播種性血管内凝固症候群単語

• 概要
• 原因
• 症状
• 治療方法
• 関連項目
• 掲示板

【ニコニコ大百科　：　医学記事】 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。

播種性血管内凝固症候群（DIC）とは、非常に危険な血液の病気の一つである。

概要

何らかの原因によって血液が非常に固まりやすくなり、全身の血管に大量の血栓ができる病気。血栓によって臓器に血液を送る血管が詰まってしまうため、腎臓や肺、脳などの多くの臓器が重大なダメージを受ける怖い病気である。

また、血栓が作られる際に血小板を大量に浪費されてしまうため、「血液が固まりやすいのに、同時に血液が固まりにくくなる」という矛盾した状態になってしまうのがこの病気の怖い特徴である。

原因

基本的に単独のDICのみを発症することは無く、多くの場合、重症の感染症や癌（悪性新生物）などの合併症として起こる。

DICの原因となる主な病気の例として、以下があげられる。

• 重症の感染症
  • ウイルス性出血熱…エボラウイルス病、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、重症熱性血小板減少症候群（SFTS）、腎症候性出血熱、黄熱病、デング出血熱など。
  • 新型コロナウイルス感染症
  • インフルエンザ脳症
  • 重症型の麻疹
  • 重症型の水痘（水疱瘡）
  • 重症型のロタウイルス胃腸炎
  • 敗血症（菌血症）
  • 劇症型溶連菌感染症（人食いバクテリア）
  • ビブリオ・バルニフィカス感染症
  • 溶血性尿毒症症候群（HUS）…腸管出血性大腸菌O157や赤痢菌などが産生するベロ毒素による重篤な腎臓・血液の病気。
  • 重症型のマイコプラズマ肺炎
  • マラリア
• 重症急性膵炎
• 肝不全
  • 劇症肝炎（急性肝不全）
  • 肝硬変（慢性肝不全）
• 癌（悪性新生物、悪性腫瘍）
  • 急性白血病（血液のがん）
• 大怪我
  • 交通事故
  • 拳銃や刃物などによる深刻な外傷
  • 重度の火傷
  • 高所からの転落
  • 毒蛇による事故…特に細胞や血管を破壊するタイプの猛毒を持つ毒蛇（ハブ、マムシ、ヤマカガシなど）に咬まれた場合。
• スティーブンス・ジョンソン症候群（SJS）…ごく稀に起こる医薬品の重大な副作用。
• 熱中症
• 妊娠の異常…子宮外妊娠による大量出血など

症状

「血液が固まることで起こる症状」と「血液が固まりにくくなることで起こる症状」がある。

臓器障害

血液が固まって血栓ができ、臓器に血液が供給されにくくなることで起こる。

例えば肺をやられた場合（肺塞栓症）、喀血したり呼吸が苦しくなったりする。腎臓をやられた場合（腎不全）、血尿・蛋白尿が出たり、尿が出なくなったりする。脳をやられた場合（脳梗塞）、意識障害が起こる。

酷い場合は手足が壊死して切断（手術）が必要になったり、多臓器不全によって生命にかかわることもある。

特に敗血症によるDICで臓器障害が起こることが多い。

出血傾向

血小板が浪費されることで出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりする。

鼻血、歯肉からの出血、皮膚の内出血（紫斑）などがみられる。酷い場合は大量出血、消化管出血（吐血、下血）、脳出血などが起こり生命に危険が及ぶ。

特に白血病によるDICで出血傾向が起こりやすい。

治療方法

早急に入院して治療を行う必要があるが、一度DICを発症してしまうと治療はきわめて難しくなり1ヶ月以内に死亡することが多い（致死率50％以上）。治っても後遺症が残ることが少なくない。

そのためDICの原因となり得る病気を予防したり、すぐに治療することがとても重要である。

関連項目

• 医学記事一覧
• 病気、疾患
• 血液