ここでは、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(激甚災害法)によって指定された災害について取り扱う。
概要
全国規模の被害が出た「激甚災害(通称:本激)」と、特定の市町村に大きな被害が出た「局地激甚災害(通称:局激)」の二種類がある。
激甚災害の指定には細かい規定があるものの、共通するのは「復興事業の査定額が、国や都道府県市町村の税収入のうちの一定の割合を超えること」である。詳しくは激甚災害と局地激甚災害の指定基準を参照。
激甚災害に指定されると、被害を受けた自治体の国庫からの補助金が増える。被災地の早期の復興を目指すために作られた制度である。
主な激甚災害
ここでは本激について記述する。
地震と災害の名前については、より有名と思われる方を優先して記述する(例:兵庫県南部地震と阪神淡路大震災では後者を採用)。
1984~1999年
当時の激甚災害の基準は現在の者と比べ厳しかったため、該当する災害は比較的少ない。
- 8.5水害(1986年)
福島県を中心に発生した水害。台風10号が変化した温帯低気圧の雨によって発生。死者127人、124,959棟が被害を受けた。 - 三陸はるか沖地震(1994年)
三陸地方の八戸のはるか離れた沖で発生したことからこの名前になった。最大震度6(当時強弱の区別なし)、M7.6。死者3人、72棟が全壊。 - 阪神淡路大震災(1995年)
最大震度7、M7.3を記録した兵庫県南部地震によって引き起こされた。死者6,434人、104,906棟が全壊。人口密集地の阪神地域で発生したため、被害が大きくなった。
1999年~
激甚災害の基準が緩くなり、この年から台風を中心に多くの災害が指定されるようになった。ここでは主なものを記述する。
- 新潟・福島豪雨/福井豪雨(2004年)
避難準備情報のガイドラインが作られるきっかけとなった2つの水害。同じ7月に5日違いで発生した。合わせて死者20名、136棟が全壊。 - 平成16年の6つの台風(2004年)
台風10号、11号、16号、18号、21号、23号が相次いで上陸したため、激甚災害指定を受けた。16・18・23号の死者数合計は160人。 - 新潟県中越地震(2004年)
震度7、M6.8の地震。68人が死亡、4,172棟が全壊。 - 平成17年台風第14号(2005年)
渇水状態だった3億1600万立方メートルの早明浦ダムを1日で満水にした台風。死者26人。 - 平成21年7月中国・九州北部豪雨(2009年)
エルニーニョ現象の影響により、「湿舌」が発生したことが原因となって豪雨になった。死者32名、全壊48棟。 - 東日本大震災(2011年)
東北地方太平洋沖地震によって発生。大津波による被害が大きく、また福島第一原発事故なども引き起こされた戦後最大規模の災害。別名「3.11」。死者・行方不明者18,429人、建物の全壊・半壊合わせて404,890棟。 - 栄村大震災(2011年)
東豊地方太平洋沖地震に誘発されたと考えられる長野県北部地震の災害。死者3人、63棟が全壊。 - 平成23年台風12号(2011年)
高知県に上陸した台風。しかし、被害が最も大きかったのは紀伊半島である。死者92名。 - 平成26年8月豪雨(2014年)
広島市の住宅地に土砂が流れ込んだ災害。死者84名、214棟が全壊。 - 熊本地震(2016年)
震度7を記録する地震が2回発生。死者267名、8,673棟が全壊。 - 平成28年台風第7号、第11号、第9号、第10号及び前線による大雨・暴風(2016年)
北海道~東北にかけて立て続けに上陸した台風、および停滞した前線による被害。台風第10号では岩手県下閉伊郡岩泉町では小本川が氾濫し、付近のグループホーム入居者が濁流に飲み込まれ9名が亡くなった。また北海道のじゃがいも畑などに大きな被害が出たため、一時期発売休止となるポテトチップス製品が現れた。死者は合計28名。 - 平成29年7月九州北部豪雨(2017年)
梅雨前線による豪雨。福岡県朝倉市などに大雨特別警報が発令された。死者40名、336棟が全壊。 - 西日本豪雨(2018年)
岐阜県以西の広範な地域で発生した豪雨。特に岡山県倉敷市真備地区、広島県広島市などでの被害が大きかった。「平成最悪の水害」とも呼ばれる。死者263名、6,783棟が全壊。 - 平成30年の3つの台風(2018年)
台風19号、20号、21号による被害。特に21号では関西空港で滑走路が浸水し、タンカーが連絡橋に衝突した。21号での死者は14人、68棟が全壊。 - 北海道胆振東部地震(2018年)
震度7を観測。厚真町などで土砂崩れが多発し、北海道全域でブラックアウトによる停電が発生した。死者43人、469棟が全壊。 - 令和元年台風第19号(2019年)
長野県以東の河川が多数氾濫し、様々な地域で水害が発生した。25日・26日の豪雨を含め、現時点で91名の死者が確認されている。
関連動画
関連リンク
- 最近の激甚災害の指定状況について(内閣府)
- 気象庁
- 気象庁が名称を定めた気象・地震・火山現象一覧
- 災害をもたらした気象事例
- 過去の地震津波災害(明治5[1872]年~平成7[1995]年)
- 日本付近で発生した主な被害地震(平成8[1996]年以降)
関連項目
- 1
- 0pt