アイシングラス(Isinglass)とは、以下のものを指す。
以下、2について詳述する。
父Isonomy、母Dead Lock、母父Wenlockという血統。
父アイソノミーは長距離戦で活躍し、種牡馬としてもこの頃から成績を上げつつあった期待の種牡馬である。他の代表産駒に本馬の2歳上の英国クラシック三冠馬コモンがいる。
一方で母デッドロックは血統的に目立つところのない不出走馬であり、アイシングラスを生産所有したハリー・マッカルモントという人物が最初に購入した時の値段は僅か19ポンドという安さで、しかもマッカルモントはすぐにデッドロックを一度手放してしまった。その後残された産駒のイズリントンがステークス競走を勝ってマッカルモントが後悔していたところ、たまたま牧場に来た馬車をデッドロックが引いているのを見つけたマッカルモントが慌てて買い戻し、イズリントンと同じアイソノミーを交配して産まれたのがアイシングラスである。
アイソノミーを手掛けたジェームズ・ジューイット調教師の管理馬となったアイシングラスだが、調教では非常に怠惰だったため、ジューイット師を手こずらせていたようである。しかし素質はかなりのものを感じさせたということで、マッカルモントはデビューする前に英ダービーの前売り(オッズは51倍)を100ポンド購入したという。
2歳5月のデビュー戦を勝つと、翌月のニューSではこのレースを含めて8回も対戦することになるラヴェンズベリなどを相手に2馬身差で逃げ切った。続く2歳戦の有力競走の一つであるミドルパークプレートではラヴェンズベリに加えてこのレースを含めて7回対戦することになるレーバーンが出走してきたが、前走とは逆に出遅れから後方一気を決めて勝利した。
2歳時は3戦3勝で、同じく有力競走のデューハーストプレートを無敗で制したメドラーと共に翌年のクラシックの有力馬と言われるようになったが、メドラーは翌年明けに馬主が死去したため、当時の規定によりクラシック登録が全て無効となった。
一方、アイシングラスもアイシングラスで2月の調教中に負傷してしまい、2000ギニーをぶっつけで使うことになった。それでも単勝1.8倍の圧倒的人気に推されると、早めに先頭に立ってラヴェンズベリに3/4馬身差を付け、1分42秒4のレースレコードで押し切った。更にニューマーケットSでも、ラヴェンズベリなどを相手に楽勝した。
続くダービーでは単勝1.44倍の1番人気となった。後方から徐々に上がっていくと、最終コーナーで大歓声に対して若駒のようにうろたえたところを見せながら先頭に並び、残り2ハロン地点で仕掛けられた瞬間に並んでいたレーバーンを競り落として、同馬を交わして2番手に上がったラヴェンズベリに1馬身半差を付けて勝利した。
夏を休養に充て、秋はセントレジャーに直行。単勝1.53倍の1番人気に推されると、ダービー同様に抑え気味の道中からスッと抜け出し、1馬身半差で勝利。史上6頭目の英国クラシック三冠を達成すると同時に、オーモンド以来7年ぶり2頭目となる無敗での三冠も達成した。ちなみに2着はまたしてもラヴェンズベリであった。
2週間後、マイル戦のランカシャープレートに出走。ここでは前年の三冠牝馬ラフレッシュとも顔を合わせたが、両馬が互いをマークし合ったのが祟り、軽斤量を活かしたレーバーンに差し切られて2着に敗れた。結果的に3歳最後のこのレースが生涯唯一の敗戦となった。
4歳時は寝藁を食べて体調不良を起こしたりするなどの頓挫が重なり、復帰戦は7月のプリンセスオブウェールズSとなった。ラヴェンズベリやレーバーンに加えてこの春のクラシック二冠を制していた3歳馬ラダスも出走してきたが、143ポンド(約65kg)という酷量にも関わらず勝利を収めた。続くエクリプスSでもラヴェンズベリ、レーバーン、ラダスなどを相手に142ポンド(約64.4kg)で勝利した。
その後は2ヶ月ほど間隔を開けて、9月のジョッキークラブSに出走。セントレジャーでラダスを下したスロッスルやフランス版セントレジャーのような位置付けであるロワイヤルオーク賞を勝ったフランス調教馬のグーヴェルナイユなどを相手に、再び142ポンドで勝利を収めた。
これにより、秋に行われるハンデ路線の大競走・チェザレウィッチハンデキャップの参考ハンデは146ポンド(約66.2kg)という凄まじい数字となった(出走はしていない)。
5歳時はアスコットゴールドカップのみを目標として現役を続行し、3頭立てとなった同レースを単勝1.18倍の圧倒的支持に応えて楽勝。これを最後に引退した。
通算成績は12戦11勝2着1回。英国クラシック三冠・エクリプスS・アスコットゴールドカップの5レースを全て制したのはアイシングラスが史上初であり、現在でも後に続く馬は現れる気配すらない。そもそも三冠馬が50年間出ていない。
獲得賞金は5万8655ポンドで、これは当時の全英・世界記録[1]だった。
引退後はマッカルモントの所有で種牡馬入りした。全英サイアーランキングは2位を2回獲得したものの首位を獲得することはなかったが、チェリーラス(1000ギニー、オークス)・グラスドール(オークス)・ルーヴォワ(2000ギニー)と3頭のクラシックホースを出した。1912年にはリーディングブルードメアサイアーを獲得している。
リーディングブルードメアサイアー獲得に先立つ1911年12月、繋養されていたチェヴァリーパークスタッドで死亡。遺骨は現在ロンドン自然史博物館で展示されている。
直系については、ラフレッシュとの間に産まれたジョンオゴーントのラインと、ドイツに輸出されたルヴィエという馬のラインが主に発達した。後者はルヴィエの玄孫にあたるティチノとその産駒のネカール・オルシニの3頭だけで19回(ティチノ9回・ネカール6回・オルシニ4回)の独リーディングサイアーを獲得しながら現在では衰退してしまったが、前者はジョンオゴーント産駒スウィンフォードの末裔からモンズーンが出たことによってある程度活力を回復している。
| Isonomy 1875 鹿毛 |
Sterling 1868 鹿毛 |
Oxford | Birdcatcher |
| Honey Dear | |||
| Whisper | Flatcatcher | ||
| Silence | |||
| Isola Bella 1868 栗毛 |
Stockwell | The Baron | |
| Pocahontas | |||
| Isoline | Ethelbert | ||
| Bassishaw | |||
| Dead Lock 1878 栗毛 FNo.3-m |
Wenlock 1869 鹿毛 |
Lord Clifden | Newminster |
| The Slave | |||
| Mineral | Rataplan | ||
| Manganese | |||
| Malpractice 1864 栗毛 |
Chevalier d'Industrie | Orlando | |
| Industry | |||
| The Dutchman's Daughter | The Flying Dutchman | ||
| Red Rose |
クロス:Stockwell=Rataplan 3×4(18.75%)、Birdcatcher=Faugh a Ballagh 4×5×5×5(15.63%)、Touchstone 5×5×5(9.375%)、Melbourne 5×5(6.25%)
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最終更新:2025/12/10(水) 11:00
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