BM-21とは、ソビエト連邦(現ロシア連邦)で開発された自走式ロケット砲システムである。愛称は『グラート(霰)』。
概要
大祖国戦争(第2次世界大戦)で運用された『カチューシャ』自走ロケット砲の流れを酌む兵器でありトラックに車載された状態で運用される特徴も受け継いでいる。
他のソビエト製兵器に違わず旧東側国家を中心にライセンス・コピー生産品も多く、1960年代に開発されて以来、60年近く運用されている兵器システムである。
構造
口径122㎜の筒型ロケット砲を40基束ねた架台を荷台に備えたボンネットタイプのトラックが基本的な外観だがロケット砲トラック単体ではなく弾薬補給トラックを含めて『BM-21』システムが構成される。
ロケット弾本体は榴弾、地雷散布弾、クラスター弾など直接攻撃から煙幕・照明・電波妨害といった攻撃支援と幅広く用意されている(流石に核弾頭は用意されていない模様)。射程は10㎞~40㎞程度で味方と直接対峙する敵部隊や攻撃目標となった陣地・拠点への攻勢準備攻撃に用いられる事が多い。
射撃時は発射位置に停車してから3分程度で40発のロケット弾を20秒で目標地域に叩き込む能力を持つ反面、装填には10分を要するため連続射撃能力は低い。
派生型
ソビエト/ロシア
- BM-21V
空挺軍向けの小型軽量版。ロケット砲を12連装に減らして2軸トラックに艤装。輸送機からの空中投下が可能。 - 9k-132
東側ゲリラ向けに開発された単装型。3脚での運用が基本だがテクニカルに装備されることもしばしば。 - A-215
艦載型。揚陸艦が上陸地点に突入する際に敵防衛部隊を制圧するために開発。
海外
- RM-70
チェコスロバキア仕様。国産4軸トラックに艤装することで発射機と弾薬架台を一緒に載せて連続射撃能力を向上させた。キャビンを装甲化してドーザーブレートを追加できる国内型と非装甲の輸出版が存在。 - 81式/90式
中国が中越紛争の際にベトナムからの鹵獲品を基にしたコピー品。双方共3軸のキャブオーバートラックに儀装されているが後者ではRM-70同様の弾薬架台と荷台全体を覆う幌が備わる。 - プリボール1/2
モルドバ国内の親露勢力『沿ドニエストル』が運用。前者は原型同様の3軸トラックにロケット砲を半減(20連装)しているのに対し後者は12連装のロケット砲を4基一纏めにして艤装し、待機・移動時は発射口を後方に向けているのが特徴。
- ソマリランド仕様
ソマリア国内の独立勢力『ソマリランド』で2020年代から見かけられる様になった型。
発射機自体は既製品の40連装だがシャーシは明らかに日本の73式大型トラックが使われている。
これは以前から指摘されていた『用廃になって分解・スクラップ化された自衛隊車両が輸出された東南アジアで再生された』車両の一つ[1]と見られている。 - GRADLAR/ACCULAR122
イスラエル・IMI社が自社製の160㎜ロケット弾技術によってBM-21を改良したもの。特にACCULARは精密誘導機能を追加した事で地対地ミサイルとなりMLRSでの運用も可能。
関連作品
動画
静画
関連項目
脚注
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