|
医学記事 医療や健康に関する相談は各医療機関へ |
アセトアミノフェン(Acetaminophen)とは、解熱鎮痛薬である。国際一般名はパラセタモール。商品名はカロナール®、タイレノール®など。
概要
アセトアミノフェンは、解熱鎮痛薬である。商品名として、医療用医薬品のカロナール®、アンヒバ®、アセリオ®、一般用医薬品のタイレノール®、ノーシン®などがある。また、小児用バファリン®や市販の風邪薬にも配合されている。剤形は錠剤、細粒剤、シロップ剤、坐剤、点滴静脈注射剤などがある。
1878年に合成され、1893年に初めて医薬品として用いられた。解熱作用と鎮痛作用を有するが、抗炎症作用がないため非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)には該当しない。アセトアミノフェンはNSAIDsと比べて胃の負担が少なく、解熱薬・非麻薬性鎮痛薬として有用であり、小児科領域でも汎用される。
適応・禁忌
アセトアミノフェンは、頭痛、歯痛、神経痛、腰痛、月経痛、がんによる疼痛など幅広い疼痛に対し、その鎮痛のため投与される。また、急性上気道炎(かぜ症候群)の解熱・鎮痛や、小児科領域の解熱・鎮痛にも適応がある。
重篤な肝障害や過敏症の既往歴のある患者に対しては禁忌。かつて、消化性潰瘍、アスピリン喘息、重篤な腎障害の患者に対する投与が医薬品添付文書上禁忌となっていたが、2023年10月の改訂により削除され慎重投与となった。
アセトアミノフェンの作用機序について、NSAIDsのようにシクロオキシゲナーゼ(COX-1およびCOX-2)を阻害するわけではない。COX-3阻害について示唆されているが、はっきりとはしていない。医薬品添付文書には、解熱作用は視床下部の体温調節中枢へ作用し血管を拡張させることによるもので、鎮痛作用は視床や大脳皮質の痛覚閾値を上昇させることによると記載されている。
毒性
アセトアミノフェンを過量投与すると、中毒症状として初期には嘔吐や食欲不振がみられ、24~48時間後に肝細胞が壊死して急性肝不全を引き起こす。これは肝毒性のある代謝物N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)によるものと考えられる。NAPQIはグルタチオン抱合を受けて無毒化されるが、大量に生成されたNAPQIはグルタチオンを枯渇させ、核酸やタンパク質と結合しその機能を障害する。解毒には、グルタチオン前駆体のN-アセチルシステインが使用される。高用量のアセトアミノフェンを長期投与する場合は、定期的に肝機能検査を行うなどの措置がとられる。
1999年、アセトアミノフェン配合の総合感冒薬とアルコール飲料を大量に摂取させ、保険金目的で殺害する事件(本庄保険金殺人事件)が発生した。この事件の主犯は2008年に死刑が確定した。
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 2
- 0pt


