夜行列車とは、夜間走行する長距離列車である。JRと東武鉄道で運転されている。
夜間に移動することにより日中の目的地での有効時間を増やす、また宿泊費と交通費が割り勘になるなどの利点がある。
概要
都市間連絡や観光地へのアクセスとして、日中の航空機、新幹線や特急の出発時刻を過ぎたあとに発車し、翌朝それらの到着時刻より早めに到着するという、補完的役割で運行される事が多い。
後述のように、新幹線などの交通手段が発達した現在では、単純な移動手段としては衰退の一途にある。
現在は、速達性よりも、贅沢でゆとりのある旅を楽しむことを第一の目的としたクルーズトレインが人気である。
歴史
夜行列車の代名詞として使われる「ブルートレイン」は、1958年に登場した20系客車の塗装が、当時の客車がぶどう色(茶色)あったことに対して、青色であったことからその呼称がついた。また、その内装も当時の水準からすれば市中の宿泊施設と比べて遜色のないものであり、「走るホテル」とも呼ばれた。厳密には「ブルートレイン」=「夜行列車」ではなく、「専用の編成を持って運用される青い寝台列車」であったといえる。
また、1967年に登場した581系特急型電車(3電源対応車が583系)は、昼は特急列車として、夜は寝台列車として走り当初投入された列車名から「月光型」と呼ばれ、また当時の高度成長の世相を反映して(「モーレツ社員」に倣い)「モーレツ電車」とも呼ばれた。
1998年には285系を使用する「サンライズ瀬戸・出雲」(通称:サンライズエクスプレス)が登場した。住宅メーカーのもと、列車内の殆どが個室で木目調をふんだんに使い、暖かみが増した。「サンライズ瀬戸」は以前の「瀬戸」を置き換えたが「出雲」は経由地が違うため、2006年03月に「出雲」が廃止されるまでは、「サンライズ出雲」と「出雲」の2本立て(事実上出雲の一往復を置き換え)が続いていた。
今は全て日付をまたぐ列車しかないが、かつては0時を過ぎて出発する列車もあった。
なお、2013年秋からはJR九州によるクルーズトレイン「ななつ星in九州」が運行されており、これも夜行列車(寝台列車)にあたるが、ツアーによる団体専用列車と言う位置づけでもある(東武鉄道の夜行列車も団体専用列車であるが)。その他、JR西日本やJR東日本も2016年度以降にTWILIGHT EXPRESS 瑞風・TRAIN SUITE 四季島・WEST EXPRESS 銀河を導入している。
現況 2016年3月改正にてブルートレイン完全消滅へ
外部的な要因として、航空運賃の値下げ、夜行バスの発達、新幹線の延伸、格安ビジネスホテルの展開などが挙げられる。
また内部的な要因としても、使用する車両の老朽化・陳腐化、提供されるサービスに対して割高な運賃、また運行する事業者側からは複数社間を運行し、また寝台車やそれを牽引する機関車の機関士等、特別な要員を割かなければならず、鈍足なためダイヤ編成上大きな阻害となっており、一社単独(JR東)あるいは、二社(JR東・西)(JR東・北)で済む東京―北陸・東北・北海道、関西―東北連絡以外(=東海道・山陽経由)の寝台列車の衰退は1980年代後半に入って著しい。
1986年に「明星」、1994年「みずほ」が廃止されたのを皮切りに、「あさかぜ」「さくら(2011年に山陽・九州新幹線で新幹線の列車名として復活することが発表された)」「彗星」「出雲」そして東京―大阪間の寝台急行「銀河」と「なは・あかつき」連結編成が2008年3月15日改正で廃止されたのに続き、東京―九州間を結ぶ定期夜行列車は2009年3月13日発の「はやぶさ・富士」の運行をもって全廃となった。最終日、ホームには3000人のファンが詰め掛け、最後の別れを惜しんだ。(なお、同駅発の定期夜行列車は285系電車の山陰・四国方面への「サンライズ出雲・瀬戸」が残るが、青くは無いので『ブルートレイン』とは呼べない)。
かろうじて2010年3月13日以降もブルートレインは「あけぼの」「日本海」「北斗星」が、夜行列車としては「はまなす」「きたぐに」「ドリームにちりん」が定期列車として残っていた。しかしながら、「並行する新幹線が延伸される」「現在使用している車両の老朽化に対し、そのまま従来通りの『ブルートレイン』と呼びうる形の客車での置換えが行われる可能性が不透明」「廉価な高速バスや圧倒的に速い航空機に客が流れた」などの理由から、将来的には全廃されるのではないかという推測はなされていた。
2010年3月12日には、上野駅と金沢駅を結ぶ寝台特急「北陸」と急行「能登」が廃止された。「能登」は臨時列車として存続したが、2012年3月以降運転されなくなった。
2011年3月12日のダイヤ改正で、JR九州の夜行列車「ドリームにちりん」も役目を終えた。これにより、JR九州から定期夜行列車が消滅することになった。
そして、2012年3月17日の改正をもって「日本海」、急行「きたぐに」が臨時列車に格下げとなり、両列車とも1年後には運転されなくなった。
また、車両の老朽化などを理由に夜行列車の廃止・臨時化が次々と報道されており、2014年春に「あけぼの」が臨時化(そのまま運行終了)、2015年春に「トワイライトエクスプレス」が廃止、「北斗星」が臨時化された。そして、「北斗星」については2015年8月に廃止となったため、上野駅からもブルートレインが消滅したことになる。
なお、ブルートレインではないが寝台特急ではある「カシオペア」、唯一の夜行急行として残されている「はまなす」に関しては2015年度時点では運行継続となったが、2016年3月に廃止された(ただし「カシオペア」はツアー団体列車としては存続する予定)。
これをもって、「ブルートレイン」はすべて定期運行を終了した。
2016年03月以降、寝台特急として運行しているのは「サンライズ瀬戸・出雲」のみである。
昨今の働き方改革や保線時間確保などによる終電の繰り上げなどもあり、東海道・山陽本線の保線時間以外常時貨物の走る路線はともかく、それ以外の終電後始発まで列車の走らない路線での夜行列車の復活は厳しいところがあるだろう。常時貨物の走る路線でもトラックからの荷物のシフトや2024年問題に対処するために昼間・夜間を問わず最大限に貨物を走らせており、かつてのように夜行列車をねじ込む余地はほぼないものと見られる。
ところが、2024年夏に新宿駅~白馬駅間で臨時夜行列車として特急「アルプス」がE257系9連で運行されることとなった。
ブルートレインの変遷
1984年時点での定期ブルートレイン
- あさかぜ1号、4号(東京~博多)
- あさかぜ2号、3号(東京~下関)
- さくら(東京~長崎・佐世保)
- はやぶさ(東京~西鹿児島)
- みずほ(東京~熊本・長崎)
- 富士(東京~宮崎)
- 瀬戸(東京~宇野)
- 出雲1号、4号(東京~浜田)
- 出雲2号、3号(東京~出雲市)
- 銀河(東京~大阪)
- 彗星(新大阪~都城)
- 明星・あかつき1号、4号(新大阪~西鹿児島・長崎)
- あかつき2号、3号(新大阪~長崎・佐世保)
- なは(新大阪~西鹿児島)
- 日本海1号~4号(大阪~青森)
- つるぎ(大阪~新潟)
- あけぼの(上野~青森)
- ゆうづる2号、4号、7号、9号(上野~青森):1号、3号、5号、6号、8号、10号は電車
- 北陸(上野~金沢)
- 出羽(上野~秋田)
合計 22往復
2002年時点での定期ブルートレイン
- あさかぜ(東京~下関)
- さくら・はやぶさ(東京~長崎・熊本)
- 富士(東京~大分)
- 出雲(東京~出雲市)
- 銀河(東京~大阪)
- 彗星・あかつき(京都~南宮崎・長崎)
- なは(新大阪~西鹿児島)
- 日本海1、4号(大阪~函館)
- 日本海2、3号(大阪~青森)
- あけぼの(上野~青森)
- はくつる(上野~青森)
- 北陸(上野~金沢)
- 北斗星1~4号(上野~札幌)
合計 16往復
2012年3月改正時点での定期ブルートレイン
合計 2往復
現存する夜行列車(2024年3月現在)
臨時列車は斜字で表記。
JR・特急
JR・急行
- (なし)
JR・快速
- (なし)
JR・団体専用
- カシオペア(2016年3月廃止→同年夏より団体列車)
- TRAIN SUITE 四季島(2017年春~)
- トワイライトエクスプレス(2015年5月~2016年?)
- TWILIGHT EXPRESS 瑞風(2017年春~)
- ななつ星in九州
- WEST EXPRESS 銀河(2020年秋~)
東武鉄道
関連動画
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関連項目
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