流星艦上攻撃機(りゅうせいかんじょうこうげきき)とは、大日本帝国海軍の艦上攻撃機である。
開発製造は愛知航空機。
従来別々の機体であった艦上爆撃機と艦上攻撃機双方の任務をこなせる、いわば「艦攻爆」。
高い性能と先進性を誇りながら、終戦直前の完成故に活躍できなかった悲運の名機である。
概要
天山艦上攻撃機と彗星艦上爆撃機の2つの機体の後継機。
急降下爆撃・水平爆撃・雷撃の三種の任務を全てこなせる先進的な統合攻撃機である。
このため、流星は
機体番号:B7A1(Bの記号は艦上攻撃機の符号)
機体名称:流星(星にまつわる名前は艦上爆撃機に使う)
と両者の間の子になっている。
機体中央に爆弾倉を持ち(魚雷は収まらないので機外)、そのため主翼は中翼配置。
しかし、着陸脚を可能な限り短縮するため、日本機には珍しい逆ガル翼を採用している。
偵察任務もあるため三人乗りが基本の日本海軍の艦上攻撃機としては異例の二人乗り。
これは偵察任務を専用の機体(彩雲艦上偵察機)に割り振ったためである。
厳しい要求のため重量オーバーや強度不足など開発は難航したが、完成した機体は
・抜群の速力と軽快な機動性
・戦闘機(零戦52型乙)並みの高火力
・防弾装備も完備(日本の艦上攻撃機としては初)
・操縦席が一段高い上エンジンが細身の誉なので視界も良好
ただしその代償として、日本製艦上機としては重量もサイズも最大クラス。
運用には、発艦時の長い滑走距離(それでも、強力なフラップなどの装備により、爆装していても100m程度の滑走距離で発艦できるとの説がある)、機体サイズに対応したエレベーター(ただし、主翼を折りたたんで昇降することができたため、エレベーターが小さい空母でも、この点はあまり問題にならない)、大重量に対応した新型の着艦制動装置が必要であり、大型の大鳳型や信濃型でなければ難しかったのではないか、と言われている。
・翔鶴型空母の場合、船体や飛行甲板が大型であるため待機場所や滑走距離は確保できるが、着艦制動装置を新型に換装する必要があった。
・雲龍型空母の場合、着艦制動装置は対応していたが、船体や飛行甲板が中型であるため待機場所や滑走距離に余裕が無く、ブースターやカタパルトが必要との指摘があった。
空襲や東南海地震の影響などで最終的な生産数はわずか114機。
その上、完成時には日本海軍機動部隊が当に壊滅していたため、空母に積まれることもなかった。
しかし、その性能は日本海軍の艦上攻撃機/爆撃機の最後を飾るに相応しいと評される。
コンセプトについて
流星の最大の特徴である「艦上攻撃機と艦上爆撃機の統合」は、一つの夢と言える物であった。
何しろ狭い空母の上で運用するのだから、扱う機種は少ない方が整備するのに都合がいいのだ。
それでも、わざわざ分けて配備してきたのには、両者に大きな差があるからだった。
- 艦上攻撃機
- 目標:敵艦の撃沈
- 手段:魚雷による雷撃、大型爆弾による水平爆撃
- 特徴:大柄な機体になるので運動性は低い
- 艦上爆撃機
- 目標:敵空母の飛行甲板の破壊、可能なら敵艦の撃沈
- 手段:小型爆弾による急降下爆撃
- 特徴:機体は比較的小柄で運動性は高め
このように初めのうちはかなりハッキリとした差があった。
しかし、艦船の対空火力の強化により、艦上攻撃機には砲火を突破するための機動性が求められた。
一方で、艦船の装甲の強化により、艦上爆撃機にはより大型の爆弾の運用能力が求められた。
そこまで来ると「じゃあ同じ機体でできるようにした方が良くね?」と考える奴が出てくるのは当然。
そうして流星の先進的なコンセプトが形作られたのである。
なお、同様のコンセプトを持つ機体として、名機と名高い米国のA-1スカイレイダーが存在する。
関連動画
関連静画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 軍事/軍用機の一覧/攻撃機
- 日本海軍
- 九七式艦上攻撃機
- 九九式艦上爆撃機/彗星
- 烈風:コンビを組むはずだった機体その1
- 彩雲:コンビを組むはずだった機体その2
- 銀河:同じようなコンセプトを持つ機体
- A-1スカイレイダー:同コンセプトのライバル
- 0
- 0pt
- ページ番号: 5281316
- リビジョン番号: 2950325
- 編集内容についての説明/コメント:

