ヴァル・ヴァロとは、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場するモビルアーマーである。
概要
型式番号はMA-06で、ビグロとビグ・ザムの間に誕生したとされるモビルアーマーである。
…だが、恐らくスタッフ的には
「ビグロはMA-05なのにビグ・ザムがMA-08と一気に二つも番号が飛ぶのは
その間に歴史の闇へと消えたモビルアーマーが存在したからなんだよ!」
「な、なんだってー!」
といったやりとりがあったかはさておき、せっかく空いてるなら、そこを埋めちゃえばいいんじゃね?的な発想で生み出された機体だと思われる。
ビグロの発展機であり、それでかつ機体のコンセプトとしては、これまでのジオン軍モビルアーマーのノウハウや発想がふんだんに盛り込まれた、贅沢な機体である。
真っ赤なカラーの装甲に、甲殻類を思わせるフォルムを持ったMAで、装甲にはビームコーティングが施されており、その流線型のフォルムと合わせることで、出力の弱いビームをほとんど無効化してしまう。
格闘兵装が挟む方式のクローであるため、視聴者から「カニ」と称されることもあるが、実際のカニとは色以外は別に似ていない。強いて言うならザリガニが近いか。
センサーはジオン伝統のモノアイ方式。コックピットはその後部にある。三基のスラスターも本体後部に装備され、各部には姿勢制御陽のバーニアを備えている。劇中ではこれらの要素のおかげか、直角移動という離れ業を見せている。
高機動戦闘に特化した機体にするというコンセプトであるため、前方には大型のメガ粒子砲、サイドには二門のビーム砲を装備している。また、牽制目的からか120mmバルカン砲も搭載している。
機体下部にはグラブロ系統の大型クローを装備しており、格闘戦も考慮されている。
また、本機体最大の特徴的な武装として、アッザム・リーダーの発展型であるプラズマ・リーダーがある。背部付近に装備された三つのプラズマ結界発生器を発射し、地表に打ち付けたうえで、その三点で囲んだ中にいる機体を行動不能に陥らせる武器である。ただし、敵・味方を区別するということは当然出来ないため、使用するタイミングが難しい。
一見するとすごいMAに見えるが、よく考えてもらいたい。ヴァル・ヴァロは宇宙空間における高機動戦闘を行うことを目的とした機体である。そんな機体が月面や衛星拠点などでしか使いようがなさそうなプラズマ・リーダーなどを装備して、どう活用出来るというのだろうか?実際この武器は試作してみたという面が強く、実用性は無視されている。
さらに言うなら、高機動戦闘を行ううえで、クローが必要なのかどうかということである。劇中では反転してガンダム試作1号機フルバーニアンを掴んで追い詰めているが、これは1対1という戦場ではなかなかないであろう、珍しい状況下において結果を出せたに過ぎず、こちらもやや実用を意識したのか疑問が残る。
そもそも1対1を想定した機体とは考えにくいヴァル・ヴァロに、クローが必要だったのかと言われればかなり怪しい。MSを相手にするのであれば、劇中で突進してザクを真っ二つにしていたように、自慢の装甲で弾き潰すか、そもそもその高出力の火力で殲滅してしまえば済む話である。
コンセプトに見合わない武装の数々が存在する、まさに試作機らしい試作機であったせいか、本機は3機製造されたものの、一年戦争の表舞台では出撃の機会を与えられず、闇に葬られたと言われている。
0083本編では、ケリィ・レズナーがデラーズ・フリートに合流するため、密かに修復して出撃の機会を待っていた。この時、アルビオンから離れて行動していたコウ・ウラキも協力している。ケリィが片腕を失っていることから、修復の際に片腕で操縦出来るよう、操作系統にも改良が加えられている。
しかし、ケリィがシーマに裏切られたことを知ると、その憤りから独断で発進。ガンダムを倒すことで功をあげて、デラーズ・フリートに参加しようと考えていた。
その後、コウ・ウラキのガンダム試作1号機と決闘を行い、ケリィのヴァル・ヴァロはほとんど優位に勝負を進めていたが、ウラキの常識はずれの機転で逆転され、そのまま撃破された。なお、ケリィ曰く脱出装置は積みこんでいないらしく、パイロットである彼もそのまま潔く機体とともにこの世を去った。
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