青の6号とは (アオノロクゴウとは) [単語記事]

青の6号とは、小澤さとるによる漫画、及びそれを基にしたGONZO 製作のOVA、またはゲームソフトである。

本稿では1967年の「漫画版」、OVAに合わせて書かれた1997年の漫画「青の6号　AO6」、1998年の「OVA版」、及びOVA版から派生した「ゲーム版」を分けて解説する。

概要（漫画版）

こちらが原作であり、少年サンデーに連載されていた漫画である。

世界の海を守る国際組織「青」のポンコツ潜水艦「青の6号」が、世界的テロ組織「マックス」と戦う物語。

古い作品ではあるが、前作サブマリン707とあわせ、当時の少年達を潜水艦の虜にした作品である。

概要（青の6号　AO6）

OVAに合わせて書かれた1997年の漫画。
いくつか共通点があるだけで、原作とは全く違う物といっていい。

オゾン層崩壊により「人類生存圏は海中しかない」という思想が流行り、国連は海中移住計画を立案。

これをサポートすべく海中監視保安機構「AO」を結成し、移住計画に目処がつくまで備えることとなった。
だがそれよりも先に海中を掌握せんとする盲目の怪人ゾーンダイクが、海洋テロ結社「ジオス」を率いて暗躍。
AOの潜水艦隊「ブルーレイバーズ」に所属する6号機と、ゾーンダイクとの死闘を描く･･･。

という筋書きであるが、絵面がまんま60年代である（人によっては初期の横山光輝風とも）。筋書きもオゾン層崩壊による世界の危機という、当時の「懐旧的SF」を分かりやすく示していると言える。また敵役ゾーンダイクも、OVA版に比べれば単なる小物である。しかもその連載の終わり方は、人気のない少年漫画ではおなじみの例の引きである。
というか、小澤氏はどうも潜水艦隊と海戦だけを描きたかったようだ。というのも、これら背景設定はお粗末だが、潜水艦や乗組員などの部分、潜水艦に関わる描写などはやけに正確だからであり、「潜水艦マンガ」としては有名な作品に入るといわれている。

下述のOVA版を観た後で、古書店で世界文化社などが復刻（というかご本人が書き下ろ）した漫画版の本を見かけて買うかもしれないが、OVA版とのギャップは表現しづらい物があるだろう。小澤氏もそうしたOVA版に関する意見・質問にはヘキエキしていたようだ。

そのためか、総巻数は全3巻（書き下ろしも問題含みの5巻）。単なる潜水艦漫画としてそのまま静かに消え去るはずだった。

概要（OVA版）

しかし、何を思ったかGONZOはこの青の6号をアニメ化した。しかも、当時の最新3D技術などを駆使して。

近未来。地球の人口は膨れ上がり、海面は上昇し、環境は劣悪を極めていた。世界各国は人類最後のフロンティア「海」に希望を求め、新たな世界を築こうとする。そのために設立された、「海」の安全を守る超国家組織“青”。

先進国は協力して自国の潜水艦を“青”へ派遣させることを決定。日本の自衛隊から“青”へ向かった潜水艦も「青の6号」となり、“青”の任務につく。そんな折り、海洋開発のリーダーであった天才科学者ゾーンダイクが、突然南極で海洋テロ結社を築き、"青"に対して反旗を翻し、生物兵器（キメラ）を用いた人類殲滅を宣言。世界を恐怖に陥れる。

と、ストーリーも時代を反映して変更されており、特にキメラ生物の存在とゾーンダイクの思想・動機は大きく違っている。
また、「人は、天と地の間に立つ。」から始まるゾーンダイク本人の演説は、漫画版との思想の違いを端的に表している。

だが、それよりも特筆すべきは絵面の超絶変化だろう。パッケージイラストに村田蓮爾を起用しており、その絵はもはや別物である。
また、メカニカルなシーンや専門用語を利用した台詞の言い回しは原作に準じたような「愛」のようなものが感じられる。

本作は「世界初のフルデジタル・3DCG アニメ」として、青の6号OVA版はGONZOの名声を飛躍的に高めることとなった。

概要（ゲーム版）

上記OVA版の出来が素晴らしすぎたため、感動したバンダイとセガがプレイステーション・ドリームキャストの両方でゲームを出してしまった。ロゴも世界観も漫画版ではなくアニメ版を用いている。

バンダイは「Ant ar ct ica」（南極）、セガは「歳月不待人 TIME AND TIDE」というサブタイトルで発売した。
さて、敢えてここで読者に問おうと思う。バンダイ版ではジャンルを「シネマチック・シミュレーション」として、セガ版ではこれを「海洋サルベージアドベンチャー」というジャンルで販売した。どちらが面白そうだと思うだろうか？

当然(?)、こういった先進的なことに関しては鼻が利くセガの方に軍配が上がった。そのため、どちらかというとドリキャス版のほうにファンが多く、「不朽の名作」と評する者もいるほどである。
ニコ動に上がる動画も大半がドリキャス版であり、Youtubeに上がる青の6号もドリキャス版であることからも、両者のクオリティはお察しください。