ビグロとはTVアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍のモビルアーマー(以下MA)である。
型式番号MA-05。初登場は第31話『ザンジバル、追撃!』。
概要
ジオン軍のMS-01(クラブマン)と競合し敗れたMIP-X1にAMBACを取り入れ、改良を進めた機体。開発したのはビーム兵器の技術に長け水陸両用モビルスーツ「ズゴック」を開発したことでも知られるMIP社。
宇宙戦用のMAで、2基の熱核ロケットエンジンによって驚異的な機動力を誇る。最高速度はマッハ10に及ぶという。武装として大口径のメガ粒子砲やクローアームを有し、高機動力を以って戦線から急速離脱するヒット&アウェイ戦法を得意とする。機体色は緑を基調とし、幅広の宇宙艇に巨大なクローアームを付けたカニのような外観が特徴的である。中央部分に大口径メガ粒子砲を1門備えているが、通常はカバー(通称クチバシ)で覆われており攻撃時にカバーが左右に開いて発射口が露出する。他にも4連装ミサイルランチャーを本体部分の左右前面に有している。劇中及び当時の設定画などでは、モノアイの色は白い。しかし近年では他のMS・MAのものと同様のピンク色で表現される事が多い。
初期型と後期型の2種類が存在しており、後期型は様々な改良が加えられている。まず2門の機関砲が前部に増備され、対空能力を付与。推力とジェネレーター出力を向上させ、より一撃離脱に長けた機体性能に仕上がっている。両腕のクローは多目的マニピュレーターに換装され、物を掴めるようになった。しかし後期型が投入された例は少なく、現状ビグ・ラングの制御ユニットに使われた後期型ビグロの6号機のみ。
一年戦争では
一年戦争開戦後の4月、グラナダ基地とキャリフォルニアベースにて生産開始。総数は14機と言われている。そして10月10日(異説では11月10日)に実戦配備されたとされている。ジオンのモビルアーマーは試作だけで終わる事が多かったが、ビグロは少数ながら量産まで漕ぎ着けている。しかし生産コストは決して安くなかったようである。初期型は14機生産され、後述のトクワン大尉機はこの初期型とされた。
ザンジバル級を母艦とし、地球軌道上でテスト飛行しようとしていた。ところがシャア大佐がホワイトベース追撃のためザンジバルを接収し、ビグロもシャアの指揮下に入る。一年戦争も終盤に入った12月4日、地球軌道上でホワイトベース隊と遭遇。強烈なGに耐性があったザンジバル指揮官のトクワン大尉が搭乗し、ザンジバルの底部から出撃。リックドム2機の護衛を伴って攻撃を仕掛ける。迎撃に現れたGブルとGファイターを軽くあしらい、機体性能の高さを見せ付ける。その後、本命のガンダムが出現し交戦。高速で移動しながらミサイル攻撃を行う。ビグロの高い機動力を活かし、(偶然ではあるものの)アームでガンダムを捕らえる。捕まった際にアムロは強力なGによって失神、ガンダムは動かなくなる。この隙を突いてメガ粒子砲でガンダムを撃ち抜こうとするも、直前にアムロが気を取り戻し間一髪で回避、逆にビームライフルでメガ粒子砲発射口から本体を撃ち抜かれ撃破。トクワン大尉もろとも爆散した。
ちなみにこのビグロ以外にも劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では終盤のア・バオア・クー攻防戦で別の機体が登場する。設定上量産されたと記されたMAはいくつか存在するが、劇中に複数の同一機体が登場するMAはビグロのみである。「機動戦士ガンダムMS IGLOO」第6話の冒頭でもビグロの編隊が確認できる。
PS3ソフト「機動戦士ガンダム戦記」のアバンタイトルにも登場。ア・バオア・クー戦の最中、暗礁宙域に展開していた連邦軍の補給部隊を3機編成で襲撃。自慢の機動力を活かし、満足に動けないコロンブス級やサラミス級を完膚なきにまで叩きのめした。巻き添えを食う形で補給中のジムも攻撃され、少なくともジム3機が撃破されている。ユーグのジム・コマンドによって1機が撃墜されるも、補給部隊を補給中の艦隊ごと全滅させる戦果を挙げた。残ったビグロの生死は不明。ちなみにアニメーション制作を担当した松尾監督によると、ビグロ部隊には学徒兵が乗っているイメージで描写したとの事。その割には強すぎだと思うんですがそれは・・・。
「機動戦士ガンダム サンダーボルト」第5話(原作漫画では第29話)にも登場。ア・バオア・クー攻防戦に投入され、ビアンカ・カーライルのジムをクローで掴みながら、戦闘宙域を高速で駆け抜ける。邪魔に入った別のジムをミサイル攻撃で粉砕し、拘束していたビアンカ機もクチバシのメガ粒子砲で葬ろうとするが、ほぼ零距離砲撃にも関わらずたったシールド2枚で防がれてしまう(上記の戦記ではサラミスの装甲を易々と貫通しているだけに疑問が残るシーンである)。そしてお返しと言わんばかりに頭部にビームサーベルを突き立てられ、撃破された。
高い機動力を誇るが、パイロットには気絶しかねないほどの高いGがかかる。そのためビグロのパイロットは高Gに耐えられる者しかなれない(前述のように、トクワンは耐性があった)。
一説によると、機体名はビック・クローから来ているとされる。巨大なクローを持つ事から連邦軍はビグロの事をこう呼んでいたらしい。ただしこれらは非公式設定である。
少数生産ながら一年戦争を生き残っており、一部漫画では戦後の抗争で使用されている姿が描かれている。
派生機体
- MA-06 ヴァル・ヴァロ(機動戦士ガンダム0083に登場)
- ビグロの発展機。機体色は赤を基調とする。メガ粒子砲を備える機体先端はビグロに比べて鋭く、グラブロのように機体下面に収納しているハサミ状のクローアームを展開した姿はロブスターを彷彿とさせる。武装はビグロと同じメガ粒子砲やミサイルポッド、クローに加え、110mmバルカン砲やアッザムのものを発展させたプラズマリーダーと様々。
- 劇中では元ジオン軍兵士のケリィ・レズナーが搭乗。彼は一年戦争時に左腕を失ったため、右腕のみでも操縦できるよう操縦系統を改造している。
- MA-05Ad ビグ・ラング(機動戦士ガンダムMS IGLOOに登場)
- ビグロの機体下部に開発途中だった別の巨大MAの胴体を据え付けた急造品。詳細は当該記事参照。
- MA-05R ビグ・ルフ(MSV-Rに登場)
- ビグロの下部に100m超の大型ミサイルを装備した強行型MA。詳細は当該記事参照。
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関連項目
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