アーガマとは、アニメ「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」に登場する架空の艦艇。
概要
反ティターンズを掲げた抵抗組織であるエゥーゴにおいて活躍した艦艇。カミーユ・ビダンの母艦である。彼らパイロットとクルーをアーガマ隊と呼ぶ。
艦種と艦名
強襲巡洋艦とされるが、これは現実には存在しない艦種である。一説によると、当初は設計思想を継いでいるペガサス級強襲揚陸艦(ホワイトベース)と同様に強襲揚陸艦に分類される予定であったが、強力な艦載砲を搭載しているため、もはや強襲揚陸艦と言う実態に合わなくなった結果、新規の艦種が用意されたと言う。また、運用として一年戦争時のような大規模要塞攻略戦を念頭に置かず、単艦または少数でMS戦を展開することが想定されていたためとも言われる(実態としても正しかった)。
艦名は当初、前級の武勲艦であったホワイトベースにあやかりホワイトベースⅡになる予定であったが、建造に携わりスポンサーでもあったアナハイム・エレクトロニクス社会長のメラニー・ヒュー・カーバインの意向によりアーガマと名付けられた。これはサンスクリット語で「伝承」を意味する。
建艦までの経緯
作中では一年戦争時、もっとも活躍したかのように見えるホワイトベースだが、ペガサス級そのものが戦局に与えた影響はさしてなく、実際に主力として活躍したのはサラミス級巡洋艦にMS搭載能力を付与した改造艦だった。この戦訓と大量に発生した余剰艦艇、仮想敵であったジオン軍宇宙艦隊の消滅によりペガサス級は金食い虫と見られ、主力となる前に9艘(確実に確認できるだけだと8艘)で建艦が終了してしまう。
一方、連邦軍内では依然として大艦巨砲主義的な志向を持つ軍政家も存在し、彼らの圧力もありMS搭載能力を持たない宇宙戦艦バーミンガムを竣工させる(連邦が旧態依然さを示すエピソードだがこれは誇張があり、実際は砲撃能力とMS搭載能力を艦により分担させるドクトリンだったとも)。しかし、0083年のデラーズ紛争におけるデラーズ・フリートによる核攻撃によりバーミンガムは撃沈。戦後の連邦軍の建艦行政は一からの見直しを余儀なくされる。
一連のテロ事件により結成されたティターンズはいち早くこの戦訓を取り入れ、同時期に竣工していたアレキサンドリア級重巡洋艦(サラミスとムサイの後継艦であり、連邦では初のMS戦を最初から前提に設計した艦である)を多数配備することに成功する。これに対抗するべく結成されたのがエゥーゴであり、当然にMS搭載能力を前提とした新型艦が求められた。
性能
全長は323メートル。ペガサス級より一回りほど大きいが、後期製造タイプであったアルビオンとはほぼ同サイズである。
主砲は単装4門。副砲も4門。口径と詳しい取り付け位置は不明だが、これはペガサス級と比べても大変な火力増であり、巡洋艦に艦種変更された理由を説明する。
逆にメガ粒子砲は単装が両舷に一基ずつの計2門であり減少している。ただし、のちの改修でハイパー・メガ粒子砲に換装され、これはコロニーレーザー並の火力を誇っていた。このことからも、将来的な改良を前提にしてあえて火力不足をしのんだ可能性はある。
機関砲やミサイルランチャーの搭載数は不明。弾幕を張る描写から、少なくともペガサス級と同等以上のものは装備していると思われる。ただし、これは宇宙世紀の艦艇の傾向だが、対空は最終的にはMSに頼るものであり、決定的な装備とは見なされていなかったとも思える。
主兵装であるMS搭載能力は8機。ペガサス級は6機から15機説まであるため比べることは難しいが、サラミス級の4機よりは確実に多く、巡洋艦としては異例とも言える充実ぶりである。また、サラミス級では全てのMS整備を行うことは不可能で随伴艦か寄港地が必要であると言う説もあり、単艦での長期運用も特筆すべき点である。
居住性は遠心力を発生させることで多くの重力区画を有しており、同時代はおろか宇宙世紀の全ての艦艇と比べても最高レベルである。ゲリラの艦としては過ぎたる性能にも見えるが、信頼できる寄港地は限られており場合によっては年単位での無寄港航海もあり得るのだから当然の機能なのかもしれない。
ペガサス級で標準装備であったミノフスキークラフトについては、当初装備されていなかったが第一次ネオ・ジオン抗争時の改装により装備したと言う説と建艦中に追加されたと言う説がある。ただ、単独での大気圏離脱能力はなく、ブライトも宇宙に戻れなくなったことを危惧する発言をしている。
船型はペガサス級と比べた場合、カタパルトが開放式であり船体に背負わせる形式である。特徴的だったいわゆる木馬の形状は後退している。また、艦橋は戦闘時に引き込めることが可能で、被弾面積の軽減に配慮がなされていることが分かる。
戦歴
建艦された場所については諸説あり、月面からスウィート・ウォーターまで様々である。いずれにせよ、0087年の段階ではすでに竣工しておりエゥーゴによって運用がなされていた。当初の艦長はヘンケン・ベッケナー。また、エゥーゴ指導者のブレックス・フォーラも搭乗が確認されており、事実上の旗艦であったようだ。
0087年3月2日、グリプス1において行われていたティターンズの新型MS(ガンダム MKⅡ)の奪取作戦が行われ、カミーユ・ビダンの協力もあってこれに成功。小競り合いに終始していた両派は以後、本格的な戦闘へと突入する。
5月3日、グリプスを脱出したブライト・ノアがエゥーゴに参加。ラーディッシュの完成もあり、艦長職はブライトに移る(ヘンケンはラーディッシュ艦長へ)。
同月、地球・ジャブローへの降下作戦を援護。大気圏内外で激しい戦闘が行われエマ機の戦列離脱などの不手際もあったが、概ね無事に作戦を遂行する。
8月、地球へと降下していたMS部隊も順次帰還。月を中心に戦闘が行われ、10日にはティターンズによる「アポロ」作戦が発動され、一時期フォン・ブラウン市が陥落するもこれを阻止している。24日のグラナダへのコロニー落としと9月21日のサイド2への毒ガス攻撃も阻止に成功。
10月、アクシズ(アステロイドベルトに存在したジオン軍の残党)が地球へと帰還。交渉に赴くもこの時は決裂している。
12月、ティターンズによりグリプス2を改造したコロニーレーザーが完成。サイド18バンチを破壊する。1月にはこれ以上のティターンズ増長を危惧するメラニー・ヒュー・カーバインが直接交渉を表明。アクシズとの会談と同盟を実現するべくこれを護衛する。
2月2日、最終決戦となるメールシュトローム作戦に参加。グリプス2を占拠し、22日には終結していたティターンズ艦隊への掃射に成功。これをもってグリプス戦役は終結する。しかし、第三勢力であったアクシズがネオ・ジオンを名乗り各コロニーを占拠。新たな紛争が勃発する。
3月1日、サイド1シャングリラコロニーに入港。Zガンダム強奪を企てたジュドー・アーシタらと小競り合いになるが、最終的には協力を得ることに成功。28日には本格的な改装を行うべく、アナハイム社が有する自走ドック船ラビアンローズと接触。4月12日までに改修を終え出港。ハイパー・メガ粒子砲やミノフスキークラフトを装備している(以後、アーガマ改とも)。
5月から7月にかけて月とアクシズ周辺で小競り合いを繰り返す中、8月1日についにネオ・ジオンが地球へと侵攻。これを追撃して2日にアーガマも地球へと降下。29日、占領された連邦首府ダカール奪回作戦に従事。
10月には連邦首脳によるサイド3譲渡の方針に異を唱えるブライトとジュドーが拘禁され、さらに協力関係にあったカラバの指導者、ハヤト・コバヤシが戦死するなど劣勢に立たされる。しかし、この危機を乗り越え、11月にはアーガマ隊の宇宙帰還が決定。単独での大気圏離脱能力を持たないアーガマはカラバに委託され、以後のアーガマ隊はネェル・アーガマへと合流。主戦場も宇宙へと移り、アーガマは消息不明となった。
搭載MS
- RMS-099リック・ディアス
- RX-178ガンダムMk-II
- MSN-00100百式
- MSA-003ネモ
- MSA-005メタス
- MSZ-006Ζガンダム
- FXA-05DGディフェンサー
- MSZ-010ΖΖガンダム
- AMX-004-2キュベレイMk-II
- FXA-08Rメガライダー
歴代艦長
姉妹艦
アーガマの他はペガサスⅢのみ。ペガサスⅢはガンダムセンチネルに登場。α任務部隊の旗艦としてペズンの反乱の鎮圧に活躍している。
後継艦
しばしラーディッシュを二番艦とするムック・サイトが存在するがこれは誤りであり、ラーディッシュはアイリッシュ級戦艦である。ただし、両級は共通設計ともされ、またラーディッシュにはアーガマを発展させた要素も多くみられる。いずれにせよ最終的に本格的な量産はアイリッシュ級に譲ることになり、竣工から一年で地球に降下し余生を送ることになったため、その活躍に比してやや建艦史上は不遇な扱いであったとは言える。
後継艦としてはネェル・アーガマが挙げられ、こちらは0096年まで現役であったことが確認できる。また、ラー・カイラムも後継艦とみなすことができるだろう。
その他よもやま
- 前作のホワイトベースでも宇宙戦艦ヤマトを意識していたように、アーガマも「アニメ史上の仮想敵」はヤマトとされアニメ誌でも特集が組まれた。
- 総監督である富野由悠季氏はホワイトベースのリアリティに欠ける設計を悔いており、アーガマにはある程度の反省が見受けられる(艦橋の設定や船型など)。
- ファーストガンダム以外の艦艇の中では人気があり、プラモデル化も2回行われている。
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関連項目
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