新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光とは (ハイシャタチノエイコウとは) [単語記事]

『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』とは、かつて月刊ガンダムエースで2010年～2018年もの間連載されていた漫画である。シナリオ:隅沢克之、作画:小笠原智史、メカデザイン:カトキハジメ・石垣純哉。

概要

ガンダムW シリーズ１５周年企画「ガンダムW プロジェクト」の第２弾であり、先行していた『Endless Waltz（以下EW）』の未来を描く『Frozen Tear drop（以下FT）』とは逆に、こちらは『EW』の過去、つまり「『EW』世界におけるTV 本編（以下TV版）の戦い」を描いている。『TV版』と『EW』は続編として繋がっている話だが、同時にパラレルな性質も併せ持っている。その差違を埋めたのが本作である。なお、本作から生まれた設定も多数存在し、これもまた『EW』に全て繋がるという訳ではない事から、本作もまたパラレルの１つという見方もある。

元は劇場版『EW』を公開する際に一枚絵だけ設定されていた初期型ガンダムたち「アーリータイプ（アーリーモデルとも。今は(EW版)呼称）」をピックアップするための企画であり、本作が始まると共にガンダムエースの誌面で、カトキハジメが改めてデザイン/再設定を行い、それを元にガンプラレーベル「MG（マスターグレード）」で商品展開する等を行っていた。

ストーリーの流れはTV版とほぼ差が無いが、細かい所で変更点が多数含まれている。

ガンダムのデザインを全てカトキハジメの描いた機体に変更。またそれぞれの機体に作画担当の小笠原（一部カトキ）がデザインした追加装備が設定された。『EW』に登場する後期ガンダムたちには、『TV版』から失われた装備が「この戦いで失われた」という設定の下復活している。同時に「トールギス」や「ガンダムエピオン」のEW版が本作の為に改めて描かれた。また、石垣純哉がデザインした「マグアナック」は、『EW』に登場した物をベースに石垣純哉の手で再デザインが施された。
ホビー部との連携で、TV版ゼロをベースにした新機体「プロトゼロ」や、専用の追加装備「ドライツバーク」等がカトキハジメの手で描かれ登場した。これらはすぐにプラモ化され、特に後者のドライツバークはその後の立体展開でよく装備されるようになる。
『TV版』のシナリオに『EW』の設定や、先行して連載されていた『FT』の設定も盛り込まれており、最新のガンダムW フォーマットとしてバランスが整えられている。しかし上記の通り『EW』の演出と矛盾する部分も有り、『FT』の描写で『TV版』からカットされた部分を取り上げている一面もある為、全てが繋がっているという訳でも無い。
前日譚『episode Zero』の設定も盛り込まれている。特に登場キャラの１人である五飛は、その過去を全て描かれ、『TV版』でよく理解が出来なかった戦う理由やその言葉の意味が分かりやすく解説されている。
一部のエキセントリックなアクション・行動はかなり鳴りを潜めている。ヒイロの高笑いは回数が減り、レディの暴走は他キャラに差し替えられ、終盤のゼクスの行動はかなり分かり易く解釈されている。ただし名言・迷言はほぼそのままである。
連載するにあたりかなりのシナリオカットや変更が行われている。代表的な物はデュオが対峙するヴァイエイト・メリクリウス戦は、後半活躍に乏しいトロワの戦いに丸ごと変更された。またパイロットたちがガンダムに乗らない間の話は殆どダイジェストとなっている。

先行した『FT』と比較すると色んな意味であまり話題にならず、連載中はアーリータイプのプラモ化やプロトゼロ等の新機体のプラモ化に留まりほぼ外部出演をしていなかったのだが、２０１９年に「Gジェネレーションクロスレイズ」に一部機体が参戦したのを皮切りに様々なゲームに出演、また追加装備のプラモ化が積極的に行われるようになり、認知度が上がっている。