054型ミサイルフリゲートとは、人民解放軍海軍が保有するフリゲートの艦級である。NATOコードネームはJiangkai-class frigate。日本語では、これを邦訳した江凱型フリゲートの名で知られる。本項では発展、あるいは量産型である054A(江凱II)型を中心に解説する。これは隻数の上で、発展型である054A型のほうが圧倒的に多いからである。
本級は従前の053H3型から兵装はほぼ変わらないものの、船体は大型化し、航洋性能が高まった。また人民解放軍海軍として、初めてステルス性が意識された設計となっている。ただし、建造が僅か2隻にとどまった。このことから054型は054A型に繋がる実証、実験のための艦級として考えられている。
054型に比べて、HQ-7(クロタル)ミサイルがVLS発射のHQ-16ミサイルに換装されていることから、対空能力が向上している。HQ-16は短距離対空ミサイルであるHQ-7の射程を大幅に上回っている。またHQ-16では超低空から飛来する目標や、ポップアップ式対艦ミサイルに対する迎撃能力が重視されている。
054型が僅か2隻の建造数だったのに対し、054A型は2016年までに22隻が就役している。また現在でも年間2隻程度のペースで就役が続いている。このため、今後しばらくの間、054型は中国フリゲートの中核をなすと考えられる。
上記の大量建艦から、054A型は一定の成功を収めていると推測される。
これまで述べてきたように、054A型は一定の成功を収めた艦級である。しかしながら課題が存在しないわけではない。本級の問題点として指摘されるのが対潜能力の低さである。
まず、第一に水上戦闘艦としては、異例のオールディーゼル推進を採用しているため、騒音が煩く対潜戦に不安がある。ただし、オールディーゼルによって航洋性は安定しており、本級はしばしば海外派遣任務に投入されている。
またこれは、本級固有の問題ではないのだが、搭載ヘリコプターの不足が指摘されている。人民解放軍海軍が保有する艦載対潜ヘリコプターは、2017年現在30機にも満たないとみられる。
対潜能力の低さと、海軍航空の規模の小ささは人民解放軍海軍全般に指摘される問題である。また、対潜ヘリコプターの不足という問題では両者は関連している。その問題が図らずも、というよりも必然的に本級にも現れてしまったと言えよう。
| 満載排水量 | 3963トン |
| 全長 | 134メートル |
| 幅 | 16メートル |
| 喫水 | 5メートル |
| 主機 | ディーゼル4機、2軸 |
| 馬力 | 28200馬力 |
| 速力 | 27ノット |
| 兵装 | 対空ミサイル HQ-16 / VLS(32セル) 対艦ミサイル YJ-83/ 4連装発射筒 2基 対潜ロケット 6連装対潜ロケット発射機 2基 魚雷 324mm3連装魚雷発射管 2基 砲 76mm単装砲 1基 CIWS 30mmCIWS 2基 |
| 搭載機 | Ka-28ヘリコプター1機 |
上の諸元は世界の艦船2017年03月号48頁から取った。また日本周辺国の軍事兵器では、多少異なる情報を紹介している。例えば、満載排水量が約4,000~4,500t近く、アデン湾派遣時には 89式12.7mm重機関銃が数基増設されたと言う。
『054A型フリゲート』 日本周辺国の軍事兵器http://seesaawiki.jp/w/namacha2/d/054A%B7%BF%A5%D5%A5%EA%A5%B2%A5%A4%A5%C8%A1%CA%A5%B8%A5%E3%A5%F3%A5%AB%A5%A4II%B7%BF/%B9%BE%B3%AEII%B7%BF%A1%CB
掲示板
1 ななしのよっしん
2017/09/09(土) 15:35:14 ID: PSCXBVs75+
対潜ヘリコプターの不足の件ですが、
昔ほどではないにせよ、今も中国海軍が対台湾戦を強く意識しているところに理由がありそうな気がします。
台湾海軍の潜水艦は僅か4隻で、しかもその全てがロートルです。(最新型でも運用開始から約30年、古い方は何と70年以上!)
要するに対潜ヘリを整備する優先度が低いのでしょう。
コストパフォーマンスの面から、海自のフネが限定的なステルス化にとどまっているのと似た理由かと
2 ななしのよっしん
2017/09/14(木) 17:17:49 ID: V5g2csVkYz
>>1
そうですね。海軍のドクトリンにも原因はあるのは確かだと思います。対潜よりも、対空、対艦装備のほうが優先度が高いのでしょう。
ただ、陸軍も最近までヘリコプター部隊が貧弱だった(最近保有数、千機に到達したが、これでも割合からすれば陸自の2,3割ほどに過ぎない)ので、国家全体のヘリコプター生産、技術が未熟であったことも原因の一つだと思います。
しかし、あなたも指摘しているように徐々に海軍のドクトリンも外洋思考に変化しており、対潜ヘリ部隊の強化も見られます。
具体的には、空母や(おそらく)055型駆逐艦用に大型のZ-18F対潜ヘリコプターが開発されました。大型化により、既存の対潜ヘリコプターより能力が向上しています。
ただ、054型や既存の駆逐艦への搭載は大きすぎて困難とみなされています。とすると、これからの艦載対潜ヘリコプター部隊の主役は空母や055型駆逐艦が担うのではないでしょうか。
また、054型の一つの上のクラスとして、052C型や052D型駆逐艦があり、そちらのほうが艦載ヘリコプターの運用が容易だと思われ
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最終更新:2025/12/07(日) 01:00
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