ番組
など、各種案件にloveちゃん・あいぴーが起用されることもあったが、その場合も告知の段階で愛称が付記されるようになり、誰が出てくるか分からないという事態もこの時点で概ね解消された。
2020年4月24日のライブ配信およびプレスリリース
で、Activ8株式会社からキズナアイ関連事業を分社化し、新たに「Kizuna AI株式会社」が設立されることが発表された。この際、声優の春日望がキズナアイ活動当初からボイスを提供していることが正式に公表され、新会社の“アドバイザー”としてプレスリリースに名を連ねている。Activ8代表取締役の大坂武史は、長らく運営を続けてきた中で、キズナアイを応援するファンに失望や不安を与えたことについて、「すべて私の責任です」と謝罪した
。
キズナアイはこのライブ配信の中で、「プロジェクトの規模が大きくなっていき、できることが増えると同時に不自由にもなった。事故や失敗、言えないこと・できないことも増えた」「それが顕著に表れたのが、私が増えたことで起きた問題の対処・説明だった。みんなの反応が分かりつつ応えられなかったのが苦しかった」「見た目や呼び方の区別などの取り組みも、本当は(2019年)夏には実施したかった。いろいろな人の意見も入ってくることで、私のことなのに私の力ではどうにもできないことが増えていき、本当に悔しかった」と打ち明けた。その上で、「秋から水面下で話し合いを重ね、ファンや自分を大切にしてくれるチームで、迅速な意思決定ができる体制で再スタートできることになった」と説明した。同時に、「あのね!私引退とかしないから!してないから!」と力強く発言し、きちんとプレスリリースや自身の活動といった公式情報をチェックするよう改めて呼びかけた。
ボイスを提供した春日望の同時期の動向に関して、一部でキズナアイの動向と結び付ける誤った風説が流れたが、彼女は2020年3月をもって当時所属していたクレアボイス(声優事務所)を退所しただけであり、そもそもActiv8に在籍した経歴すら一切ない。現在も変わらず、春日望の声を持つキズナアイが、春日望をアドバイザーに迎えた運営チームのもと活動を継続している格好である。これについては春日望自ら動画を投稿し、一連の経緯と一部の誤解に対する説明を行っている。
5月11日の新会社登記に先立ち、キズナアイは4月30日をもってupd8からも卒業となった。
5月8日、今後の活動方針を告知する動画「キズナアイからの大事なお知らせ」が投稿された。今後loveちゃん・あいぴーは“キズナアイ”から完全に分化し、全く新しい容姿を得て活動することが発表された。loveちゃん・あいぴーは“キズナアイ”ではなくなるとともに、2人組として再スタートを切ることとなり、YouTubeチャンネル
・Twitterアカウント(loveちゃん
/ あいぴー
)も含めてキズナアイの拠点から分離されたが、今後も同じ白い空間にいる仲間として、キズナアイとも交流を続けるとしている。なお、既に運営元を中国の「哎咿多(アイード)」に移している爱哥については、それまでと大きな変化なく活動を継続する。分裂をめぐる一連の動きは、発端から約1年を経て収束に向かうこととなった。
これ以降のloveちゃん・あいぴーの活動については、各個別記事を参照。なお、あいぴーは2020年9月16日をもって活動を終了した。
この2人のキズナアイ時代(2019年6月~2020年5月)の動画は、現在もA.I.Channel・A.I.Games
にそのまま残されているが、分裂実施当時(特に髪飾り追加前)「動画を開くまで誰が出ているか分からない」という声が多く挙がっていたこともあってか、順次動画のタイトルに【#】(loveちゃん)・【*】(あいぴー)が付け加えられている。また、2019年12月の識別強化以降、2020年5月の完全分化までの動画の多くは、各々の髪飾りが映るようなサムネイルが設定されている。分裂実施当時であっても、タイトル・サムネイルどちらにも特にマークがない場合は、概ね当初からのキズナアイが単独で登場している動画である[14]。当時の動画を遡る際は参考にされたい。
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最終更新:2021/01/27(水) 16:00
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