イース4とは、日本ファルコムが原案を担当したアクションRPGである。
正式タイトルは『Ys IV』(イースIV)だが、発売機種によってサブタイトルと内容が異なる。
概要
シリーズ4作目だが物語は『イースII』直後である為、3作目の『ワンダラーズ フロム イース』よりも前の時代を舞台にしている。
シリーズの主人公である赤毛の剣士アドルが、『イースII』での冒険の後、ある事をきっかけにセルセタと呼ばれる場所へ赴き、そこで背中に翼を持った有翼人と呼ばれる存在と、その文明をめぐる冒険を繰り広げる事になる。
アドルの冒険日誌でのタイトルは『セルセタの樹海』。
今作は他の作品とは異なり2012年にイース セルセタの樹海が発売されるまではファルコム制作によるゲームが存在せず、同社がシナリオ原案、BGMの原曲を手がけ、それらを元に他社メーカーによってそれぞれゲームが開発された。
それ故に本作は今までに複数の機種で発売されているが、大まかな設定やあらすじは同じでもサブタイトルを始め、ゲームシステムやストーリー展開、人物の設定、最終ボス等が異なっている。
イース4の原案については、下記の動画を参照。
各タイトルの概要
スーパーファミコン版
1993年11月19日に『イースIV -MASK OF THE SUN- (マスク・オブ・ザ・サン)』のタイトルでトンキンハウスより発売。
基本的なシステムは初代『イース』と同様に、トップビュー視点で敵への体当たりで攻撃を与える。
本作ではある特定の剣に魔法が備わっており、剣の種類毎に敵へダメージを与える弾を飛ばしたり、体力の回復が出来る等の効果を発動する。魔法を使用する際は、目的に応じて剣を持ち替えて使用する事になる。
発売当初はPCエンジン版の完成度と売上に比較され、日陰の身だったスーパーファミコン版ではあるが、2003年のイース6発売、そしてその特典であった「イース大全集」にこちらが収録された事を契機に、現在では最も原案に近い作品として正史に扱われているようである。
但し、他シリーズとの矛盾もある為、ファルコム自身による「IV」の再構築が望まれていた。
PCエンジン版
1993年12月22日に『イースIV -The Dawn of Ys- (ザ・ドーン・オブ・イース)』のタイトルでハドソンより発売。
PCエンジン版のみ『イースII』の2年後という設定であり、アドルの年齢も18歳となっている。
基本的なシステムは『イースII』を踏襲しており、トップビュー視点で敵への体当たりで攻撃を与える他、魔法も「II」と同じ様に火球を飛ばしたり、瞬間移動、アド・ルーへの変身等が出来る。
大ヒットしたPCエンジン版『イースI・II』と同様、CD-ROMの大容量を活かしたアニメーションと音声による演出が加えられている。
『イース7』の登場までシリーズで最もプレイ時間の長い作品であった。
『イースVI』以降の設定の元となった有翼人の国エルディーンや、闇の一族が初めて登場した作品でもあり、スーパーファミコン版ではほとんど語られないセルセタの歴史が詳しく描かれている。
しかし、イースの女神が再登場したり、ダルク=ファクトの設定に独自の解釈が加えられる等した為、それらの点についてファンからは批判も浴びた。
こうした声に配慮した為か、比較的矛盾の少ないスーパーファミコン版が一応の正史という扱いを受けている。
ただその一方で、ゲームとしての完成度の高さから、PCエンジン版を支持するファンも非常に多い。
なお、デュレンの出自や月の仮面など一部の設定は、後に日本ファルコムが制作した「イース セルセタの樹海」に取り込まれたものもある。
メガドライブ版
セガ・ファルコムより1994年頃に発売を予定していたが、開発中止となった。
プレイステーション2版
2005年5月26日に『イースIV MASK OF THE SUN -a new theory- (マスク・オブ・ザ・サン -ア・ニューセオリー-)』のタイトルでタイトーより発売。
グラフィックが3Dになり、他機種版と違って体当たり戦法では無く、剣を振って攻撃するようになり、攻撃には大・中・小と威力が分かれている。
ある特定の剣には属性が付加され、敵との属性の相性によってダメージが増減するようになっている。
また、剣の属性に応じてエレメントと呼ばれるものを召喚し、このエレメントに対して大・中・小の攻撃を与える事で、威力に応じて特殊効果を発動したり、敵にエレメントをぶつける事などが出来る。
スーパーファミコン版を元にしているが、内容は全くの別物である。
スーパーファミコン版やPCエンジン版にはあったリリアとの再会や、エステリアへの再訪問がカットされている。
携帯電話用のアプリとしても移植されている。
ノベライズ版
ログアウト冒険文庫より全三巻のノベライズ版が刊行されている。
他作品のノベライズと同じく大場惑氏による著作であり、序章~上巻~下巻という三巻立て。
スーパーファミコン版を主としてノベライズされているが、固有名詞は企画書に明確な記載が無かったため異なっている部分が存在する。
そして……
PS VITA版
ファルコムの、ファルコムによる、ファルコムファンのための『完全自社制作・イース4』。
今回の『完全新作』の看板に違和感をぬぐえないのは仕方ないが、リメイクでは『絶対に』ないのもまた事実である。
システムやグラフィックは「イース7」のものが流用・改良されている。ちなみに日本ファルコムVita初参入作品でもある。
詳細は「イース セルセタの樹海」にて。
念のため誤解が無いように言っておくが、上記の各ハードの説明通り、このイース4はファルコム自社の手で出たことは今まで一度と無い。ファルコム30周年公式記念本『Falcom Chronicle』でも語られているように、イースシリーズの中でも扱いの難しい異色作なのである。
シリーズ一覧
イース(Ys)シリーズ | |
---|---|
ナンバリング作品 | イース1 / イース2 (イースI・II) / イース3 (フェルガナの誓い) イース4 (イース セルセタの樹海) / イース5 / イース6 イース7 / イース8 / イース9 |
外伝作品 | イース・オリジン / イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ イース・オンライン / イース・ストラテジー |
音楽の盗作?
ゲーム中で戦うとあるボス(発売機種によりどのボスとの戦闘で流れるかが異なる)の戦闘BGM「偉大なる試練」が、1980年代に一世を風靡したハードロックギタリスト「イングヴェイ・マルムスティーン」の楽曲「Far Beyond The Sun」にフレーズからコード進行に至るまで酷似していることが指摘されている。
一説では、WiiのバーチャルコンソールやプロジェクトEGGなどの各種ゲーム有料配信サービスでイースⅠ~Ⅲが配信されているにもかかわらず、イースⅣだけがどのサービスでも配信されていないのはこの楽曲の存在が原因であるともされていたが、ゲームアーカイブスにて差し替えなしで配信され、その疑惑は払拭された。
PS2でのリメイク版「イースIV MASK OF THE SUN -a new theory-」では「偉大なる試練」はカットされている。同じくPS VITA版「イース セルセタの樹海」でも不採用となった。「優しくなりたい」はあるのに。
「偉大なる試練」は埼玉最終兵器など、多くのアレンジャーによってアレンジされているが、その多くはこの楽曲の元ネタが「Far Beyond The Sun」であることを知った上で、「偉大なる試練」のフレーズの中に「Far Beyond The Sun」のフレーズを混ぜ込むなどの遊びが見られる。
尚、日本ファルコムが製作したこの時期のゲーム音楽には、「偉大なる試練」以外にもこうした疑惑の楽曲がいくつかあり、無断使用や著作権に関して比較的緩やかだった当時の時代背景やゲーム業界の風潮と相まって、盗作とするかオマージュやパロディーとして受け取るかどうかは聴く人の感性に委ねられる。
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関連項目
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