サメ映画の起源にして頂点と呼ばれるのが、1975年に公開された『ジョーズ』である。
平和な海水浴場を襲う巨大人食いザメと、その脅威に立ち向かう人々の姿を描いた本作は、ホラー映画、パニック映画、群像劇と、多様な顔を持つ作品である。これによりスティーブン・スピルバーグの名は一躍高まり、映画は全世界で爆発的なヒットを記録した。
また1999年に公開された映画『ディープ・ブルー』は、遺伝子操作によって高度な知能を持ったサメが海上研究施設を脱走して人々を襲うという、従来のパニックものから大きく変化を遂げた内容である。
この斬新な設定と進歩を遂げたSFX(アニマトロニクス&CG)によるサメの迫力と恐怖は大ヒットし、『ジョーズ』と並び、サメ映画を有名たらしめた。
以来、サメは動物系ホラー/パニック映画における「怪物」の代表格となった。
銀幕を席捲したドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの怪物といった、映画における「恐怖の象徴」の仲間入りを果たしたと言える。
こうした流れを受け、現在でもサメを主題にした映画は増え続けている。
一昔前は「海に生息する生物」という事で、大抵の場合は海や川、湖といった水辺が映画の舞台になることが殆どだった。
しかし近年ではマンネリ防止の意味も含めてか、砂地や雪原を泳いだり、巨大竜巻に乗って街の上から落ちてきたり、悪霊となって市街地に現れるなど、サメが何かっちゃ色々と理由をつけて陸上に進出する突飛な展開も多くなってきている。
他方、お姉ちゃんが大胆な水着姿でたゆんたゆんさせる絵面を設定上撮影しやすいという事もあり、そちら目当てで鼻の下を伸ばす観客も少なくはない。また低予算見え見えのしょぼい特撮・ご都合主義の脚本・大根役者揃い(おっぱいで相殺)など、なにかとB級映画が量産されがちである。だがそれがいい
こうした事情もあり、一部ではカルト的な人気を博し、熱心なファンも多い。
映画では戦闘狂ともいえるくらいに積極的に人間に襲い掛かって捕食するサメだが、現実世界のサメはそこまで凶暴ではない。
地球上で確認されているサメの種類は500種近く、その中で人を襲うとされているのは30種程度である。また人を襲う理由も、多くは「サメが餌にするアシカやアザラシと間違えている」という説が有力で、人がサメに襲われる確率は1億人に1人の割合とも言われている。
当たり前だが、海に行かなければサメに襲われる事はなく、被害者の大半はサーファーであるという。また万が一襲われないように「遊泳禁止区域では泳がない」「海中では血を流さない」「海中では魚や貝を捕まえない」などの基本的な対策も必要。
またスキューバダイビングでは、サメに襲われたという事例はほぼ見られない。逆に「サメに遭遇できたら運がいい」とされ、様々な種類のサメが見られる神子元島(静岡県)や与那国島(沖縄県)、フィジーやタヒチなどのダイビングスポットは人気が高い。
しかしこれらサメ映画のヒットの影響で「サメは凶暴な生き物だ」と多くの人たちから勘違いされることになってしまった。これにより、ジョーズのモデルとなったホオジロザメや、元々おとなしい性格のシロワニが大量に乱獲されたという悲しい過去がある。
その結果、この二種は現在ではワシントン条約のレッドリストにおいて「危急」(絶滅危惧II類)指定を受け、保護対象となっている。
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最終更新:2024/12/04(水) 02:00
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