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オトゥーム
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オトゥーム (Othuum)とは、ブライアンラムレイ創造したクトゥルフ神話の神である。

概要

ラムレイ最初期作品のひとつ[1]である『盗まれた眼/Rising with Surtsey』で言及された。
作中で登場した怪物魔道士ペシュ=トレン (Pesh-Tlen)の人にしてこの事件の黒幕とされる旧支配者


英語原題のスルツェイとは1963年アイスランドの南に出現した実在火山日本で例えれば「昭和新山や昭和硫黄島の形成は旧支配者の陰謀だった!」みたいな話である。

ラムレイオリジナル魔道書であるクタアト(クタアトアクアディンゲン)[2]の一節が作中で引かれており、その中では〈ク・リトル・リトル(クトゥルフ)の騎士 (Knight of Cthulhu)〉と呼ばれていた。

ラムレイは『木乃伊の手』[3]という小説で「全知の神オトゥーム」(Othuum Omnicia)[4]という魔道書も(書名だけ)登場させている。「賢者の石について」[5]、「妖秘密」、「牙の書」(エイボンの書)[6]、「ネクロノミコン」に並び立つほどの稀覯本。

ラムレイ作品の魔系存在はその多くが北のに潜んでおり、北の深淵ゲル=ホー (Deep Gell-Ho to the North)を本拠とするオトゥーム一味はその典と言える。
ただしこの旧支配者本人が眠っているのがゲル=ホーなのかどうかはちょっと曖昧なところだ。

作中での「活躍」は、クトゥルフからだかテレパシーだかを通じてお叱りを受けた上に、的のために火山を浮上させるという任務を部下に丸投げするというもの。直接登場もしなかったので、ラムレイ先生が続編を書く気になってくれるその日までは姿は不明である。クトゥルフ神話TRPGでの設定ではペシュ=トレンをそのまま巨大にしたようなデザインをあてている。
タイタス・クロウサーガの最終章『旧神郷エリシアexit_nicoichiba』で描かれた決戦では名前すら登場しなかった。

ペシュ=トレンとオトゥームの手先

ペシュ=トレンは作中で計画を孫請けした深海怪物種族の魔道士(Wizard)。これは個体名で、種族名は劇中の言及なし。
クトゥルフ神話TRPGでは、奉仕種族「オトゥームの手先」 (minions of Othuum)というそのまんますぎる名前を使っている。
実のところ、オトゥームは深きものどもも配下として従えており、この小説における北海近辺のディープワン達はゲル=ホーを拠点としているようだ[7]
ペシュ=トレは悪魔の岩礁近辺の深きものど[8]テレパシーで交信していた。人類の核技術の発展を極度に警していた彼にとって『インスマウスを覆う影』事件はまったくの時代遅れな情報でしかなかったのだが…
また『タイタス・クロウの帰還』では、ゲル=ホーに住まうショゴス[9]についてちらりと言及がある。

彼らの本来の姿は、ねじれたロープのような触手と複数の口があるくぬめる液に覆われた10フィート(3m)ほどもある塊で、ぬらぬらした怪物のような顔と、人間の2倍以上に膨らんだな眼がついている。

クトゥルフ神話作品のわる魔道士のたしなみとして、ペシュ=トレンも精神交換の術を使うのだが、彼の使う術にはかなり変わった特徴がある。

  1. ルルイエが浮上しているときでなければクトゥルフ狂気の精神波がを貫けないように、オトゥームの領土が浮上していないときにはその手先達の精神交換の魔力は地上にを与えられない。作中では、アフリカで活動していたシャッド=メル一味[10]テレパシー波を中継して人類の精神を混乱させることで理矢理に術を実行していた。
  2. 精神と一緒に互いの眼も入れ替わってしまう。海底種族の眼には地上の日差しはきついため、正体を隠す意味でも、横からでも眼がのぞけないほど大きなサングラスを必要とする。深海怪物の体に転移した人間の眼のほうは圧で潰れてしまう。
  3. 人間とは体構造が全く違う種族なため、転移直後は体がうまく使えない(イスの大いなる種族と程度は違えど同じ)。人間族にオトゥーム崇拝教団や協力者とかは一切あてがないらしく、ぶっつけ本番で精神交換を試みざるを得なかったペシュ=トレンはずいぶんと苦労していた。
    どういうわけか深海怪物の体に入った人間のほうはまで元のままで普通に喋ることができる。
  4. 自分の元の体に直接接触しないと術を解いて精神を戻すことができない。もしも怪物の体に戻れないまま術者が死んでしまった場合、人間の犠牲者の精神が宿っている深海の体のほうは同族達によってどろどろに分解され、辺に投棄される。
ペシュ=トレン達は、核兵器技術を別とすれば、人類をいたぶって遊ぶ玩具としか見なしていない。 元の怪物体は、深海から魔術でいきなり地上に召喚されてもピンピンしているし、めくらめっぽう振り回した触手が当たっただけでも大の男を吹き飛ばすほどの威力があるし、ものすごい勢いで液を分泌することもできる[11]と、かなり強壮な描写なのだから理もない話ではある。
そんな人間の体に入って活動するのは精神的に堪えるらしく、古代象形文字っていた日記愚痴を吐いていたりする。ラスト近くのほとんどギャグのような死に方もこの件で追い詰められていたことが大きいのかもしれない。ろくに支援もなしにな任務をさせるのはさておき、部下のメンタルケアはちゃんとやろうね。ほんとに。


登場作品:『盗まれた眼』-ブライアンラムレイ

関連商品

派生作品など

魔夜峰央漫画三部作『クレプスキュール』の第二作『トワイライト 大禍刻』に登場。また、2016年に結成されたドイツドゥームメタルバンドがこの名を冠している。

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関連項目

脚注

  1. *英語版短編集の自作解説前書きによると、発表は1971年だが書いたのは1967年なのだそうだ
  2. *作品によって Ctat Aquadingen と Cthaat Aquadingen の二通りのりがある。『盗まれた眼』では後者
  3. *新編 真ク・リトル・リトル神話大系 6exit_nicoichiba』に収録。この小説英語原題は『The Second Wish』で『New Tales of the Cthulhu Mythos』(1980)が初出
  4. *TRPG関連の資料では「全なるオトゥーム」と訳されることもある
  5. *"De Lapide Philosophico"、『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』で登場した魔道書
  6. *"Liber Ivonis"、ラテン語版の書名
  7. *クトゥルフ神話TRPGレウスモンストロルム』で深きものの項に書かれているグル=ホーとは、このゲル=ホーをしている
  8. *ひょっとしたらオトゥームの手先の同種族がそのあたりに棲んでいるのかもしれないが
  9. *シーショゴス(sea-shoggoth)。ラムレイ作品では、クトゥルフの勢力の海底拠点に同居して使役されるショゴスはこう呼ばれる
  10. *別に同盟関係とかではないようだ
  11. *この力はTRPGデータ化されていない

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