MAGIX VEGASとは (マジックスベガスとは) [単語記事]

MAGIX VEGASとは、MAG IX社が開発・販売中の動画編集ソフトウェアである。ニコニコ動画では、過去開発していた、Sony Creative Software社の「Sony Vegas」というタグの方が普及している。

過去何度もメーカー・名前を変えて開発を継続している。この記事では、原則メーカーの明記なき場合「Vegas」と呼ぶ。

日本での代理販売・サポートは紆余曲折ありソースネクスト社。詳細は後述。

概要

高度な編集機能を持ち、多様な用途に対応する。

もともとVegasシリーズは「Vegas Music」という音楽編集ソフトウェアがルーツで、それに付属していたビデオ編集機能が強化され現在の「動画編集ソフトウェア」となった。それゆえ音関係の機能が充実している。

米国においては小規模なスタジオにも普及しており、アマチュアにもメジャーなソフトとして認知されている。が、日本国内での知名度はかなり低いようだ。

元来MADにはAfter Effectなどを使うユーザーが多いが、先述の通り音楽の扱いに長けているため、PV系MAD 作者間で扱う人も多い。

余談だが、音楽編集ソフトウェアはVegas Musicとは別の源流である「ACID」が継続開発されている。UI/UXの統一が図られており、ACIDはVegasとほぼ同一の見た目・操作感で操作可能となっている。

経緯とかその辺

元はアメリカのSonic Foundry社が開発していたものだったが同社のコンシューマ部門が切り離され、さらにそれがソニーに売却された。それからしばらくの間は所在地から名を取ったマディソン・ソフトウェアを名乗っていたが、後にすったもんだあった末にSony Creative Softwareに改名した。その辺の詳細はWikipediaへ。

更に、現在 Sony Creative Software社はSony Vegasを含む今までの開発ソフトほぼ全てをMAG IX社へ売却し、残ったのはある一つの動画加工/編集ソフトシリーズ（Sony Cat alyst）のみというまさに骨抜き状態になっている。

代理販売店の経緯

従来の日本販売はフックアップ社のみだった。2015年 3月よりソースネクスト社が本格参入し、以降二社から同じソフトがリリースされ続けてきたが、こちらもなんだかんだあり2015年 7月8日を持って完全にソースネクスト社に一本化され現在に至る。

Sony Vegas Pro 11以降、Movie Studio 11以降はどの元正規代理店で購入したものでもソースネクスト社を通さなければならないので注意。

上記のためかいわゆる"おま語"を実施しており、MAGIX VEGAS Pro 14以降はMAG IX 公式・Steamなどソースネクスト販売以外日本語リソースが取り除かれていることにも注意。

特徴

長所

比較的軽快な動作
- MAGIX VEGAS Pro 21時点で、第6世代 Intel Core i5 2.5G Hz以上相当のプロセッサ、8GB以上のRAMが最低動作環境である。
- 一時期は競合ソフトより少ないメモリやプロセッサ性能で動作していた。残念ながら現在は競合ソフトよりも性能が必要である。
  - ただし、最低限上記性能があれば、フルHDまでにおいて軽快な動作が可能である。
パン&クロップ
- ズームインやズームアウト、パンとスキャン、好きな方向への回転、移動、反転などを簡単に行うことができる。
  - このテクニックに詳しい米国人ドキュメンタリ映画製作者"ケンバーンズ"氏の名をとり「ケンバーンズエフェクト」という。ムービー内の動きの少ない映像や静止画像に動きを与えることができる。
- MAGIX VEGAS Proでは「VEGAS クロップ」エフェクトを用いることにより、ビデオプレビュー画面にて直接パン&クロップが可能。より直感的・簡単に操作できる。
BPMの設定：小節とルーラー
- リズムに合わせた演出が簡単。グリッドがBPMに応じて表示されるため、ミュージックビデオや音系MADの制作に大いに役立つ。
  - ACIDと異なり、BPMの変化には対応していない。
多彩なオーディオエフェクト
- 本来DTM ソフトであったこともあり、様々なエフェクトが標準搭載されている。また、ASIOやVST プラグインにも対応。
オーディオのピッチ変更が簡単
- キーボードショートカットでオクターブ、半音、セント単位でのピッチ変更が可能。DAW ソフト「REAPER」と同様の操作性がある。これも音系MAD 制作に役立つ。
手ごろな価格で高機能
- 日本では毎日のようにセールを実施。バージョンアップの際には旧バージョン所持者向け優待価格として、セール価格より更に半額程度の価格を提示することもある。

短所

知名度が低い
前述通り国内での知名度が他の編集ソフトと比べると絶望的に低く、それゆえ情報を集めるのが困難。
- 一応Sony Vegas Pro 13以降は（ソースネクストの毎日セールの影響か）それなりに情報が増えてきた。
Pro グレード以外は最大トラック数の制限あり
最大トラック数がビデオとオーディオそれぞれで10本まで。Movie Studio Platinum/Suiteは200本まで。
- 以前は最大トラック数がビデオとオーディオそれぞれで4本までだった。
- Sony Vegas Movie Studio HD Platinum 10以降は各10本までに変更。トラック数の少なさによる問題はかなり緩和された。
- その後、Sony Vegas Movie Studio Platinum/Suite以上に限り各20本へ緩和。
- MAG IX Movie Studio Platinum/Suite 14では合計で200本と、一般用途では必要十分な量に跳ね上がっている。
- Pro版は無制限

※最大トラック数内容はMAG IX Movie StudioがMAGIX VEGAS派生ではなくなり、そもそも無関係になったので取り消し線を引いている。

ラインナップ

製品名をクリックするとソースネクストのページへリンクする。以下日本での製品名を記載している。

日本語リソースは抜かれているものの、体験版が必要であればVEGAS Creative Softwareからダウンロードできる（無料アカウント登録で最大30日間）。

VEGAS Pro Edit
- 以前存在したVEGAS Movie Studioシリーズとは別のソフトウェア扱いであり、プロ用途に対応する。
  - VEGAS Pro Editは従来VEGAS Pro 無印の下位扱いで、実質的なメイングレードがVEGAS Pro 無印であったが、そちらがVEGAS Pro Suiteに名称変更した結果メイングレードがVEGAS Pro Editに切り替わっている。
- 無制限のトラック編集、高度なカラー補正などが可能。バージョンアップもProが最優先で、そこから上記の下位版に落とし込む。
  - 64bit化もこちらが早く、Sony Vegas Pro 12の時点で専用化していた。
VEGAS Pro Suite
- VEGAS Pro Editに大量の特典を付属させたもの。SOUND FORGE Audio Studio、ACID Music Studio、バージョンごとに異なるサードパーティ製有料プラグインが無料付属している。
- Boris FX社によるMocha VEGASなど、特別に製作された機能制限型プラグインが付属することもある。
VEGAS Pro Post
- 現在の最上位グレード。VEGAS Pro Suiteの特典が一部グレードアップする（○○ Studio→Pro化）他、この製品にしか含まれないツールが2点付属する。
  - VEGAS Effects：エフェクト作成ソフト。Adobe After Effectsのように、VEGAS Proよりも強力な映像合成・エフェクト作成を行う事ができる。当然、VEGAS Pro系列との併用を前提としている。
  - VEGAS Image：画像合成ソフト。Adobe Photoshopのように強力な画像加工を行うことができる。

他にも、ソースネクストでは取り扱っていないものとして、サブスクリプション契約の「VEGAS Pro 365（各グレードごとに存在）」が存在する。

既にMAGIX VEGASのものではなくなったもの

以下、MAGIX VEGAS Movie Studio 17をもって開発終了となったグレード。

MAG IX Movie Studio 18（日本未発売）、MAG IX Movie Studio 2022などというものがリリースされているが、そちらは「Movie Edit Pro」がリネームされて開発継続となったものであり一切関係ない。MAG IX社のVEGAS専用フォーラムも「MAGIX Movie Studio 18以降のMovie Studio関連については投稿を受け付けない」としている。

VEGAS Movie Studio
- コンシューマー向け通常版。トラック数はビデオ・オーディオそれぞれ10本まで。
- 特筆事項として、バージョン17では古巣のSony Creative Software社により継続開発されているメディア管理ソフト「Cat alyst Browse」が付属している。VEGAS Proには付属していない。
VEGAS Movie Studio Platinum
- 通常版よりも多くの機能が追加されている上位版。トラック数も200本までに増加した。3D カメラ機能などは、日本提供分だとこのグレードより対応。
VEGAS Movie Studio Suite
- Platinumに加え、バージョンごとで異なるサードパーティ製有料プラグインが無料付属する。ソースネクストでは独自のセット内容。