電話おじさんとは、以下のいずれかを指す。
この記事では2.を解説する。
概要
2000年代まで営業をはじめとしたやりとりは電話による通話が一般的で、メールでのやりとりもあったものの対話のほうがリアルタイムに伝わりやすいということで重宝されていた。しかし2010年代になると特殊詐欺や勧誘電話が社会問題化する一方で、ビジネスにおいてもTeamsやZoomといったSNSやweb会議サービスが発展した。特に2020年にSARS-CoV-2が流行するとオフィスワークから在宅ワークに切り替わり、会議やミーティングなどはSNSやweb会議サービスを使用することが増え、電話での会話は「記録が残りにくい」「居場所がわかりづらい」等の問題から次第に使われなくなっていた。
一方で通話でコミュニケーションをとってきた中高年にとってSNSやweb会議サービスを使うのは操作が手間などで馴染むことができず、固定電話や携帯電話での通話に拘る中高年男性に対して電話おじさんという言葉が使われ始めている。
電話おじさんという概念の発明?
2018年5月のweb版「現代ビジネス」の記事で、新しい通信技術を拒否し、電話を使い続ける中高年のビジネスマンを批判する記事が掲載されている。
コロナ禍の前であるが、2010年代後半の時点ですでに情報技術を使いこなせる人と使いこなせない人の間での格差が引き起こす問題は認識されていた。その一例として該当記事で取り上げられたのが、連絡ツールとして電話を使い続ける中高年のビジネスマンである。
この記事では時代が経るに連れて、より進んだ技術によるツールが登場するものであると述べており、同時に人は若い時期に慣れ親しんだツールに依存する傾向を指摘する。具体例として現在は新しいツールを使いこなせない中高年であっても、かつては書類を手書きしていた時代に新たに導入されたワープロを習熟して使いこなしたことに触れている。そして、2010年代後半現在で様々な新ツールを使いこなしている若者たちも、あと20年後に新たに生み出されたツールは使いこなせないだろうという予想も述べている。
記事は続けて、連絡ツールには同期的なものと非同期的なものがあることを述べ、電話は前者に属すると説明する。同期するとは連絡する側と連絡される側が同時にツールを使わなくてはならないことを意味しており、手紙やメールは非同期的なものであり、LINEなどのメッセージツールは使用法によって同期的にも非同期的にも使える。そのうえで、かつて電話が連絡ツールの主流を占めたのは、タイムラグなしに連絡できるツールが他に存在しなかったからと述べる。
ここまでを枕としたうえで、記事は「本当に電話は必要か」と問いかける。同期的ツールであるがゆえにどうしても「割り込み」が発生する電話のデメリットなどを挙げ、すでに電話の役割はほぼ終わったと結論付けている。
電話の利点と欠点
SNSやweb会議サービスが発展した現在においてあくまで通話によるやりとりは悪いことではない。通話の一番のメリットは手軽にリアルタイムにニュアンスが伝わりやすい部分で、ニュアンスがうまく伝わりにくいSNSや設定が難しいweb会議サービスに対して現在でも手軽に相手とのやり取りがやりやすいツールであることは間違いないであろう。
その一方で、同期的ツールであるがゆえに、連絡先の相手の作業に割り込み、中断させるというデメリットもある。さらに、声でのやり取りが故に電話単独では記録ができず、メモや録音ツールを別途用意する必要がある。
このような不便な点が重なると作業効率は低下する。1件1件は細かいロスであっても月単位や年単位では馬鹿にならない損失である。メールなどの非同期的ツールであれば、作業が一段落したときにまとめて対応することもできる。
以上のメリットデメリットを理解せずに電話以外の選択肢を検討すらせず、電話のメリットを自分で享受し、デメリットを他人に押し付けてしまっている。そのような人が「電話おじさん」といわれてしまうのかもしれない。
世代間の乖離
上記のような事情に加えて、SNSに慣れてしまっている若者は電話での通話に慣れておらず、受け答えに苦慮することが多い。実際ニュースサイトでは若者の電話離れによって通話によるコミュニケーションが取れないことを危惧する記事が掲載される一方で、SNS上では「上司や客からの電話が怖い」「電話応対が悪いと叱責されて鬱になった」など若者の悲鳴ポストが散見されている。
要するに、これまでも繰り返してきたし、これからも繰り返されるであろう世代間の認識のギャップが埋められないが故の「電話おじさん」呼びである。
対策
このようにトラブルになりやすい電話おじさんに対してどのように対応すべきかを取り上げる。
- 通話は作業や会議中だと対応が難しいなどの問題があることを伝え、対面ができない場合はSNSやweb会議サービスを使用することを促すこと。
- SNSやメールでやりとりする場合は、余程のことがない限り電話は使わずSNSやメールの使用を促すこと。
究極的には、おじさん側が新しいツールに対応するしかないので、できれば長い目で見てほしい。年を取ってからの習熟は若い時の何倍もかかるものなのである。
関連静画
おじさんの認識ツールに習熟できないおじさんの認識 |
若者の認識電話を嫌う若者の認識 |
関連項目
関連リンク
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