ガ・ゾウムは、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場するモビルスーツ。ガザ系MSの到達点のひとつだが異例な要素が多く、かなり独特なポジションにいる。
序文
最初に言っておきたいのは、ガ・ゾウムが『ガンダムZZ』の中でも極端に目撃数の少ないモビルスーツだということだ。 最初はゴットン・ゴーの乗機として登場し、仲間たちで1機を乗り回し、アーガマをそれなりに苦しめたが、最終的に鬱エピソード「泣き虫セシリア(後)」で爆破された。
「なんて…なんてことを…自分勝手な判断だけで…」
これ以降は、量産機扱いながら片手で数えられるほどの話数しか登場しないレアMSとなるのだが、しかしそのわずかな話数の中にも「ハマーンの策で無名パイロットに運用され、たった2機でネェル・アーガマを追い詰める」という量産機としては異例のものすごい活躍をする回があり、地味なんだか派手なんだか評価の難しい機体となっている。
こうした作品内での実情がろくに反映されず、「多数生産されネオ・ジオンを支えた主力MS」みたいに語られていたり、逆に「エース機として扱われていた」みたいなそれはそれでおかしくないか?という解説がされていたりするのがガ・ゾウムだと思います。
概要
GA-ZOWMN ガ・ゾウム |
|
---|---|
型番 | AMX-008 |
頭頂高 | 18.0m |
重量 | 31.6t / 58.2t(全備) |
出力 | 1,840kw |
推力 | 腕部:8,640kg×4 背部:9,620kg×6 総推力:92,280kg |
搭乗者 | ゴットン・ゴー ネル クレイユ |
兵装 | ハイパー・ナックルバスター |
ビーム・サーベル×2 (ビームガン×2) |
|
AMS-06H 9連装ミサイルラ ンチャー |
ガザ系の中ではMS時の戦闘能力を重視した機種だと言われる。機体構造はガザDよりも明らかに普通のモビルスーツに近く、モノアイも通常タイプのものになっている。その一方で両肩にミサイルとスラスターが一体化した大型のユニットが装備され、やはりそのシルエットは標準的モビルスーツと違うものになっている。背部には左右独立したムービングスラスターが設置される。モビルアーマー形態の姿も全く異なる。当初は「ガザE」として開発されていたが、ロールアウト時にガ・ゾウムに改名されている。この名前からも、他のガザとは位置づけが違う機体であることがうかがえる。
のちに『ガンダム・センチネル』で「ガザE」が別に登場する。ガザC・Dに続く次期主力量産機(ガザE)開発計画のうち、MS形態を重視したⅠ案がガ・ゾウムであり、Ⅱ案はそのままガザEとなり、両方が採用されたという経緯が設定された。
カタログスペックが全体的にガザDに劣るという謎の特徴があるが、無理に説明するなら脚部内に隠れたスラスター(MA形態で露出)を始めとする配置の見直し、腕部スラスター、左右6基の大型スラスターを搭載した背部モジュール、スラスターの推力方向の統一などでバランスを取っているのだろう。ただし、設定上の位置づけとスペックが噛み合ってないのは『ガンダムZZ』ではよくあることである。
- ハイパー・ナックル・バスター
主武装のビーム砲。
従来のナックルバスターは本体に搭載されたジェネレーターとの直結式の固定兵装だったが、こちらはEパックとグリップとトリガーの新設によって携行型になっている。ところでどこにEパックがつくのだろう。
こちらも表記上の出力がガザDのナックルバスターに劣っており、ハイパーの名から受ける印象と異なっているが、特別出力が弱い描写があるわけでもない。 - AMS-06H 9連装ミサイルランチャー
肩部に装備したウェポンラックに収納されたセミ・アクティブ・ホーミング・ミサイル。赤外線誘導式。
MA形態では下面に向く(爆撃用)。 - MA形態
他のガザシリーズとかなり形状が異なるMA形態。クローアームがなくなっており、爆撃機として使われるらしい。
肩部ウェポンラックが機首となり、背部ムービング・スラスターは左右にウイングとして展開、脚部が2つに割れスラスターが露出する。腕部のスラスターは両サイドに展開する。なおアニメではほとんど変形しなかった。
モノアイがガザ系の十字モノアイではないが、古いSDのイラストだと十字モノアイになっていることがよくあった。
『ガンダムUC』でも袖付き機体が新たに登場しており、決して存在を忘れられてはいない。ゲームでも量産機が多数登場するようなタイトルならだいたい見かけるが、特筆すべき点として最初期のゲームである『スクランブルウォーズ』に3機しかいない『ZZ』出身機の一機だったことを述べておく。
ガ・ゾウム(ガンナータイプ)
プラモデル「1/144ガ・ゾウム」説明書に掲載された機体。主にミサイルで構成されていたガ・ゾウムのウェポン・ユニットを、超遠距離射撃用の武装に換装した機体で、本体も頭部などのデザインが違う後期型のガ・ゾウムになっている。(素の後期型ガ・ゾウムのデザインは無い)
「ガンダムZZ」プラモシリーズの説明書が初出のバリエーション機で、かつてはSDのガシャポンになる程度に認知されていたのだが、他媒体で登場した『ZZ-MSV』の機体群と違い、資料集になかなか掲載されず、孤立してマイナー化していった。現在も特にMSVシリーズには分類されていないようだ。
ガ・ゾウム マリンタイプ
ハイゴッグ?→え、ガ・ゾウム型MS?→水中型ガ・ゾウムでした。
公式外伝のAOZ第3弾『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ 黒うさぎの見た夢』に登場。
U.C.0091年に火星ジオン残党「ジオン・マーズ(火星独立ジオン軍)」が用意した水中用MS。ネオ・ジオン軍が地球降下作戦のために開発していたパーツを流用したものとされる(これはZZ放送当時没になった「ガザ・マリナー」を、没になった経緯込みで意識した設定となっている)。
胴体は同じくRe-Bootで設定されたガザ・マリンタイプとほぼ同一で、腕を伸縮式のフレキシブルアームとヒート式アイアンネイル(旧ジオン系に見られるビームガン内蔵式)に変更。またナックルバスターを廃して肩部ミサイルが追加された。
火星を支配する「レジオン」が建造中の決戦兵器 ガンダムTR-6[インレ]の奪取作戦に投入されるが、ジオンマーズでは満足な生産を行えず、気密性に問題が生じ、水中での活動時間も切り詰められている。
フレームにも過度な負荷がかかり、本来なら出撃ごとのメンテナンスを要するが、次のインレ奪回作戦が最終チャンスであり、使い捨てと割り切って投入されている。
指揮官「猛牛コルト」の専用機も存在し、重装甲の胴体はズゴックに近いデザインに変化している。
関連動画
関連商品
関連項目
- 3
- 0pt