武邦彦単語

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武邦彦とは、日本の元騎手・調教師である。

騎手としても調教師としても、父としても競馬界に大きな足跡を残した。

概要

武邦彦 たけ くにひこ
基本情報
国籍	日本
性別	男性
出身地	京都府京都市
生年月日	1938年10月20日
没年月日	2016年8月12日
身長	172cm
騎手情報
所属	日本中央競馬会(JRA)
	栗東T.C.
初免許年	1957年
免許区分	平地・障害(-1962)
引退日	1985年2月24日
重賞勝利	80勝/GI級8勝
通算成績	7,679戦1,163勝
調教師情報
所属団体	日本中央競馬会(JRA)
所属厩舎	栗東T.C. (1987-2009)
初免許年	1985年
引退日	2009年2月28日(定年)
重賞勝利	18勝/GI級3勝
通算成績	4,193戦375勝
騎手･調教師テンプレート

1938年、函館生まれ。実家は大牧場で父、祖父とも競馬と深いかかわりのある競馬一家に生まれた。しかし牧場は戦後の農地解放令で接収されている。

中学2年生で調教師である叔父の下で騎手見習いとなるが騎手試験には落第し続け、やっと合格したのは19歳。この間に邦彦は高校を卒業しており、今でも珍しい「高卒ジョッキー」である(ジョッキーは今も昔もたいてい中学卒業後高校に行かずに騎手の道に入る)。

騎手になってからもすぐにトップジョッキーになったわけではなかったが徐々に実力をつけ、約10年をかけてリーディング10傑の常連となる。八大競走にも長く恵まれなかったが、1972年に桜花賞とダービーを制覇。翌年にはタケホープで菊花賞の制覇を果たした。その後もトウショウボーイやキタノカチドキで大レースを勝利し、最終的には八大競走で8勝を挙げた。40歳を過ぎても実力は衰えず、関西所属騎手では初の通算1000勝も達成。1985年に騎手を引退した。引退後は調教師に転身し1987年に開業。バンブーメモリーでGⅠ2勝を挙げるなど、23年で375勝の成績を残した。

美しいフォームと繊細な手綱さばきで「ターフの魔術師」と称され、その騎乗は「絹糸一本で馬を御せる」とも言われた。理に適った確実な騎乗は、奇想天外な策で勝利を重ねた「天才」福永洋一とよく対比され、ライバルに擬せられることも多かった。実際、邦彦の全盛期が洋一の全盛期と重なり、邦彦は全国どころか関西リーディングすら1度も獲得していない。しかし二人は非常に仲が良く、若い頃は二人で高速道路を暴走したりしたのだとか。
また、邦彦は当時としては珍しく、関西所属でありながら関東馬にもよく騎乗した(トウショウボーイも関東馬である)。今でいうフリーランスの先駆けともいえ、その功績を称える声も多い。また172cmという騎手としては稀な長身と端正な顔立ち、スマートなイメージからファン人気も非常に高かったという。

そして邦彦の三男・豊は父の成績をはるかに超える稀代の天才騎手となり、四男・幸四郎は武邦彦厩舎に所属しデビュー2日目で重賞を勝つなどGⅠ6勝。邦彦は父としても競馬界に偉大な騎手を送り出したのである。もっとも邦彦は子育てに関しては放任主義だったようで、豊も「普段はなんにも言わない人」と語っていた。ちなみに幸四郎が生まれた直後、菊花賞3勝目を挙げた邦彦は息子の名前を「菊三」にしようかと提案したが、夫人に「落語家みたいだからダメ」と却下され「幸四郎」になったらしい。

調教師引退後は競馬解説者として活動。2016年に病気のため世を去った。77歳。

邦彦が晩年在籍した武田作十郎厩舎で弟弟子だった河内洋は邦彦から大きな影響を受け、騎手として大成。後に武田厩舎に所属した武豊は河内を手本として大騎手に成長した。邦彦の技は今も天才の技術として競馬界に残っている。

ちなみに豊は170cm、幸四郎は177cmと息子たちもかなりの長身。身長も確実に遺伝している。

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