ダイオライト

ダイオライト(Diolite)とは、1927年生まれのイギリスの元競走馬。後に日本に種牡馬として輸入された。

戦前の日本を代表する種牡馬として名高い。

概要

父Diophon、母Needle Rock、母父Rock Sand。100年くらい前の馬だし、わかるわけがない。
父は2000ギニー馬で、父系は英三冠馬Ormondを経て現在の主流血統の祖と言える大種牡馬Bend Orに連なる。ダイオライトは初年度産駒だった。母父Rock Sandは英三冠馬である。

血統だけ見るといい感じだが、ダイオライトは幼少期は馬体が小さく、評価も低かったらしい。セールでは480ギニーで取引されている。今でいうなら大体1200～1500万円くらいだろうか。しかし2歳を迎えるころには立派な体格になっていた。

2歳戦は5戦3勝。コヴェントリーS、モルコムSを制し、英2歳チャンピオンとなると、翌年には28頭立て(史上最多)の英2000ギニーも勝利し、父Diophonとの親子制覇を達成した。英ダービーは圧倒的1番人気に推されたが3着に敗れている。その後はセントレジャーなどに出走したが着外に敗れ、2000ギニー以降はマイル戦のグロブナーCを連覇したのみだった。どうやら短距離のほうが強かったようである。戦歴によれば、5歳秋にグロブナーC連覇を達成したのを最後に引退した……はずなのだが、Wikiには4歳で引退って書いてある。どっちなんだろう？

本国で種牡馬入りしたものの、欧州では活躍馬に恵まれなかった。そんな中、8歳時に下総御料牧場に購買され、日本にやってきたのである。当時は日本と欧州の競馬のレベル差は月とスッポンどころか太陽とミジンコみたいなもので、海外生まれというだけでもてはやされるような時代だった。そこへ本場イギリスのクラシックホースがやってきたのである。日本に到着した際、政府高官の前で披露されたというから、その期待は尋常ではなかったのだろう。お値段は8500ギニー、当時の日本円で18万円。最新鋭の戦闘機が3機ほど買える値段だったらしい。当時の関係者の情熱、半端ねえ……。

ダイオライトの戦績から短距離馬が多いんじゃなかろうかと思われていたダイオライト産駒。初年度産駒から桜花賞馬タイレイが出て予想通り、と思いきやその年のうちに菊花賞馬テツザクラが出てあっさり予想が覆される。そして翌年の産駒から日本の初代三冠馬セントライトを輩出し、その評価は不動のものとなった。戦時中を中心に、リーディングサイアー4回。桜花賞馬ハマカゼ、天皇賞(秋)を制したトヨウメなど数多くの活躍馬を送り出した。
1951年、老衰のため24歳で死去。その後も母父としてタカマガハラやシラオキ、ボストニアン、ハクチカラらが活躍している。今でも在来牝系の血を引く馬の血統表をさかのぼると度々ダイオライトの名前がある。近年だとハマカゼの子孫のゴールドシップが有名か。ただし父系は戦後の輸入種牡馬にはかなわず、1970年代半ばに途絶えている。

そしてもう一つ、ダイオライトは時代を経てその力を発揮する。先述したとおり欧州時代は目立った産駒が出なかったが、欧州時代最後の世代の牝駒Nymphe Dicteが繁殖に上がり、プール・デッセ・デ・プーリッシュ(仏1000ギニー)馬Dictawayを産むと、Dictawayも母としてワシントンDC国際などを勝ったDiatome(*ダイアトム)を送り出す。そしてその*ダイアトム産駒から、天皇賞(春)を勝ったクシロキングが出たのである。そのためクシロキングの血統表を見ると、英字だらけの父の血統にぽつんとダイオライトがカタカナで入っているという奇妙な形になっている。まあ、クシロキングにダイオライトがどれくらい影響してるかはわからないけど。

現在船橋競馬場で行われている交流JpnⅡダイオライト記念は、もちろん彼の功績をたたえたレースである。

血統表

Diophon 1921 栗毛	Grand Parade 1916 青毛	Orby	Orme
			Rhoda B.
		Grand Genaldine	Desmond
			Grand Marnier
	Donnetta 1900 鹿毛	Donovan	Galopin
			Mowerina
		Rinovata	Wenlock
			Traviata
Needle Rock 1915 鹿毛 FNo.4-p	Rock Sand 1900 黒鹿毛	Sainfoin	Springfield
			Sanda
		Roquebrune	St. Simon
			St. Marguerite
	Needlepoint 1908 鹿毛	Isinglass	Isonomy
			Dead Lock
		Etui	Bread Knife
			Pindi

クロス:Galopin 4×5×5(12.5%)、Wenlock 4×5×5(12.5%)、St. Simon 4×5(9.38%)

主な産駒

• タイレイ(1937年産 牝 中山4歳牝馬特別)
• テツザクラ(1937年産 牡 京都農林省賞典4歳呼馬)
• セントライト(1938年産 牡 横浜農林省賞典4歳呼馬、東京優駿、京都農林省賞典4歳呼馬)
  • JRA顕彰馬
• モトクマ(1938年産 牡 中山農林省賞典障害)
• カミワカ(1939年産 牡 中山農商省賞典障害)
• グランドライト(1939年産 牡 帝室御賞典(春))
• バンナーゴール(1939年産 牝 中山4歳牝馬特別)
• ダイヱレク(1940年産 牡 横浜農林省賞典4歳呼馬)
• ヒロサクラ(1940年産 牡 帝室御賞典(春))
• トヨウメ(1943年産 牡 天皇賞(秋))
• ブランドライト(1944年産 牡 中山大障害(秋))
• ハマカゼ(1945年産 牝 桜花賞)
• ヒデヒカリ(1945年産 牝 農林省賞典)
  • オータジマ(中山大障害(春))の母
• サチヒカリ(1948年産 牡 中山大障害(秋))

関連コミュニティ

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• セントライト