松中信彦単語

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松中信彦（まつなか　のぶひこ、1973年12月26日-）とは、熊本県出身の元プロ野球選手（左翼手・一塁手）である。

概要

小学校から野球を始める。八代第一高校から社会人の新日鐵君津に進み、1996年のアトランタ五輪で日本代表の4番を務めた。

1996年、ドラフト2位（逆指名）で福岡ダイエーホークスに入団。背番号26。この年のドラフトでは、ホークスは1位で井口資仁、3位で柴原洋という目玉選手を揃って獲得。「反則ドラフト」と言われた。

ダイエー・ソフトバンク時代

当時は社会人野球で金属バットが使用されていたため（社会人が木製になったのは2005年から）、入団当初こそ木製バットへの対応に苦しんだが、3年目の1999年に一塁手のレギュラーを獲得して23本塁打を放ち台頭。

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2000年に背番号を3に変更し自己最高の成績を残してパ・リーグMVPを獲得。以降、不動の中軸打者として城島健司・井口資仁らとともにダイエーの強力打線の中核を担う。

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2004年には1986年の落合博満以来となる三冠王を達成（平成唯一。松中の次に三冠王が出るのは18年後）。レギュラーに定着した1999年以降で打率3割以上7回、30本塁打以上5回、100打点以上5回を記録。2003年打点王、2004年三冠王、2005年本塁打・打点王、2006年首位打者と、4年間で打撃7タイトルを獲得するなどパ・リーグ最強打者として名を馳せる。

しかし2004年・2005年とプレーオフで大不振に陥り、結果としてホークスは2年続けてレギュラーシーズンを1位通過しながら優勝を逃した。打撃不振の結果ベンチで呆然とする様は「秋の風物詩」と揶揄された。

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2006年の第1回のWBCでは主砲として活躍、13安打は大会最多記録で、1試合多い。第2回WBCでの最多記録12安打（青木宣親ら）よりも多い。

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2007年は故障の影響もあってかシーズンを通して大不振に陥り（打率.266、15本塁打、68打点はレギュラー定着後最悪の数字）、年俸5億円の7年契約（の2年目）だったこともあり「5億の置物」と揶揄される。トレードで獲得した多村仁、FAで古巣に復帰した小久保裕紀との「TMK砲」が全く機能しなかったことも、ファンの不満を高めた。

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2008年も開幕当初は不振だったが、打順を4番から3番に移してから調子を上げ、しばらくは打率3割を維持、3年ぶりに20本塁打を超え復調したかと思われた。しかし、9月のチーム大失速と一緒に成績も再び下降線を辿り、最終打率は.290。敗れれば最下位が決まる東北楽天ゴールデンイーグルスとの最終戦では、0-0の延長12回表に一死一塁二塁から初球併殺打に倒れ、王監督ラストシーズンの最後の打者になってしまった。試合はその裏サヨナラ負けで最下位が決定。秋の風物詩は2008年も健在であった。

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2009年、第2回WBCの日本代表候補にも選ばれており、原辰徳監督は4番に置く構想を表明していたが、左足のアキレス腱を痛め最終メンバーからは落選してしまった。レギュラーシーズンも主軸として奮闘。通算1500安打、1000打点を記録するなど節目の年にもなった。マツダオールスターゲーム2009第2戦においては2打席連続ホームランを放ち、ホークスでは1994年の秋山幸二以来14年ぶりのMVPを獲得。シーズン後半には、ヒザの故障が悪化し満足に走れない状態に陥るが、培った技術だけでヒットを積み重ね中軸として出場し続けた。しかしクライマックスシリーズ（以下、CS）は治療のため出場を断念。チームも楽天に敗れた。

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2010年は先述の手術の影響もあり、開幕を二軍で迎える。ヤフードーム開幕戦で一軍登録されるも、リハビリによる練習不足や故障などが災いし、79試合しか出場できなかった。チームは7年ぶりにリーグ優勝したが、CS敗退で日本シリーズに出場できなかった。

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2011年、チームの大型補強でスタメンすら保証されない厳しい立場に追い込まれるが、序盤は代打の切り札として存在感を発揮。内川聖一の戦線離脱時は代役の3番に入ると好調な打撃で見事にその穴を埋め、小久保裕紀の離脱時は4番を務めた。完全復活を感じさせる好成績で終盤まで主軸として奮闘するが、9月に死球で右膝を骨折して戦線離脱。最終的に88試合の出場に留まったものの、打率.308、12本塁打36打点、OPS.887。見事な復活を印象づけた。

9月の埼玉西武ライオンズ戦の死球後、復帰を目指しリハビリを続けるが、病院でファンから「松中は復帰しない方がいい、その方が勝てる」との言葉を浴びせられる。当初は首脳陣も松中のクライマックスシリーズ登録は見送る方針だったが、本人の直訴もあって代打要員としてベンチ入り。そして迎えたファイナルステージ第2戦、3-2とリードした8回裏ツーアウト満塁で代打として登場、牧田和久の初球をライトスタンドポール際中段へ叩き込む代打満塁ホームラン。不振にあえぎ、秋の風物詩と揶揄された7年間の鬱憤を晴らし、チームの呪縛を完全に解き放った。第3戦では延長12回表が終了し、引き分け以上が確定しクライマックスシリーズ突破が決まった瞬間、喜びのあまりまだ試合が終わっていないにも関わらずひとりだけベンチを飛び出すフライング。ファンの涙と笑いを誘い、試合後には秋山監督、孫オーナー、小久保裕紀キャプテンに続いて胴上げされた。その後の日本シリーズに出場したチームは、8年ぶりの日本一に輝いた。

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2012年は開幕を4番で迎えたものの、7月16日のオリックス・バファローズ戦で本塁打を放った際に左足を痛めて2ヶ月以上戦線離脱するなど故障が続いたこともあって65試合の出場に留まった。

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2013年は秋山幸二監督の起用法に不満を抱き、セ・パ交流戦の優勝セレモニーを欠席。懲罰としてシーズン終了まで二軍で過ごす羽目になった。

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2014年は一軍と二軍を行き来し、チームが上位を行く中で打率.111、0本塁打、4打点と結果を残せなかった。

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2015年は工藤公康新監督の方針で優勝決定まで一軍昇格の機会を与えられず、翌年の戦力構想から外れていることを伝えられる。事実上の引退勧告だったが、本人はこれを蹴って他球団での現役続行を目指すことに。しかし一軍の消化試合では15打数1安打と結果を出せず、退団後は他球団に自ら売り込みをかけたが、結局オファーがあったのは独立リーグからだけだった。最終的に2016年3月1日にブログで現役引退を表明した。

引退後

引退後は野球解説者を務める。

2020年から、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズのGM兼総監督に就任。しかし、9月30日限りで契約満了により退任となった。新型コロナウイルスの影響による開幕延期のため退任時点でまだシーズン中であったのだが、契約延長にならなかったのは香川側の金銭面の問題によるものらしい。

2021年はダイエー時代の同僚である井口資仁監督に請われ、春季キャンプで千葉ロッテマリーンズの臨時打撃コーチを務める。

プレースタイル

三冠王を初めとして数々の打撃タイトルを獲得し、ダイエーホークスの黄金期を支えた大打者であることは疑いない。2011年CSでの満塁本塁打とオーバーランは球団史上に残る名場面のひとつである。その一方、2004年・2005年プレーオフでの大不振や2008年のストレート 140km/h 真中中央 ゴロ（二併打）など肝心のところで打てなかったイメージや、現役晩年のトラブルもあり、何かと毀誉褒貶が激しい。

2009年1月29日に地元・熊本県八代市にある新八代駅前の物産館となりに松中信彦スポーツミュージアムが開館した。

内角打ちの名人と呼ばれ、普通は詰まるかファールになる厳しい内角球をスタンドインさせ相手投手を恐れさせた。彼が打席に立つときは相手チームは、三塁線を広く開け、遊撃手が二塁後方、三塁手が遊撃手の守備位置を守るという所謂｢松中シフト｣をしかれる。彼の打球が基本的に引張り気味～センター返しが多数を占めるためではあるが、その間をゴロで抜いたりする。

ホームランバッターであると同時に選球眼にも非常に優れ、往年の破壊力はなくなった現役晩年もその選球眼は健在で、悠然と四球を選んで一塁へ歩く様は「貫禄」と言われた。

守備では元々の本職は一塁手でゴールデングラブ賞を獲得したこともあるが、膝や肘の不安もあって2005年頃からは指名打者での出場が増えた。また2005年にフリオ・ズレータとのポジションの兼ね合いで、苦肉の策として左翼手を守らせたところ無難にこなしたため、それ以降は左翼を守る機会が増え、2009年からは外野手登録になっていた。2012年から出場機会を求めて一塁の練習を再開し、2013年からは再び内野手登録となった。

人物

愛称は「ボブ彦」。ヤクルトに所属していたボブ・ホーナーに似ていたため。

王貞治監督から「（城島健司移籍後）君にばかり負担をかけて苦しい思いをさせ、申し訳なかった」と言葉をかけられ、涙した。

応援歌

球団	レス	No	プレイヤー
ソフトバンク	応援歌のピコカキコ一覧#59	8607

成績

• ※青はリーグ最高、赤はリーグワースト。

年度別打撃成績

年 度	球 団	試 合	打 席	打 数	得 点	安 打	二 塁 打	三 塁 打	本 塁 打	打 点	盗 塁	犠 打	犠 飛	四 球	死 球	三 振	併 殺 打	打 率	出 塁 率
1997年	ﾀﾞｲｴｰ ｿﾌﾄﾊﾞﾝｸ	20	48	43	4	9	1	0	0	6	0	1	1	2	1	13	2	.209	.255
1998年		34	83	71	8	19	6	0	3	10	2	0	1	10	1	12	0	.268	.361
1999年		126	462	395	57	106	20	4	23	71	5	5	4	46	12	60	11	.268	.359
2000年		130	540	471	76	147	26	1	33	106	0	0	7	56	6	49	12	.312	.387
2001年		130	551	479	81	160	29	0	36	122	2	0	5	57	10	77	6	.334	.412
2002年		136	561	485	75	126	23	1	28	83	1	0	7	52	17	80	12	.260	.348
2003年		135	590	494	99	160	31	1	30	123	2	0	3	81	12	69	12	.324	.429
2004年		130	577	478	118	171	37	1	44	120	2	0	2	84	12	67	7	.358	.464
2005年		132	575	483	109	152	26	2	46	121	2	0	7	76	9	85	6	.315	.412
2006年		131	559	447	79	145	32	1	19	76	2	0	4	102	6	37	5	.324	.453
2007年		123	519	440	60	117	26	1	15	68	1	0	6	68	5	66	5	.266	.366
2008年		144	632	538	79	156	28	2	25	92	3	0	8	77	8	91	11	.290	.382
2009年		126	521	448	62	125	21	0	23	80	2	0	3	62	8	77	11	.279	.374
2010年		79	267	238	28	56	5	1	11	35	3	0	2	24	3	44	4	.235	.311
2011年		88	304	266	26	82	16	0	12	36	0	0	3	29	5	38	2	.308	.383
2012年		65	164	136	10	30	2	0	4	13	1	0	0	26	2	26	1	.221	.354
2013年		9	10	10	0	2	0	0	0	1	0	0	0	0	0	3	0	.200	.200
2014年		33	33	27	0	3	1	0	0	4	0	0	1	4	1	6	0	.111	.242
2015年		9	16	15	0	1	0	0	0	1	0	0	0	1	0	9	0	.067	.111
NPB：19年		1780	7012	5964	972	1767	330	15	352	1168	28	6	64	857	118	909	107	.296	.392

通算守備成績

機構	守備位置	試合	刺殺	補殺	失策	併殺	守備率
NPB	一塁手	750	6272	415	57	555	.992
	外野手	325	452	16	6	3	.987

タイトル・表彰・記録

タイトル
三冠王	1回	2005年
首位打者	2回	2004年、2006年
最多本塁打	2回	2004年、2005年
最多打点	3回	2003年-2005年
最多安打	1回	2004年
最高出塁率	3回	2004年-2006年
表彰
MVP	2回	2000年、2004年
ベストナイン	5回	2000年、2003年、2004年、2005年、2006年
ゴールデングラブ賞	1回	2004年（一塁手）
月間MVP	6回	2001年9月、2003年8月、2004年5月、2005年7月・9月、2006年6月
オールスターゲームMVP	1回	2009年第2戦

CM

西部ガス（夫人とともに出演） 　→外部リンク（CM見れます）

関連動画

関連項目

• プロ野球選手一覧
• 福岡ソフトバンクホークス
• 香川オリーブガイナーズ
• 王貞治　/　井口資仁　/　柴原洋
• ストレート　140km/h　真中中央　ゴロ（二併打）
• 秋の風物詩（野球）
• 村上宗隆（松中の次の三冠王。奇しくも同じ熊本県出身）

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