リールンク(Lirung)とは、1982年生まれのドイツ(当時は西ドイツ)の競走馬である。
名門フェアホフ牧場で同じ世代に出たAcatenangoを上回る評価を受け、マイル路線で実績を残しながらも、種牡馬としても実績を残した同馬とは裏腹に志半ばで夭逝してしまった馬。
父は1970年のエクリプスSを勝ち3歳時にはダービーステークスで2着に入るなど15戦7勝のConnaught、母は現役時代5勝で本馬の1歳上の半兄(父*イルドブルボン)にドイチェスダービー馬Lagunasを出しているLiranga、母父は父子4代ドイチェスダービー勝利を期待された1968年の同レースで1番人気を背負いながら5着に敗れた後に故障のため引退した重賞2勝のLiteratという血統。
甥にLord of England(2006年ダルマイヤー大賞)がいるほか、祖母Love Inから連なる牝系からは他にLomitas(独GI3勝)、Lavirco(独GI2勝)、Lady Marian(2008年オペラ賞)、La Petite Coco(2022年プリティーポリーS)が出ている。
西ドイツのコーヒーブランド・ヤコブスの代表であるヴァルター・ヨハン・ヤコブスが家業の傍ら開いていたフェアホフ牧場の生産・所有馬としてハインツ・イェンチ調教師に預けられた。同陣営の同期には後に競走・繁殖両面で活躍するAcatenangoがいたが、本馬の前評判は同馬を上回っていたという。
2歳時はデビュー戦の1400m戦を大差で圧勝すると、9月のラーティボーアレネン(L・1400m)では2着Bismarckに3馬身差、3着Acatenangoに4馬身半差をつけて勝利した。更にヴィンターファヴォリテン賞(GIII・1600m)でも快速を見せて5馬身差で逃げ切り勝ちを収め、2歳時は3戦3勝となった。
3歳時はドイツの2000ギニーに当たるヘンケルレネン(GII・1600m)から始動し、2着Bismarckに6馬身差で圧勝。続くコンスルバイエフレネン(GIII・2200m)でも距離延長を問題にせず7馬身差で完勝し、5戦無敗の1番人気でドイチェスダービー(GI・2400m)に臨むこととなった。しかしこのレースでもハナを切っていったものの、2400mは流石に長かったようで、4着Cassisを9馬身半離したとはいえAcatenangoに一蹴され、デビュー戦で大差の2着に破ったPontiacにもクビ差で差されて3馬身差の3着に終わった。
次走は距離を少し短縮して古馬相手のバイエリシェスツフトレネン(GII・2000m)となり、ここでは4馬身半差で完勝した。フュルステンベルクレネン(GIII・2200m)ではこの年のアイリッシュ2000ギニー4着で本馬より2kg軽い斤量で出走していたMac's Reefにクビ差まで迫られながらも辛勝した。更にエリート賞(GIII・1600m)を1馬身3/4差で勝利し、3歳時は6戦5勝となった。
4歳時は4月のケルン競馬場のオットー・ヴォルフ賞(L・1900m)で始動し、ヘンケルレネンで3着に破ったOnestoに1馬身3/4差をつけて勝利した。しかし5月のバーデナーマイレ(GIII・1600m)では本馬より1kg軽い斤量で、この年のフォレ賞を勝つことになるSarabの半馬身差2着に終わった。
続けてフランスに遠征してイスパーン賞(GI・1850m)に出走したが、前年のジャン・プラ賞とこの年のガネー賞を勝った*バイアモンと前年のサンタラリ賞を勝ったFitnahに後れを取り、*バイアモンの2馬身差3着に終わった。帰国して出走したヘッセンポカル(GIII・2000m)でも本馬より4kg軽い斤量のGrauer Wichtの2馬身差2着に終わった。
その後再びフランスに遠征し、ジャック・ル・マロワ賞(GI・1600m)に出走した。ここでは持ち前の快速を活かして逃げの手に出ると、そのまま2着に入った前年のモルニ賞優勝馬Regal State(Pleasantly Perfectの母)に1馬身差をつけて逃げ切り、GI初勝利を挙げた。その余勢を駆ってムーラン・ド・ロンシャン賞(GI・1600m)にも出走したが、アイリッシュ1000ギニーとサセックスSを含む4連勝中のSonic Ladyと5月にデビューしてから3連勝でダフニ賞(GIII)を勝ったばかりの上がり馬*スリルショーに続く3着に終わった。
帰国して出走したエリート賞では61kgという斤量を課せられたが、それも問題にせず3馬身半差で楽勝し、7戦3勝2着2回3着2回の安定した成績で4歳シーズンを終えた。
年が明けて5歳初戦は4月のブレーメン競馬場のスシャールレネン(1600m)となった。ここでも60kgを背負うことになったが、それでも7馬身差で圧勝した。
その後イタリア遠征に出たが、税関でストライキが発生して入国することが出来ず、そうこうしているうちに感染症を発症してしまった。このため遠征中止となって帰国し、すぐに診療所に入ったが、回復することなく、4週間後に安楽死措置となりこの世を去った。通算成績は17戦12勝2着2回3着3回・GI1勝だった。
現在の本馬の知名度は、種牡馬としても大活躍し、日本でもワールドプレミアなどを出した名繁殖牝馬*マンデラなどの存在で名の知られている同期のAcatenangoと比べると残念ながら非常に低いと言わざるを得ないだろう。しかし、GIこそ1勝しかしていないものの善戦を繰り返し、自国での出走が多かったとはいえ快速を見せつけての完勝が多かった本馬の成績は、歴史の陰に隠れさせてしまうには勿体ないと言えるかもしれない。
Acatenangoとともにこの世代のドイツ調教馬の二枚看板になり得た未完の名マイラー、それが本馬と言えよう。
Connaught 1965 鹿毛 |
St. Paddy 1957 鹿毛 |
Aureole | Hyperion |
Angelola | |||
Edie Kelly | Bois Roussel | ||
Caerlissa | |||
Nagaika 1954 栗毛 |
Goyama | Goya | |
Devineress | |||
Naim | Amfortas | ||
Nacelle | |||
Liranga 1973 栗毛 FNo.9-e |
Literat 1965 鹿毛 |
Birkhahn | Alchimist |
Bramouse | |||
Lis | Masetto | ||
Liebeslied | |||
Love In 1966 栗毛 |
Crepello | Donatello | |
Crepuscule | |||
Tudor Love | Owen Tudor | ||
Amora | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Hyperion 4×5(9.38%)、Donatello 5×4(9.38%)
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最終更新:2024/11/08(金) 18:00
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