地震とは断層運動、及びそれによって生じる揺れである。後者は"地震動"とも呼ばれ、断層運動である地震と区別される。
規模の大きいものは災害につながり、建造物・ライフラインを破壊したり土砂崩れや火災、津波、地割れなどを起こし、人命・財産に甚大な被害をもたらす。
概要
そもそも何故地球で地震が起きるのかというと、火山と同様で地球内部の熱が原因である。
地球内部は表面から化学的に分けると、地殻(地表から大陸地殻で25-75km、海洋地殻で6km)、上部マントル(地殻の下~410km)、マントル遷移層(410km~660km)、下部マントル(660km~2900km)、外核(2900~5100km)、内核(5100~6400km)から構成されている。また、マントルと地殻を地表から力学的に分けると、剛性が高いリソスフェア[岩石圏](地殻と上部マントルの一部)、流動性が高いアセノスフェア[岩流圏](上部マントルの一部)、剛性が高いメソスフェア(上部マントルの一部とマントル遷移層と下部マントル)に分けられる。このうちリソスフェアはプレートとも呼ばれ、この二語はほぼ同義である。
マントル地球の中心部である外核と内核では46億年前の地球誕生時に放射性崩壊によって発生した熱が未だに残っており、下部マントルではこの熱によって温められ上昇流発生し、上部マントル・地殻へ上がっていく。この上昇流をホットプルームと言う。上部マントル・地殻へ到達したホットプルームはゆっくり冷やされ重くなり、下部マントルへ沈む下降流となる。この下降流をコールドプルームと言う。下部マントルと外核の境界付近(グーテンベルク不連続面)へ沈んだコールドプルームは再び核の放射熱によって温められ再びホットプルームとなる。この循環する対流運動はプルームと呼ばれ現在有力な学説と考えられており、この学説をプルームテクトニクスと言う。
対流運動であるプルームによって、プレートは流動性が高いアセノスフェアに流される形で移動している。プレートは現在は十数枚存在しており、プレートが引きちぎられることによって海嶺などからマグマが噴出し新たなプレートが生成され、プレート同士が衝突している部分では重いプレート方が軽いプレートの下に沈み込みコールドプルームとなる。これらのプレート同士が引きちぎられたり(拡大型)、衝突したり沈み込んでる部分(収束型)、或いはプレート同士がすれ違ってる(トランスフォーム型)部分が部分をプレート境界と言う。
プレートは剛性が高く、弾性体として振舞う。その為歪みを加えると弾性変形し、やがて限界を超えると剪断破壊を起こす。この時の弾性変形した部分を褶曲、剪断破壊した部分を断層という。また、断層が剪断破壊を起こす瞬間を断層運動或いは断層破壊、即ち地震と言う。プレート境界ではプレートが歪み変形が起き易い為、地震が多く発生する。
日本では、大きく分けて4枚のプレートに乗っかっており、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートに日本が存在している。これらのプレート境界は日本では全て収束型境界として存在しており、このプレート境界によって日本では世界の地震の約1割が発生している。
断層運動以外が要因の地震動としては、隕石の衝突、爆弾の爆発、火山噴火、氷河の移動、人の生活振動などがある。
震度
日本における震度は気象庁震度階級と呼ばれ、0から7までの10段階。(平成8年より震度5・震度6はそれぞれ強・弱に分けられている。)震度には国際的な基準はなく、分け方も国・地域ごとに異なる。
日本で震度階級が初めて作られたのは1884年(明治17年)。当時の内務省地理局が全国の観測所や役所に通達した「地震報告心得」による。当時は微震・弱震・強震・烈震の4階級であり、(それぞれ現在の震度1、2から3、4、5以上)地理局はこの基準に沿った報告を各所に求めた。
その後1898年(明治31年)には弱震・烈震をそれぞれ2分割して6段階とし、1937年(昭和11年)の地震観測法により、1996年まで使用される微震・軽震・弱震・中震・強震・烈震の各名称がつけられた。最上級となる激震(震度7)は戦前は公式には存在しなかった(非公式には明治時代から烈震の上の段階として存在したが、定義はされていなかった)が、1949年(昭和24年)に新たに制定された。一説には1948年(昭和23年)6月24日の福井地震で広範囲で家屋倒壊率が90%を超え、これまでの震度6と同列に扱えないと判断されたことがきっかけとされる。
以後1996年(平成8年)までは、地震計も参考にするものの、基本的に測候所職員の体感で震度が決定されていた。(震度7のみ、後日気象庁が震度5以上の地域の被害状況を勘案して決めるという仕組みであった。)
しかし、この方法では震度を発表できる地点がきわめて限定されており、直下型地震のような狭い範囲での大きな揺れをただちに把握しきれないことがあった。1995年(平成7年)の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で震度の決定が遅くなったことも情報速度の観点から問題視された。加えて、それまでの震度は揺れの強さより被害状況の目安としての性格が強かった(1990年代には地震計による計測も補助的に用いられるようになった)が、震度5と震度6は被害の幅が広すぎるという声が出てきた。1990年代前半に最大震度6の地震が多発したが、建物の耐震化が進んだことによって同じ震度でも被害状況に差がある(昔の同震度の地震に比べ被害が少なく、具体的には震度6でも建物がほとんど倒壊しないケースもあった)ことが増えてきた。
そのため、震度は地震計の数値によって市町村単位で速報する方式に変更となり、また震度5と6をそれぞれ2段階に分割し、予想される被害をより細かく示すようになった。
1980年代までの震度6は、揺れは現在の震度6弱~7のいずれかに該当するが、インパクトとしては現在の震度6強、もしくは7に相当する。震度5も同様にインパクトは震度5弱~6弱に相当する。
以下、気象庁震度階級関連解説表を参考に作成。(平成21年3月31日更新) →表をスキップする
震度 | 人の体感・行動/ 屋内の状況 |
屋外の状況/ 地盤・斜面等の状況 |
建物の被害(木造住宅/ 鉄筋コンクリート造建物) |
NHK総合テレビの対応 |
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0 | 人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 | ―― | ―― | ―― |
1 | 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。 | ―― | ―― | テロップ「地震」 ※通常6~10分後、地震が発生した地域のみで表示。 |
2 | 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。 |
―― | ―― | |
3 | 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。 棚にある食器類が音を立てることがある。 |
電線が少し揺れる。 | ―― | テロップ「地震」 ※震度3以上は通常3分以内に全国で表示。 |
4 | ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。 |
電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。 | 特に予想される被害はない。 | テロップ 「やや強い地震」 |
5弱 | 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。 固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 |
まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。 地盤に亀裂(小さな地割れ)や液状化が生じることがある。落石やがけ崩れが発生することがある。 |
耐震性の低い木造住宅では、壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。 | テロップ 「強い地震」 ※総合テレビは臨時ニュースに切り替わる。 また、震度5弱以上が予想された場合は緊急地震速報が流れる。 |
5強 | 大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。 テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。 |
窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。 | 耐震性の低い木造住宅では、壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。 耐震性の低い建物では、壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が入ることがある。 |
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6弱 | 立っていることが困難になる。 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。 ドアが開かなくなることがある。 |
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。 地割れが生じることがある。がけ崩れや地すべりが発生することがある。 |
耐震性の低い木造住宅では、瓦が落下したり、建物が傾いたりすることがある。倒れるものもある。耐震性の高い木造住宅でも、壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある。 耐震性の低い建物では、ひび割れ・亀裂が多くなる。耐震性の高い建物でも壁、梁(はり)、柱などの部材に、ひび割れ・亀裂が入ることがある。 |
テロップ 「強い地震」 ※チャイムが鳴り、NHK全波で臨時ニュースに切り替わる。 ※民放では「非常に強い地震」という表現も使われることがある。 |
6強 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。震度7では家具が飛ぶこともある。 |
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。 大きな地割れが生じることがある。がけ崩れが多発し、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。 |
耐震性の低い木造住宅は、傾くものや、倒れるものが多くなる。耐震性の高い木造住宅でも、壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある。 耐震性の低い建物では、斜めやX状のひび割れ・亀がみられることがある。1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものがある。耐震性の高い建物でも、ひび割れ・亀裂が多くなる。 |
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7 | 補強されているブロック塀も破損するものがある。 | 耐震性の高い木造住宅でも、まれに傾くことがある。 耐震性の低い建物では、倒れるものが多くなる。耐震性の高い建物でも、1階あるいは中間階が変形し、まれに傾くものがある。 |
因みに海外の震度階級は、改正メルカリ震度階級(MMI)が主にアメリカで使用されており、I~XIIの12段階評価である。その他にもメドヴェーデフ・シュポンホイアー・カルニク震度階級があり、主にCIS、EU、中東の一部などで使用されている。クソ長いので略してMSK震度階級と呼ばれることが多い。こちらも改正メルカリ震度階級と同じくI~XIIの12段階評価であるが、MMIとは結構違う。
日本の周辺の国では、ロシアがMSK震度階級、アメリカがMMI、韓国もMMI、台湾が旧気象庁震度階級っぽい震度階級(0~7の8段階評価)、 中国では地震烈度と呼ばれる震度階級が設定されており、I~XIIの12段階評価が使用されている。
震度とマグニチュードの違い
震度とマグニチュードは混同されやすいが、全く異なる概念である。震度はある地点での揺れの大きさを表す単位であるのに対し、マグニチュードは地震の規模(地震で放出されたエネルギーの大きさ)を表す単位である。
音で例えるなら、マグニチュードはスピーカーの音量に、震度は実際に聞こえる音の大きさにあたる。
小さなイヤホンの音でも耳元で鳴っているなら大きな音に聞こえるし、巨大なスピーカーでも数km離れれば蚊の鳴くような音にしか聞こえない。同じように、マグニチュードが小さくても震源域からの距離が近い場所では大きな震度になることがあるし、巨大地震でも震源域からの距離が遠ざかるにしたがって震度は小さくなっていく。
しかし、上記の内容とは逆に、震源に近い場所の震度が比較的小さく、その地点より離れた場所での震度が1~2段階大きい数字になる事もある。
これは「異常震域」といわれ、プレート内部の構造や地震計を設置している場所の地盤の硬さなどで起こる。
地盤が柔らかい地域では揺れが増幅され震度が大きくなる一方、硬い地盤の上にある地域では周辺の地域より揺れが小さくなったりする。
また、揺れの伝わり易さも地盤の構造によって異なるため、同じ地域でも震度が異なる場合がある。
有名な例としては、1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)がある。
震度発表時、大阪市は気象庁発表で震度4であった。しかし震源となった淡路島北部沖から遠い京都市や滋賀県彦根市では震度5と発表された。
これは大阪市の地震観測点が比較的強固な地盤の上に位置していた事や、京都市・彦根市の観測点が堆積層の上に位置していたため、揺れが強くなりやすい環境であったことが原因と思われている。
また、大阪府内でも民間による非公式の地震計のデータで震度7相当の揺れが観測された地点もあり、震源から遠い=揺れが小さいとは一概に言えないのである。
地震の種類
地震の種類は大きく分けて三つあり、いわゆる直下型地震、海溝型地震、海洋プレート内地震である。ここではそれを書く。
大陸プレート内地震
内陸地殻内地震とも言う。いわゆる直下型地震。直下型地震というのは実はマスコミ用語で学術的には適していない(というか、定義がない。最近では直下型地震と言う言葉が広まっているため、便宜上使われる場合がある)。陸で発生する震源が浅い地震などとも言われたりする。直下型地震と直下地震はどちらもマスコミ用語で定義などないが、前者が内陸地殻内地震のみを指し、後者は"地震のメカニズム関係なく、震源地が陸上のもの"という風に使われることが多い。その為、南関東直下地震の主な想定はプレート間地震である。
この地震のメカニズムはプレートテクトニクスにより、海洋プレートが沈み込む際の押す力が内陸側にも及び、陸側プレート表面に断層が発生し、その断層がずれる際に発生する地震が内陸地殻内地震である。特徴としては海溝型地震よりも規模は小さめで、震源の深さは20kmよりも浅く、地震による被害は震源付近に集中しやすいことである。
日本周辺では海溝やトラフが多いため、内陸地殻内地震は逆断層が主流である。奥羽山脈や赤石山脈あたりは逆断層によって出来ている。逆断層は左右から圧縮応力がかかり、その力を逃すため、片側がもう片方に乗り上げるようにずれるものである。わかりやすくいうと、こんにゃくゼリーをカップから取り出す際とよく似ている。カップを左右両方から圧力をかけると中身がぷるんと出てくる。この中身がぷるんと出る際に起きるのが地震である。のどを詰まらせないよう気をつけたい。
また、日本では逆断層だけでなく、海溝付近や九州・沖縄県では正断層も多い。逆断層は左右から圧縮応力がかかる事によってずれることに対し、正断層は左右から引張応力がかかる事によって発生する。この左右からの引張応力を逃す際に片方がもう片方に滑り落ちるようにずれる。
そのほかに横ずれ断層がある。横ずれ断層はせん断応力が水平にすれ違うようにずれる断層である。北から南に直線の横ずれ断層があるとして、上から見て左側が南に、右側が北にずれる物が左横ずれ断層、左側が北に、右側が南にずれる物を右横ずれ断層と言う。
海溝型地震
プレート間地震とも言われる。ただ、プレート間地震だと海溝以外のプレート境界部で発生する地震も含む。アメリカ西海岸のサンアンドレアス断層や、海嶺で起きる地震もプレート間地震である。
この地震のメカニズムは、例の如くプレートテクトニクスにより海洋プレートが海溝・トラフから大陸プレートに沈み込む際、プレートの境界部に圧縮応力がかかり、大陸プレートが歪み、それが溜まりばねのように跳ね返ることによって発生する。日本近海では、太平洋プレートが北アメリカプレートに沈み込んでいる千島・カムチャツカ海溝と日本海溝、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込んでいる伊豆・小笠原海溝、ユーラシアプレートが北アメリカプレートにぶつかっている日本海東縁変動帯と新潟-神戸歪み集中帯、フィリピン海プレートが北アメリカプレートに沈み込んでいる相模トラフ、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込んでいる南海トラフと琉球海溝でプレート間地震が発生する。
海溝は海溝でも、海溝型地震がやたらめったら起きる海溝とあまり起きない海溝がある。例えば千島海溝では同じ固有地震が凡そ平均約70年間隔で発生しているのに対し、伊豆・小笠原海溝では固有地震というものすらない(とされている)。これは海溝型地震のメカニズムは海洋プレートが大陸プレートに沈み込み、大陸プレートに歪みが溜まり、解消される際発生するものであるが、その歪み自体が発生しにくい、つまりプレート境界部がすっごい滑るよ状態だと歪みが溜まらず地震も発生しないと言うものである。この歪みの溜まりやすさはカップリング率という。カップリング率は海洋プレートが沈み込む海溝周辺が最も高く、プレート境界部の深さが深くなるにつれて低くなっていく。これは、深くなればなるほど、地球内部の熱によって、プレートが溶ける為だとされている。プレート境界部の温度が350℃よりも高いとプレート境界部が完全に溶ける為、カップリング率が0%になる。その為、海溝型地震はプレート境界部の温度が350℃よりも深さでは発生しない。プレートが350℃になる深さは各プレート境界ごとに異なっており、日本海溝では60~80km程度、南海トラフでは30km程度、琉球海溝では50km程度である。プレートが作られた時期が遅いほど深い位置でも海溝型地震が発生するようになっているが、これはプレートが海嶺から噴出したマグマで作られ、年月が立つと、プレート自体の熱が、作られた頃よりも低くなるためである。伊豆・小笠原海溝や琉球海溝で、日本海溝や南海トラフと比べると大きな海溝型地震があまり発生しないのは、実ははっきりしたことは分かっていない。
海溝型地震は海溝全体で一気に海溝型地震が発生するわけではなく、海溝内で個別して発生する場合が多い。この個別で発生する地震のうち、活動周期の規則性があり、規模も同じくらいの地震を固有地震と言う。例えば南海トラフ内には東海地震・東南海地震、南海地震、日向灘地震とそれぞれが個別で発生し固有地震である……が、この個別で発生するものが2つ以上一気に発生する場合がある。これを連動型地震と言う。連動型地震はその個々の固有地震の合計よりも規模が大きい場合が多く、例えば東北地方太平洋沖地震では、固有地震で分けると三陸沖中部+三陸沖南部(M7.7)+宮城県沖(M7.5)+(福島県沖)M7.7+(茨城県沖)M7.2=約M8.1だが、実際はM9.0である。これは、固有地震以外にも他に巨大地震の周期がある(スーパーサイクル)と言う説がある。
因みに、スーパーサイクルは日本周辺では現在3箇所明らかになっており、北海道東部で500年間隔、三陸沖で600年(或いは1000年)間隔(東北地方太平洋沖地震)、そして南海トラフでスーパーサイクルが確認されている。南海トラフの活動間隔ははっきりと分かっていない。(350年とか言われている。)
そしてこの海溝型地震、津波を発生させやすい。海溝型地震が発生し、大陸プレートが溜まった歪みを開放する際、断層運動によって海底が大きく隆起するため津波が発生する。日本近海でのプレート境界部は、全てで津波が発生しうる。特に、M8以上の地震は大津波が発生する可能性があるため、注意が必要である。
また、近くで地震起き、津波が発生しても震源周辺の沿岸部しか津波が襲わないと言うわけではなく、遥か彼方地球の裏側で津波が発生し、沿岸部に来襲する可能性がある。過去の例としては1960年チリ地震が発生した際、約23時間かけて三陸沿岸を襲い、日本で多数の死者を出したと言うものがある。これを遠地津波と言う。2004年スマトラ島沖地震でも遠地津波が発生し、約9時間後に南アフリカ沿岸部を襲った。
海溝型地震は揺れが弱いor家屋を倒壊しにくいと言うイメージを持ってる人はいないだろうか。否、それは間違いである。1923年関東大震災では海溝型地震であるが、震源域が神奈川県や千葉県の直下で、揺れによる家屋倒壊で約2万人、火災で約8万人の死者を出した。また、1854年の安政東海地震の際も、震源域が駿河の直下で揺れや液状化現象で現在の山梨県や静岡県、愛知県などに大きな被害を出した。
逆に、海溝型地震は津波を発生させる。その為、「内陸直下型地震は津波を発生させない」と思ってる人はいないだろうか。それも間違いである。地震によって津波を発生させる要因は"海底の上下の地殻変動"であり、海溝型地震でも内陸直下型地震でも、震源域が海底にあれば津波が発生しうる。
海洋プレート内地震
単にプレート内地震とも言う。海洋プレート内地震は、大まかに分けてスラブ内地震、アウターライズ地震がある。
スラブ内地震は沈み込んだ海洋プレート内で発生し、震源は浅いものは海溝周辺で10km、深いものは700km弱までで発生する。気象庁では60km~200kmをやや深発地震、200km以上深い地震を深発地震と呼んでいる。ちなみに深さが70km程度以上深い地震は全てがスラブ内地震であり、そこより深いスラブ内地震を深発地震とも言う場合もある。また、スラブ内地震は200-500kmでは正断層の地震、深さが670km付近では逆断層の地震が多い。
アウターライズ地震は沈み込む前の海洋プレート内で発生し、震源は浅いものでごく浅い、深いものでは100km前後で発生する。震源が浅い場合は正断層地震、プレート中層だと横ずれ地震、深い場合だと逆断層地震が多い。これは海洋プレートが大陸プレートに沈み込む際、海洋プレートが落ち込むため折り曲がり、浅い部分が引張応力、深い部分が圧縮応力によって拉げる為である。例えるなら、スポンジを折ると分かりやすいかもしれない。折った外側は引っ張られて、折った内側はしわしわに圧縮されてるのが分かる。
また、震源が浅い場合の正断層地震の場合は津波を発生させる場合がある。顕著なものでは1933年昭和三陸地震(M8.1)、2007年千島列島沖地震(M8.1)などがある。
主な地震
日本で発生した主な地震
ニコニコ動画開始(2006年12月12日)以降発生した最大震度6弱以上の本震と思われる地震、および大百科に記事のある地震で明治以降に起きた震度6以上の地震、もしくは大津波が発生した地震を記載する。
その他の地震については日本で起きた災害の一覧を参照。
- ※(2)これらの地震当時は震度階級が震度6(烈震)までしか存在しなかったが、被害状況や揺れの大きさから、現在であれば最大震度7とみられる。※(1)濃尾地震が起きた当時は、震度階級が烈震(震度5以上相当)までしか存在しなかったため、現在の震度階級に換算して表示した。
- ※(3)最大震度は5である(北海道南西沖地震は6と推定される)が、大津波が発生したため記載する。
- ※(4)気象庁では最大震度6弱としているが、地点によっては最大震度7を観測したという見解も存在する。
- ※(5)平成28年熊本地震の本震は、4月16日の地震であるとされているが、前震でも最大震度7を記録したため、本記事では双方を記載する。
- ※(6)平成28年熊本地震により、熊本県阿蘇地方にある別の活断層が影響を受けて発生したとみられる群発地震。熊本地震の震源域(熊本県熊本地方など)で発生する余震とは別の地震であるため記載する。
- ※(7)震源は東北地方太平洋沖地震の余震域に位置するが、東北地方太平洋沖地震から10年以上経過していて余震の判定が困難であることから記載する。なお、気象庁は2021年4月に「余震と考えられる」の発表を取りやめている。ちなみに東北地方太平洋沖地震はプレート境界で発生したのに対し、今回の地震は太平洋プレート内で発生した地震であるため、東北地方太平洋沖地震の余震ではないと考えられている。
- ※(8)石川県能登地方では2020年から地震が発生していることから、群発地震と考えられている(前震・本震・余震の分類が困難なもの)。なお、気象庁は後に一連の群発地震を「令和6年能登半島地震」と命名した。
特に1996年(平成8年)以前に起きた地震については、震度階級の基準や表示が現在と異なっている。震度6(烈震)のものには現在の7相当も含まれると思ってもらえればよい。
世界で発生した地震
ニコニコ動画開始(2006年12月12日)以降に日本国外で発生した以下に当てはまる地震を記載する。
発生日、発生時間は現地時間。規模はアメリカ地質調査所(USGS)発表の数値。
発生日 | 発生時刻 | 地震名称 | 発生地 | 規模 | 備考 |
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2007年1月13日 | 13時24分 (UTC+9) | 千島列島沖地震 | ロシア、千島列島 | M8.1 | |
2007年4月2日 | 7時39分 (UTC+11) | ソロモン諸島沖地震 | ソロモン諸島 | M8.1 | |
2007年8月15日 | 18時40分 (UTC-5) | ペルー地震 | ペルー(リマの南南西150km) | M8.0 | 当年最多犠牲者数(519) |
2007年9月12日 | 18時10分 (UTC+7) | スマトラ島沖地震 | インドネシア、スマトラ島沖 | M8.5 | この年最大規模 |
2008年5月12日 | 14時28分 (UTC+8) | 四川大地震 | 中華人民共和国、四川省 | M7.9 | この年最大規模、最多犠牲者数(87,587) |
2009年9月29日 | 6時48分 (UTC-11) | サモア沖地震 | サモア(アピアの南190km) | M8.1 | この年最大規模 |
2009年9月30日 | 17時16分 (UTC+7) | スマトラ島沖地震 | インドネシア、スマトラ島沖(パダンの西北西60km) | M7.5 | 当年最多犠牲者数(1,117) |
2010年1月12日 | 4時53分 (UTC-5) | ハイチ地震 | ハイチ(ポルトープランスの西南西25km) | M7.0 | 当年最多犠牲者数(316,000) |
2010年2月27日 | 3時34分 (UTC-3) | チリ地震 | チリ(コンセプシオンの北北東107km) | M8.8 | この年最大規模 |
2012年4月11日 | 15時38分 (UTC+7) | スマトラ島沖地震 | インドネシア、スマトラ島沖(バンダ・アチェの南西434km) | M8.6 | この年最大規模。余震でもM8.2を観測 |
2012年8月11日 | 16時53分 (UTC+4:30) | イラン北西部地震 | イラン、東アーザルバーイジャーン州 | M6.4 | 当年最多犠牲者数(306) |
2013年2月6日 | 12時12分 (UTC+11) | ソロモン諸島沖地震 | ソロモン諸島、サンタクルーズ諸島沖 | M8.0 | |
2013年5月24日 | 17時45分 (UTC+12) | オホーツク海深発地震 | オホーツク海(エリゾヴォの西北西380km) | M8.3 | この年最大規模 |
2013年9月24日 | 16時29分 (UTC+5) | パキスタン地震 | パキスタン、バローチスターン州 | M7.7 | 当年最多犠牲者数(825) |
2014年4月1日 | 20時46分 (UTC-3) | イキケ地震 | チリ(イキケの北西83km) | M8.2 | この年最大規模 |
2014年8月3日 | 16時30分 (UTC+8) | 魯甸地震 | 中華人民共和国、雲南省 | M6.2 | 当年最多犠牲者数(617) |
2015年4月25日 | 11時56分 (UTC+5:45) | ネパール地震 | ネパール、ガンダキ県 | M7.8 | 当年最多犠牲者数(8,947) |
2015年9月16日 | 19時54分 (UTC-3) | イヤペル地震 | チリ、イヤペルの西48km | M8.3 | この年最大規模 |
2016年4月16日 | 18時58分 (UTC-5) | エクアドル地震 | エクアドル、ムイスネ郡 | M7.8 | 当年最多犠牲者数(676) |
2017年9月7日 | 23時49分 (UTC-5) | チアパス地震 | メキシコ(トレス・ピコスの南南西101km) | M8.2 | この年最大規模 |
2017年11月12日 | 21時48分 (UTC+3:30) 21時18分 (UTC+3) |
イラン・イラク地震 | イラン、エズゲレ/イラク、ハラブジャの南29km | M7.3 | 当年最多犠牲者数(630) |
2018年8月19日 | 12時19分 (UTC+12) | フィジー深発地震 | フィジー(オノ・イ・ラウの北北東286km) | M8.2 | この年最大規模 |
2018年9月28日 | 18時02分 (UTC+8) | スラウェシ島地震 | インドネシア、パルの北70km | M7.5 | 当年最多犠牲者数(4,340) |
2019年5月26日 | 2時41分 (UTC-5) | ロレート地震 | ペルー、ラグナスの南東78km | M8.0 | この年最大規模 |
2019年11月26日 | 3時54分 (UTC+1) | アルバニア地震 | アルバニア、マムラスの西南西15km | M6.4 | 当年最多犠牲者数(52) |
2020年10月30日 | 13時51分 (UTC+2) 14時51分 (UTC+3) |
エーゲ海地震 | ギリシャ、ネオ・カルロヴァシの北北東13km | M7.0 | 当年最多犠牲者数(116) |
今後日本で発生が想定されている地震
名称 | 想定震源 | 想定規模 | 想定被害 |
---|---|---|---|
想定東海地震 | 遠州灘(駿河トラフ) | M8.0級 | 30年内発生確率:87%(参考値) 死者数:約7,900~9,200人 全壊建物:約230,000~260.000棟 経済被害:約31兆~37兆円 大津波発生の可能性 |
東南海・東海地震連動型 | 静岡県から三重県にかけての太平洋沿岸または太平洋上(南海トラフ) | M8.4級 | 30年内発生確率:70%程度 地震後経過率:0.76(東南海地震) 死者数:約12,000~18,000人 全壊建物:約330,000~360.000棟 経済被害:約57兆円 大津波発生の可能性 |
東海・東南海・南海連動型地震 | 東海地震および東南海・南海地震が同時または同時期に発生(南海トラフ) | M8.7級 | 30年内発生確率:60%程度 地震後経過率:0.71(南海地震) 死者数:約22,000~28,300人 全壊建物:約513,000~568,600棟 経済被害:約53兆~81兆円 大津波発生の可能性 |
首都直下地震 (南関東直下地震) |
南関東で発生する相模トラフ沿いの固有地震以外の地震 | M7.2級 | 30年内発生確率:98% 死者数:最大約13,000人 帰宅困難者:最大約6,500,000人 全壊建物:最大約850,000棟 経済被害:最大約112兆円 |
中部圏直下地震 | 愛知県中部(猿投-高浜断層帯) | M7.7級 | 30年内発生確率:0~2% 地震後経過率:0.4-1.1 死者数:約4,300~11,000人 全壊建物:約190,000~300,000棟 経済被害:約33兆円 |
近畿圏直下地震 | 大阪府北部(上町断層帯) | M7.5級 | 30年内発生確率:2~3% 地震後経過率:1.1-2よりも上 死者数:約20,000~42,000人 全壊建物:約660,000~970,000棟 経済被害:約74兆円 |
長野県直下地震 | 長野県中部(糸魚川-静岡構造線断層帯北部・中部) | M8.0級 | 30年内発生確率:14% 地震後経過率:1.2 死者数:約3,500人 全壊建物:約100,000棟以上 |
三陸沖地震 | 三陸沖(日本海溝外縁隆起帯) | M8.4級 | 東北地方太平洋沖地震の発生により、誘発が危惧されている。 大津波発生の可能性 |
房総沖地震 | 千葉東方沖(日本海溝) | M8.0級 | こちらも同様に、東北地方太平洋沖地震の発生により、誘発が危惧されている。 大津波発生の可能性 |
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