「おほほほほほほほほほほ」とは2014年度センター試験の国語の第2問の題材となった「快走」(著・岡本かの子)の終盤に登場するセリフである。
同様に登場する「あはははははははははは」についても本項で解説する。
内容
女学校を卒業してから毎日家事に明け暮れていた主人公の道子は、ある日の夕方に堤防を全力疾走したところその快感が癖になってしまい、翌日からアンダーシャツとパンツ(※)を着た上に着物でカムフラージュを施し、夜な夜な「銭湯に行ってくる」と家族に嘘(実際に銭湯には行くので嘘というよりは口実)を言って堤防へと向かい、全力疾走してその快感を存分に味わうという日々を過ごしていた。
(※)パンツの解釈によってはただの変質者であるが、当該問題には「運動用のズボン」のことであるという脚注がちゃんと付けられている。なお、パンツという語をどう解釈するかでその人の世代がある程度の精度で分かる。
湯船でねばっても40分程度しかかからないはずなのに道子が一時間半も帰ってこないことに対して、長風呂だと言いはる道子を両親は不審に思う。そこで道子宛に届いた手紙を検閲した愛する娘を心配して調べたところ、道子が「毎晩パンツ姿も凜々しく月光を浴びて多摩川の堤防の上を疾駆」していることを知る(その後手紙が道子の手に渡ることはなかった。調べる際に封を開けようと手紙をびしょ濡れにしたためか)。疲弊した娘が夜な夜な快感を求めて出歩いていることを知った父の「見たくなったよ…………俺の分身がね、そんなところで走ってるのをね」という言葉でいつのまにか両親二人そろって銭湯に行く道子を尾行することになる。決行期日、父はいつもより早く帰ってきて準備万端。母も離脱症状が出てきた道子の言い分をすんなり聞き入れ、道子は一目散に堤防へと向かう。両親も若いころのように娘を追いかけていくと、そこには運動用パンツに上はアンダーシャツという出で立ちで元気に走り回る道子の姿が!
「あれだ、あれだ」
父親は指さしながら後を振り返って、ずっと後れて駈けて来る妻をもどかしがった。
妻は、はあはあ言いながら
「あなたったら、まるで青年のように走るんですもの、追いつけやしませんわ」
妻のこの言葉に夫は得意になり
「それにしてもお前の遅いことったら」
妻は息をついで
「これでも一生懸命だもんで、家からここまで一度も休まずに駈けて来たんですからね」
「俺達は案外まだ若いんだね」
「おほほほほほほほほほほ」
「あはははははははははは」
二人は月光の下を寒風を切って走ったことが近来にない喜びだった。
二人は娘のことも忘れて、声を立てて笑いあった。
なお、道子の銭湯道中を尾行するよう命じられた兄陸郎は友人宅で夜12時近くまで遊んで帰ってきた挙句、道子が銭湯に行ったという事実のみを両親に報告した。道子とは親しすぎるあまり彼女をからかってしまう彼であるが、結構な妹思いである。それとも妹のアンダーシャツ姿を見て満足したただのシスコンか。
解説
2014年度センター試験の国語。前年度のセンター試験にも「スピンスピン」などネタにされる表記があったが、2014年度もやはり出現。センター試験初日終了後のツイッターには「あはははははははははは」「おほほほほほほほほほほ」など互いを称え合う(もしくは慰め合う)ツイートが飛び交った。
なお、文章自体は小説の中に小説があるという特殊な題材だった前年度に比べると比較的読みやすい内容であった。
この発言をみて2011年度の「ゴ・メ・ン・ナ・サ・イ・ネ」を思い出した者、はたまた「東京に5万隠した、見つけられるかな?」のスレを思い出した者など、各々がこの文に遭遇したときの感想は様々であっただろう。
ちなみに、問題の題材となった小説「快走」は問題文が全文であり、著作権切れ作品のため青空文庫で読むことができる(下記リンク参照)。
余談だが「あはははははははははは」「おほほほほほほほほほほ」の「は」「ほ」はそれぞれ10文字。
リンク
関連項目
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