EF510とは、JR貨物及びJR東日本が保有する電気機関車である。
概要
青森から秋田や新潟を経由し近畿地方へ至る日本海縦貫線では、途中で切り替わる電化方式のため交直流電気機関車が貨物列車の先頭に立ってきた。従来それはEF81の独壇場であったが、近年老朽化が進行したため代替として2002年に登場したのがEF510である。
同車の登場の遙か以前、JR貨物が発足し間もない頃に同じく交直流電気機関車EF500がプロトタイプとして落成していた。しかし同車はトラブルやあまりに過剰な性能(最大出力6000kw)が非経済的とされ、無かったことにされてしまった。
EF510はこの失敗から、牽引量に対し適切な出力とした直流電気機関車EF210をベースに設計。言うならば「交直流型EF210」である。足回りや出力はEF210に準拠、制御器はマンモス機EH500をベースにするなど、実績を積んだものばかりの堅実な構成である。
赤く塗られた車体は全長がひときわ長く、他の多くの機関車とは異なるシルエットを持つ。これは交直流対応機器や耐雪構造などを多数搭載するためと考えられる。シングルアームパンタグラフを外開きに載せているのも個性的。
前面の意匠はEH500の三次形に似るが、輪郭が扁平な2面折れとなったりライトの位置が下がるなど独自の表情を持つ。
他のJR貨物機同様に一般から愛称が公募され、「ECO-POWER RED THUNDER」と名付けられた。これは同時期に登場したEH200の「BLUE THUNDER」の対と考えられる。
バリエーション
上記誕生のいきさつより、当初から貨物列車の牽引に使用されてきた。また2010年6月より寝台特急牽引機としての活躍も開始、今最も熱い機関車である。
0番台
JR貨物が日本海縦貫線向けに投入したグループ。詳細は上記概要を参照されたし。
左は最初に落成した1号機である。2号機以降と比べ、車体裾の白帯が太く側面の愛称ロゴマークが貼付されていないが、塗り分け以外の違いはない。
500番台
JR東日本の寝台特急牽引用EF81を置き換えるべく、2009年に登場。JR貨物設計の同車をそのままに落成させたいわゆるライセンス生産である。
車体は客車に合わせ、北斗星向けは青色ボディに金色のアクセント、カシオペア向けは銀色に5条のストライプをまとう。509・510号の2機がカシオペア塗装となっている。しかし塗装以外では、無線などの細かな装備追加を除き仕様変更がない。
EF81の任を継ぎ、2010年6月よりカシオペア、同7月より北斗星の先頭に立っている。
300番台
300番台は九州向けの車輌、ED76/EF81を置き換えるための車輌である。2021年12月に製造され、2023年3月に本格稼働を始めた。
2023年からの数年で計17両の配備が予定されている。
運用
0番台は青森~秋田~新潟~直江津~近畿地方を結ぶ、通称日本海縦貫線の貨物列車を牽引している。現在23両が富山機関区に配置(配備)され、調子の悪いEF81を置き換えている。同区にはまだ多くのEF81が残っているため、今後もEF510は少しずつながら追加投入されるものと思われたが、500番台を購入し日本海縦貫線のEF81を全て置き換えることとなった。
500番台は15両が製造され、上野~札幌間を結ぶ寝台特急カシオペアや北斗星の牽引を務めている。常磐線の貨物列車牽引にも使用されていたが、2013年3月のダイヤ改正で貨物列車牽引仕業がなくなったため、余剰となった9両(501~508、511)はJR貨物に売却されることになった。2015年8月に北斗星運用も無くなり同年12月には3両が(512、513、515)が2016年2月には1両(514)が同年3月にはカシオペア色で残ってた2両(509、510)がカシオペア運用終了からわずか10日後にJR貨物に売却となりこれで500番代は全てJR貨物所属となった。
関連動画
0番台
関連項目
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