蘇我馬子とは、飛鳥時代の政治家である。西暦626年6月19日没。
『扶桑略記』には76歳で薨したとあるので、これを信じるなら551年生まれ。
蘇我氏は神功皇后の功臣である武内宿禰を祖と称しているが、土着の豪族とも百済系の渡来人ともいわれはっきりしない。ともあれ、蘇我稲目の代に物部氏と並び朝廷を二分する勢力の片翼を担った。
欽明天皇の頃、百済から仏像が贈られたことがあり、稲目はこれを礼拝する。しかし疫病が流行ったのを機に、反対派だった物部尾輿らによりその仏像は廃棄されてしまう。仏教を信仰するか昔ながらの神祗を祭るかという蘇我氏と物部氏の対立は、子の蘇我馬子と物部守屋の代に引き継がれる。
蘇我馬子は父の稲目と同じく仏教を信仰した。司馬達等という渡来人の娘らを尼としてこれを拝むも物部氏の迫害に遭うなど、依然として仏教を巡る争いが続いていた。敏達天皇の葬儀の時でさえ、佩刀して弔辞を読む馬子に守屋が「矢が突き刺さったスズメのようだ」と言うと、震えながら弔辞を読む守屋に馬子が「鈴を付ければよく鳴るだろう」と言う始末。
用明天皇(厩戸皇子=聖徳太子の父)が在位2年で崩御すると、587年ついに馬子は軍事行動を起こし(丁未の乱)、物部氏討伐に乗り出す。物部氏の勢力は強く馬子も苦戦を強いられるがついにこれを打ち破り守屋を射殺する事に成功する。厩戸皇子が木で四天王の像を作り、戦勝を祈願したのはこの時の事である。
馬子は自分の息のかかった崇峻天皇を擁立するが、両者はやがて対立、592年に馬子は崇峻天皇を暗殺する。
馬子が次に擁立したのは女帝、推古天皇だった。以後、馬子は皇太子、摂政となった厩戸皇子(聖徳太子)と共に政治を営み、仏教を基とした政策を次々と打ち出す。冠位十二階や十七条憲法、遣隋使の派遣などである。
また、「天皇記」「国記」といった歴史書を聖徳太子と一緒に編纂させている。
聖徳太子死後も蘇我氏の権勢は衰える所を知らなかった。馬子の死後、その権勢は子の蝦夷、孫の入鹿が引き継ぐが入鹿は乙巳の変(いわゆる大化の改新)で中大兄皇子、中臣鎌足らに討たれ蘇我氏本家は滅ぼされる。
しかし入鹿の従兄弟である蘇我倉山田石川麻呂らの家系は引き続き朝廷の重臣として活躍し、奈良時代頃まで家系を保った。
馬子が建てさせた飛鳥寺など彼にまつわる史跡は多い。明日香村にある石舞台古墳は馬子の墓とも父の稲目の墓ともいわれ、後世にその雄々しさを伝えている。また2004年、馬子の邸宅跡といわれる遺跡が発掘されている。馬子は、その邸宅に島を浮かべた池があったことから嶋大臣とも呼ばれたという。
蘇我氏は稲目の代から天皇家の外戚として複雑な縁故関係を結んでいる。詳細な系図はウィキペディアとかをごらんください。
だいたい、日本史を学ぶと聖徳太子とセットで名前が出てくるが、まず「男なのに馬子って変な名前だ」と思われる。小野妹子や中臣鎌子(後の鎌足)とか、この時代は名前に子の付く男性は多かった。
そして三遊亭円楽(5代目)のような馬面にされる宿命である。
マンガ等では、聖徳太子をメインに描く作品が多い以上、太子と対照的な位置づけで馬子が描かれるのはやむを得ないかも知れない。共通して悪辣非道で強権的だが、聖徳太子には頭が上がらないというイメージが先行する作品が多い。しかし最近は『週刊 新マンガ日本史』のように己の理想を目指すために手段を選ばない好漢として斬新な描き方をする雑誌もある。
ちなみに石ノ森章太郎の『マンガ 日本の歴史』の蘇我馬子。どうしても洩矢諏訪子にしか見えないのは著者だけで良いです、はい。
『ギャグマンガ日和』では聖徳太子の対極としてそれなりの役を演じている。数はまだまだ多くないが、太子や妹子、孫の入鹿に負けず活躍するMAD動画も見られる。アニメには登場していないのが惜しいところ。
掲示板
21 ななしのよっしん
2021/08/11(水) 20:21:57 ID: SMVsYRg0lb
22 ななしのよっしん
2022/03/10(木) 15:51:17 ID: 1HdrTLdBxZ
武内宿禰-蘇我石川-満智-韓子-高麗-稲目-馬子-蝦夷-入鹿
蘇我石川-朝廷の使者として百済に渡る、以外の記述がない
韓子-任那等半島在住倭人の子につける名前
蘇我石川が向こうに渡ってそのまま住んだとか考えられるかな?正直高麗の名前が一番浮いてるように感じるが、、、
23 匿名希望
2022/11/22(火) 20:21:28 ID: d0clscwDfH
蘇我馬子→倉麻呂→連子(石川麻呂の弟)→娼子(藤原不比等の妻)→藤原房前(藤原北家の祖)…つまり、藤原房前は蘇我馬子の玄孫なので馬子の子孫は女系なら存在しますね。
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最終更新:2024/11/28(木) 12:00
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