もう少しこう何というか 手心というか...とは、手加減を勧める台詞である。
概要
漫画『シグルイ』第二景（単行本第1巻2話）で牛股権左衛門が発した言葉。手短に言えば「少し手加減をしたらどうか」という意味の台詞である。
第一景で描かれた御前試合の七年前。虎眼流の道場で試合稽古をしている最中、師範代の藤木源之助は稽古相手の弟子を鍔迫りによって床へ倒したのち、容赦なく喉を木刀で押さえつけ「参った」を言わせないよう苦痛を与え続けていた。それを見かねた兄弟子の牛股は「それまで」という言葉で制止した後に、微笑みを浮かべながら「藤木」「もう少しこう何というか」「手心というか…」と声をかけた。
この言葉に対して藤木は「牛股師範…」「痛くなければ覚えませぬ」と返している。つまり藤木としては無闇に弟子を虐めていたのではなく、苦痛によって反骨心・向上心を促すことも考慮して厳しく指導していたようだ。
時系列的には物語の開幕にあたるエピソードであり、外見こそ厳ついが弟子想いな面もある牛股と、剣の道をストイックに追求する藤木。両者の性格が一目で分かる会話と言える。ただ、本作の世界観は「封建社会の完成形は少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」という言葉の通り苛烈なものであり、藤木の発言を言葉通りに受け取れるかは疑わしい。
なお、その後の道場破りに来た伊良子清玄との試合では、逆に藤木が追い詰められてしまい、それでも藤木が試合を続けようとするのを再び牛股が止めに入っている。
ただし、その後の伊良子・牛股の試合では、牛股も虎眼流の他流試合の心得（「伊達にして帰すべし」[1]）に従い、手心を加えずに伊良子の耳を切りかけている。「手心というか」というのは「弟子への指導としては行き過ぎである」という意味であり、道場破りの場合は話が別ということと思われる。この時の牛股は弟子たちに対する穏やかな姿からは想像できないほど凶悪な表情を浮かべており、彼もまた藤木に負けず劣らずの曲者であることが分かる。
原作小説の『駿河城御前試合』には「七年前」の他流試合の話が存在しないため、この台詞も載っていない。
ネット上での用法
ネット上では痛烈な正論・批判・皮肉などを発した発言者に対する反応として、第三者から上記の台詞を引用したリプライが送られたり、原作の画像が投稿される事がある。
ただし、発言者に対して「言い過ぎだ」と窘める意味で使用されている事は少ない。むしろ、発言者に対して暗に同意を示したり、批判された相手に対する死体蹴りのようなニュアンス、あるいは自分にもその言葉が刺さるので勘弁してほしい、というような状況で使用される事が多い。
関連静画
関連リンク
関連項目
脚注
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