保険とは、未来を考える人間が生み出した相互救済のための仕組みである。
- 慣用句、言い回しとしての保険。「こんなこともあろうかとちょっとした保険をかけておいた」
- 制度としての保険。もしくは金融商品としての保険
当記事では主に2について記載する。
概要
保険は、事故など何らかの損害に対して備える仕組みのことである。多数の人が保険料を出し合うかたちで資金を集める、その資金を使用する形で事故の場合に給付を行う。大枠として私営保険と公営保険が存在する。
保険の基礎構造
基本として保険は基礎構造として以下の三つの法則・原則を適用している。
これらは破綻せずに安定的に長期運用するためのものである。
なお、経営安定が必須条件である私営保険についてはこれらの条件がほぼ厳密に運用されているのに対して、公営保険(社会保険)の場合には収支相等の原則が満たせない場合が発生したり、給付・反対給付均等の原則が守られなかったりする。 これは公営保険があくまで保険の仕組みを応用して組まれた国家・社会の制度であり収支が取れなくても(税投入などで)運営が継続できる場合が多いためである。
大数の法則
大数の法則とは確率論・統計学で確立している法則で、同じ条件で多くの回数をおこなった場合、物事の発生率は特定の数値に収斂するというものである。簡単に言うとコインの裏が出る回数はほぼ1/2、サイコロの平均値はほぼ3.5になるという内容の裏づけとなる法則である。これを応用して保険では事故発生の確率(事故発生率、下記においてはW)を導き保険料と給付の基準を算定する。
給付・反対給付均等の原則
大数の法則で導ける事故発生率を使用して保険料が導けるという原則である。式としてはP=WZ(Pは保険税 Zは保険金 Wは事故発生率)。事故発生率Wが高いほど保険料が高くなる。
収支相等の原則
保険契約者の集団から集めた保険料の総額と、その集団の中で支払う保険金の総額が等しくなるように計算するという原則である。前提条件として集める集団と支払い集団が同一のリスクを持つこと。また、保険集団ごとの始期から終期までをまとめて集団と見るのが特徴であり、これによって複数の年齢を束ねた保険が成立するのである。
私営保険
民間が運営する保険のことであり、通常「保険」というとこちらを指し示す。日本では保険業法が規定法であり、金融庁が所管官庁となっている。共済も現在では保険の一種となっている。以下は日本における私営保険の分類である。
第一分野
保険業法上における「生命保険固有分野」
人の生死や傷病などによる損失を補償する保険。生命保険会社(株式会社、相互会社)、略称「生保」が取り扱っている。
第二分野
保険業法上における「損害保険固有分野」
事故や火災などでの物的損失・損害を補償する保険。損害保険会社、略称「損保」が取り扱っている。
なお、海上保険については昔から保険法が適応されていたのは保険そのものが海上保険を主な発端とするという歴史経緯によるものである。
第三分野
「第一分野」と「第二分野」両方に該当する、もしくはどちらでもないもの。
人にかける保険。
日本では公営保険が充実している為、公営保険の補助として設計されることが多い。
なお、第三分野については保険法が適応されている。
自動車損害賠償責任保険
通称「自賠責」
かつては社会保険の一つとして再保険が設定されていたが、2002年の改正自動車損害賠償保障法で再保険部分が撤廃され、現在は純粋な民間保険となっている。
詳細は自賠責を参照。
公営保険
社会保険や保証制度として設計された国家制度としての保険のことである。
詳細については社会保険を参照。
共済保険
再保険
保険の保険である。
詳細はについては再保険を参照。
関連する法律
保険業法と保険法は別の法律である。
- 商法
- 保険法
- 保険業法
関連商品
関連項目
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