生長の家とは、1929年に谷口雅春によって開かれた新興宗教である。
概要
谷口雅春が以前に信仰していた宗教団体「大本」の影響を受けているとされる。
ただし「大本」は神道系の宗教であるが、生長の家は神道の他に仏教・キリスト教などの他の宗教、ニューソート運動、さらにカントやヘーゲルやラルフ・エマーソンといった哲学や思想をも取り込んでいる。
また、同宗教系の出版社「日本教文社」がフロイトやユングの精神分析、ウィリアム・ジェームズのプラグマティズムなどの書籍も出版しており、これらの要素とも親和性があったとみられる。
生長の家というのはもともと谷口が自費出版していた雑誌の名前。この雑誌やこれをまとめた単行本の『生命の実相』を読んだら健康になった、人間関係がよくなったなどの便りが寄せられるようになり、読者が連絡を取り合うために教団を興したというのが立教の経緯である。
健康になったり人間関係がよくなったりするのはプラシーボ効果のようなものであって不思議なことが起きているわけではないという解釈から近代的な宗教とみなされ、高学歴者や軍人、政治家に支持された。
神は宇宙の実相で生成化育の大生命であるとする。
この『生命の実相』の内容で信者を獲得していったが、その過程で「生命の実相を読むと病気が治る」といった言説も出回っており、これを現世利益的に過ぎるとして離れた信者もいたという。
政治的方向性の変遷と分裂
第二次世界大戦当時、および戦後の東西冷戦期に、谷口雅春は宗教活動に並行して皇国主義・保守主義・反共主義な政治思想も表明しており、生長の家が自民党などの保守系政治家や各種政治団体との協力体制を組んでいた時期もある。70年代の大学闘争において「民族派(当時すでに右翼という言い方には悪いイメージがあったのでこう自称していた)」の学生の多くが信仰していた。
ただし経年による指導者層の世代交代、生命倫理法制関連での自民党との協調失敗、ならびに対立していた共産主義の自然衰退などを受けて、近年では保守的政治思想の色を薄めた。現総裁の谷口雅宣(谷口雅春の孫)の元では政治運動よりも宗教運動重視、さらには環境重視などの方針に舵を切っている。
だが、谷口雅春の保守的な著作を重視するグループはこういった転向に反発しており、生長の家の本部と袂を分かち「本流運動」などと呼ばれる分派を立ち上げている。本部側はそれら保守的な分派グループを「時代錯誤的」「原理主義的」として批判する声明を発表しており、また逆に分派側は本部を批判しているなど、明確な対立関係が生まれている。
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本部側
分派側
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