まさか、後罪(クライム)の触媒(カタリスト)を<讃来歌(オラトリオ)>無しで?単語

マサカクライムノカタリストヲオラトリオナシデ
2.9千文字の記事
  • 1
  • 0pt
推しタグ選手権 8月開催中!
掲示板へ

 奇妙なほどに澄んだ意識。覚醒した想い。
 <讃来歌(オラトリオ)>すら必要としない。
 ただ自分の想いを以て、ただ一言話しかけてやればいい。

 ――Isa sia clue-l-sophie pheno(さあ起きて 緋色の子供たち)――

「まさか、後罪(クライ)触媒(カタリスト)を<讃来歌(オラトリオ)>で?
 教師たちの狽したが次々と上がる。
 ……なんでだろう。何を驚いているんだろう。
 ただ普通に、この触媒(カタリスト)を使って名詠門(チャネル)を開かせただけなのに。
 そう言えば、何を()ぼう。
 自分の一番好き花でいいかな。
 どんな宝石より素敵な、わたしの大好きな緋色花。

 ――『Keinez()』――
 そして、少女の口ずさんだその後に――

黄昏色の(うた)使い アマデウス、謳え敗者の王』P69-70より

「まさか、後罪(クライ)触媒(カタリスト)を<讃来歌(オラトリオ)>で?とは、細音(さざね)ライトノベル黄昏色の(うた)使い アマデウス、謳え敗者の王』にて、クルーエルソフィネットが既に6度の名詠に使用された後罪(クライ)触媒(カタリスト)から<讃来歌(オラトリオ)>しで名詠門(チャネル)を開いたことに対する、トレミアアカデミー教師たちの驚きのである。

 

……未読の方には日本語でおkと言われそうなので、もう少し詳しく説明する。

まさか、未読者への説明を詳細設定無しで?

黄昏色の詠使い』の舞台となるのは、「名詠式(めいえいしき)」と呼ばれる召喚術が一般的な技術となっている世界の、名詠式を学ぶ「トレミアアカデミー」という学園である。

名詠式の詳細な設定については煩雑になるので『黄昏色の詠使い』の記事やアニヲタWikiの「名詠式」の記事exitに任せるとして、名詠の基本的な手順を簡単にまとめると、

  1. 名詠したい対と同じ色の触媒(カタリスト)を用意する。
    たとえばを名詠したいときにはいものを使用する。でも布でも絵の具でも何でもOK。
  2. 名詠したい対を賛美する<讃来歌(オラトリオ)>を詠う。
    <讃来歌>というのは、「セラフェノ音語」という本作独自の架空言語による
  3. と同色の名詠門(チャネル)が開き、そこから対が召喚される。

という流れ。ただし、一度名詠に使用された触媒(カタリスト)は、再利用は極度に難しくなる。そうした使用済みの触媒(カタリスト)のことは後罪(クライ)と呼ばれる。

本作の主人公ひとりクルーエルソフィネットは五色の名詠式のうち赤色名詠を専攻する16歳少女。五色にあてはまらない「色名詠」を専攻する13歳の少年ネイト・イェレミーアスがトレミアアカデミー転校してくるところから物語が始まる。
名詠の発表会である「競演会(コンクール)」の当日、学園に持ち込まれていた悪な触媒(カタリスト)孵石(エッグ)〉が暴走し、名詠生物が暴れ出すという事件が起こる。そこでクルーエルはその類い希な名詠の才を開させ、最上位の名詠生物である一音階名詠(ハイ・ノーブルアリア)精・明の神(フェニックス)を名詠し、ネイトの色名詠と力を合わせて事態を収拾した(第1巻『イブ明けに微笑んで』)。

続く研究所の石化事件(第2巻『奏でる少女行きは』)においても明の神(フェニックス)を名詠してみせたクルーエルの才は学園の教師たちも知るところとなり、第3巻『アマデウス、謳え敗者の王』の序盤にて、クルーエルは学園長室に呼び出しを受ける。
飛び級卒業して名詠士になる、という提案を断ったクルーエルに対し、学園長らは「なら明の神(フェニックス)を見せてくれないか、まだ実物を見たことがないから」と提案する。しかし単なる好奇心による名詠には応えてくれないだろう、とこれもクルーエルが断ると、学園長らは納得しつつも、次の提案をした。

「いや、待て。……ではやはり一つだけ頼みたい。何でも構わないから、君の好きなものを詠び出してくれ。触媒(カタリスト)は、君の足下にある真紅絨毯を使ってくれて構わない」
「……え、これ使っていいんですか?」
論だ」
 言われるまま、そっと絨毯に触れてみる。
 間。微かな違和感――これは。
「ただし、若干触媒(カタリスト)としては使いづらいかも分からんよ」
「これ、あれですよね。既に六回(、、、、)名詠で使われています(、、、、、、、、、、)
 名前はなんといったか。この前テストで出たのに。
 ええと、たしか……クラ――なんとかだった気がするけど。
「あれ、どうかしましたか?」
 周囲のざわめきに気づき、クルーエルは顔を持ち上げた。
 見れば、老人が驚いたように刮。他の教師たちも、こそこそと何か言い合っていた。
「なんと、気づいていたのかな」
「……いえ、何となくです。触ってみたら『ああ、そうなのかなぁ』って」
「だが、回数はどういうことだね」
「それも何となくです。……でも、多分それで合ってる(、、、、、、、)と思います」

黄昏色の(うた)使い アマデウス、謳え敗者の王』P68-69より

……という流れで、本記事冒頭の引用部分に至る。

要するに、起きていること自体は典的な天才主人公による「あれ、また私何かやっちゃいました?」系のシーンである。そういうに表現しちゃうとこの作品の雰囲気とは合わないのだが。
クルーエルのこの過大な才の理由はこのあとのシリーズの大きなになっていくのだが、それについては原作の続きを読んでいただきたい。

ここだけ切り取るといかにもな厨二病ラノベという感じで、2007年の刊行当時からその徴的なネタ台詞として擦られることが多いが人気のわりにラノベ読者の間で弄られることが少ない細音啓作品の一かもしれない有名ネタである)、別に読者にとっても意味不明台詞というわけではなく、そもそもこの台詞が登場するのはシリーズの設定や用語に読者染んできた第3巻の序盤。こういった用語や、作中に頻繁に登場する<讃来歌(オラトリオ)>によるポエミーな雰囲気に染めない読者は1巻で脱落しているだろうし、実際のところは普通に読んでいれば特別気になるような台詞ではない。この台詞を知ってから3巻を読むと「あっこれかあ!」になるだろうけどさ。
実際『黄昏色の詠使い』は2007年から2009年にかけて全10巻が刊行されたが、2chライトノベル大賞2007年上半期1位、「このライトノベルがすごい!2008」9位、完結時の「2010」では6位と、総じて当時のラノベ読者から高評価を得た名作であるということは付言しておく。現在電子書籍で読めるので、未読の方は手に取ってみてもらいたい。ラノベでは極めてしいおねショタ作品だよ!

まさか、大百科の記事作成を関連動画なしで?

『記事を作るのに〈動画〉は不要(いらない)

さあ、あなたの関連項目を教えて

関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

  • なし

【スポンサーリンク】

推しタグ選手権 8月開催中!
  • 1
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

提供:青あめしょー
提供:大好き❗アイドルモドキ 「承認欲求(忠誠心)だけが韋駄天🏃‍♂️の生きがいだ‼️たかし尊師の忠犬ランキング」
提供:足下おミル
小春六花 (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: NoirAuslese
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

まさか、後罪(クライム)の触媒(カタリスト)を<讃来歌(オラトリオ)>無しで?

1 ななしのよっしん
2025/01/13(月) 15:41:52 ID: FaMyP23rre

"CATALYST CRIME"というシンフォニックメタルバンド海外にいるのを知って少し笑った

👍
高評価
0
👎
低評価
0

ニコニ広告で宣伝された記事

ニコニコニューストピックス