一帯一路(いったいいちろ、One Belt, One Road)とは、中華人民共和国の習近平国家主席が2013年に提唱した、アジア、ヨーロッパ、アフリカにまたがる広域経済圏構想である。
中国が主導する、現代版シルクロードとも呼ばれる巨大な経済圏構想である。陸路の「シルクロード経済ベルト(一帯)」と、海路の「21世紀海上シルクロード(一路)」の二つのルートを軸に、参加国のインフラ整備などを大規模に進める。物理的な連結だけでなく、中国を中心とした経済・金融・貿易のルールを形成し、その影響力を拡大する狙いがあるとされる。
一帯一路は、中国の習近平指導部が国家戦略として推進する広域経済圏構想である。2013年に習近平氏が中央アジア(カザフスタン)と東南アジア(インドネシア)を訪問した際に、それぞれ「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」として提唱したのが始まりである。
この構想は、単に参加国のインフラを整備するだけでなく、資金調達のために中国主導で設立した「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」を活用するなど、金融面でも中国の存在感を高めている。参加国は150カ国以上にのぼるとされ、その影響力は広範囲に及ぶが、プロジェクトの不透明性や、参加国が返済困難な債務を負う「債務の罠」などの問題点も国際的に指摘されている。
日本は、一帯一路が持つ影響力やその手法に対し、独自のビジョンを掲げて対抗・競争する姿勢を明確にしている。その中核となるのが「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と「アフリカ開発会議(TICAD)」である。
| 項目 | 一帯一路(中国) | FOIP / TICAD(日本) |
|---|---|---|
| 理念・価値観 | 中国主導の秩序形成。国家主権の尊重を掲げるが、意思決定はトップダウン型。 | 法の支配、航行の自由、民主主義といった普遍的価値を重視。多国間協調を基本とする。 |
| アプローチ | 二国間の合意に基づき、大規模なプロジェクトを迅速に進める。 | [FOIP] 国際標準に準拠した開放的で質の高いインフラを推進。 [TICAD] アフリカの主体性を尊重し、人材育成などソフト面を重視。 |
| 資金・質 | 巨額の融資が中心。スピードと規模を重視するが、「債務の罠」への懸念が指摘される。 | 円借款や技術協力が中心。相手国の財政健全性や持続可能性に配慮した「質の高い成長」を目指す。 |
このように、日本は「質の高さ」「透明性」「持続可能性」「人材育成」といった点を強調することで、中国のアプローチとの差別化を図り、インド太平洋地域やアフリカにおいて、価値観を共有するパートナーとしての信頼を勝ち得ようとしている。
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最終更新:2025/12/05(金) 21:00
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