アイシングラス 単語


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アイシングラス

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アイシングラス(Isinglass)とは、以下のものをす。

  1. チョウザメなどの鰾(うきぶくろ)から抽出されて作られるゼラチン。食材として、また接着剤や造の際の清澄剤としても使用されている。
  2. 1を名の由来とする、1890年生まれのイギリスの元競走馬・元種牡馬。史上6頭(敗での達成は2頭)の英国クラシック三冠で、当時の最高獲得賞金記録立した。

以下、2について詳述する。

概要

IsonomyDead LockWenlockという血統。

アイソノミーは長距離戦で活躍し、種牡馬としてもこの頃から成績を上げつつあった期待の種牡馬である。他の代表産駒に本の2歳上の英国クラシック三冠コモンがいる。
一方でデッドロックは血統的に立つところのない不出走であり、アイシングラスを生産所有したハリー・マッカルモントという人物が最初に購入した時の値段は僅か19ポンドという安さで、しかもマッカルモントはすぐにデッドロックを一度手放してしまった。その後残された産駒のイズリントンステークス競走を勝ってマッカルモントが後悔していたところ、たまたま牧場に来たをデッドロックが引いているのを見つけたマッカルモントが慌てて買い戻し、イズリントンと同じアイソノミーを交配して産まれたのがアイシングラスである。

アイソノミーを手掛けたジェームズ・ジューイット調教師の管理となったアイシングラスだが、調教では非常に怠惰だったため、ジューイット師を手こずらせていたようである。しかし素質はかなりのものを感じさせたということで、マッカルモントはデビューする前に英ダービーの前売り(オッズは51倍)を100ポンド購入したという。

競走成績

2歳5月デビュー戦を勝つと、翌ニューSではこのレースを含めて8回も対戦することになるラヴェンズベリなどを相手に2馬身差で逃げ切った。続く2歳戦の有力競走の一つであるミドルパークプレートではラヴェンズベリに加えてこのレースを含めて7回対戦することになるレーバーンが出走してきたが、前走とは逆に出遅れから後方一気を決めて勝利した。

2歳時は3戦3勝で、同じく有力競走のデューハーストプレート敗で制したメドラーと共に翌年のクラシックの有力と言われるようになったが、メドラーは翌年明けに馬主が死去したため、当時の規定によりクラシック登録が全て効となった。

一方、アイシングラスもアイシングラスで2月調教中に負傷してしまい、2000ギニーをぶっつけで使うことになった。それでも単勝1.8倍の圧倒的人気に推されると、めに先頭に立ってラヴェンズベリに3/4馬身差を付け、1分424のレースレコードで押し切った。更にニューマーケットSでも、ラヴェンズベリなどを相手に楽勝した。

続くダービーでは単勝1.44倍の1番人気となった。後方から徐々に上がっていくと、最終コーナーで大歓に対して若駒のようにうろたえたところを見せながら先頭に並び、残り2ハロン地点で仕掛けられた間に並んでいたレーバーンを競り落として、同を交わして2番手に上がったラヴェンズベリに1馬身半差を付けて勝利した。

を休養に充て、セントレジャーに直行。単勝1.53倍の1番人気に推されると、ダービー同様に抑え気味の中からスッと抜け出し、1馬身半差で勝利。史上6頭英国クラシック三冠を達成すると同時に、オーモンド以来7年ぶり2頭となる敗での三冠も達成した。ちなみに2着はまたしてもラヴェンズベリであった。

2週間後、マイル戦のランカシャープレートに出走。ここでは前年の三冠ラフレッシュとも顔を合わせたが、両が互いをマークし合ったのが祟り、軽斤量を活かしたレーバーンに差し切られて2着に敗れた。結果的に3歳最後のこのレースが生涯一の敗戦となった。

4歳時は寝藁を食べて体調不良を起こしたりするなどの頓挫が重なり、復帰戦は7月プリンセスオブウェールズSとなった。ラヴェンズベリやレーバーンに加えてこのクラシック二冠を制していた3歳ラダスも出走してきたが、143ポンド(約65kg)という酷量にも関わらず勝利を収めた。続くエクリプスSでもラヴェンズベリ、レーバーン、ラダスなどを相手に142ポンド(約64.4kg)で勝利した。

その後は2ヶほど間隔を開けて、9月ジョッキークラブSに出走。セントレジャーでラダスを下したスロッスルやフランスセントレジャーのような位置付けであるロワイヤルオーク賞を勝ったフランス調教グーヴェルナイユなどを相手に、再び142ポンドで勝利を収めた。
これにより、に行われるハンデ路線の大競走・チェザレウィチハンデキャップの参考ハンデ146ポンド(約66.2kg)という凄まじい数字となった(出走はしていない)。

5歳時はアスコットゴールドカップのみを標として現役を続行し、3頭立てとなった同レースを単勝1.18倍の圧倒的支持に応えて楽勝。これを最後に引退した。

通算成績は12戦11勝2着1回。英国クラシック三冠エクリプスSアスコットゴールドカップの5レースを全て制したのはアイシングラスが史上初であり、現在でも後に続くは現れる気配すらない。そもそも三冠馬が50年間出ていない。
獲得賞金は5万8655ポンドで、これは当時の全世界記録[1]だった。

種牡馬成績

引退後はマッカルモントの所有で種牡馬入りした。全サイアーランキング2位を2回獲得したものの首位を獲得することはなかったが、チェリーラス(1000ギニーオークス)・グラスドール(オークス)・ルーヴォワ(2000ギニー)と3頭のクラシックホースを出した。1912年にはリーディンブルーメアサイアーを獲得している。

リーディンブルーメアサイアー獲得に先立つ1911年12月、繋養されていたチェヴァリーパークスタッドで死亡。遺現在ロンドン自然博物館で展示されている。

直系については、ラフレッシュとの間に産まれたジョンゴーントのラインと、ドイツ輸出されたルヴィエというラインに発達した。後者はルヴィエの玄孫にあたるティチノとその産駒のネカール・オルシニの3頭だけで19回(ティチノ9回・ネカール6回・オルシニ4回)の独リーディングサイアーを獲得しながら現在では衰退してしまったが、前者はジョンゴーン産駒スウィンフォードの末裔からモンズーンが出たことによってある程度活力を回復している。

血統表

Isonomy
1875 鹿毛
Sterling
1868 鹿毛
Oxford Birdcatcher
Honey Dear
Whisper Flatcatcher
Silence
Isola Bella
1868 栗毛
Stockwell The Baron
Pocahontas
Isoline Ethelbert
Bassishaw
Dead Lock
1878 栗毛
FNo.3-m
Wenlock
1869 鹿毛
Lord Clifden Newminster
The Slave
Mineral Rataplan
Manganese
Malpractice
1864 栗毛
Chevalier d'Industrie Orlando
Industry
The Dutchman's Daughter The Flying Dutchman
Red Rose

クロス:Stockwell=Rataplan 3×4(18.75%)、Birdcatcher=Faugh a Ballagh 4×5×5×5(15.63%)、Touchstone 5×5×5(9.375%)、Melbourne 5×5(6.25%)

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関連項目

脚注

  1. *世界記録1923年アメリカのゼヴが更新した。一方で全記録に関しては、1952年キングジョージVI世&クイーンエリザベスSタルヤーが制するまで半世紀以上にわたって維持された。
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