菊乃:文芳社に持ち込んだ漫画ボツでしたの…
きらり:あぁそういえば仰ってましたね~…どんまいです!
菊乃:2巻乙程度はいけると思ってたんですけど~~!!!
きらり:そこはかとなくナメてませんか~~??はまじあき『きらりブックス迷走中!』2巻より
2巻乙とは、まんがタイムきらら系列の作品が単行本2巻で打ち切りになることである。
まんがタイムきらら系列の作品は基本的に連載開始から1年後に単行本1巻が発売され、毎年かなり多くのタイトルが1巻として世に出ている。しかしアニメ化したり長期連載したりする作品はごく稀で、大半の作品がこの「2巻乙」の末路を辿ることとなる。統計によると2巻乙する作品の割合は約7割にものぼるとされており、きららにおける限られた連載枠をかけた生き残りレースがいかに熾烈なものかを物語っている。
打ち切り作品とは言えコアなファンがついていることも珍しくなく、雑誌発売日に何らかの作品の最終回が告知されると、「推しの作品が2巻乙した」と涙を流すファンの姿がSNS上で見られる。
逆に言えば一度連載さえ決まれば2巻までは安定して出る=最低2年はその作品を楽しめることが保証される(一部例外あり、後述)ということなので、打ち切りまでのスパンがさらに短い他雑誌の読者からは羨ましがられることもある。
ちなみに「2巻乙」というワードは芳文社公認のようで、記事冒頭のように作中に登場するほか、鴻巣覚『がんくつ荘の不夜城さん』2巻の帯のように堂々と宣伝に使われることもある。
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(余談だが、2巻乙をネタにした『きらりブックス迷走中!』は2巻、『がんくつ荘の不夜城さん』は3巻で終了している。)
話の展開や作者の都合によって終了するケースもあるものの、基本的に作品が続くかどうかは単行本の売り上げ、特に発売後1ヶ月後の売り上げ(電子版も含む)が重視されると明言されている(ただし紙版と電子版のどちらかだけでもダメで両方が一定数売れる必要があるらしい)。某少年週刊誌のようにアンケートの結果も重視されているようだが、まんがタイムきららにおいては売り上げ至上主義と言われる面が大きいことは否定できない。というかアンケートの結果を重視するのなら電子版でも送れるようにしろ
記者:実際のところ、2巻で完結するかどうかは、どのタイミングで決まるものなのでしょうか?
担当:単行本1巻を出した最初の1カ月の売上はかなり大事です。あとは、雑誌のアンケートや作品、雑誌の状況などを見て総合的に判断します。ただ、途中から一気に火がつく作品もありますし、その判断が難しいですね。
知ってる人は知ってると思うけど紙版が全然売れなかった!!紙版が売れないとどうなるかというと、2巻で打ち切りになっちゃう。なんか多分ここまで売れたらオッケーみたいなのがあって、ななどなどなどはそのラインにギリ届いていなかった;;
(中略)
んでんでんで、継続ラインに届いていないのになんで2巻で終わらないかというと電子書籍が結構うれた!からでした(中略)比重としてはやっぱり紙の方が重いんだけど、最近は電子の売上も考慮してくれるところが多いとかなんとか・・・(中略)でも!電子版が結構うれただけでは続けられなく!(ラインには届いてないものの)紙版も一定数売れていないとダメなわけで・・・何がいいたいかと言うと・・・ほんとにあの・・・どっちが欠けてもダメだったんです!!だからホント・・・どんなバージョンでも買ってくれた全員の人にありがとうの気持ちが・・・ある
(中略)
よく紙と電子、どっちが作者のためになるの!?みたいな議題みますが多分どっちもだと思います。マジだぜ!
きららファンも多くはこの仕組みを理解しているようで、単行本の売り上げに貢献するべくあの手この手を使った作戦が練られている。
単行本未発売の作品の知名度は雑誌読者を除けばほぼゼロに等しいので、1巻発売日前後に推し作品の見どころをSNS上で布教するファンも多い。また、売り上げに貢献するべく同じタイトルの作品を大量に購入することも珍しいことではない。推し作品への投資は計画的に。
2巻乙回避につながるかは不明だが、推し作品の作者にファンレターを送るのももちろん一つの手である。あなたの支援の一手が作品の将来を左右するかもしれません。
最近ではきらら編集部も公式Twitterで新規作品を紹介したり、きららベースで単行本未発売作品を多く含む30以上の作品の追っかけ連載を開始したりするなど、雑誌未読者組をターゲットにした知名度向上に取り組む動きが多く見られるようになってきている。
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上述のように、1巻発売から1ヶ月後、1巻の売り上げの調子がデータとしてはっきりと出たあたりで判断されると思われる。例えば、湖西晶『下を向いて歩こう』では、1巻発売後間もなく打ち切りが宣言されたことが明かされている。慣れた読者であれば1巻発売後のセンターカラーの頻度減少や雑誌内での掲載順位の低下などから2巻乙の足音を感じられるようになるかもしれない。しかし、最近では春雨『魔王城ツアーへようこそ!』のように掲載誌表紙を経験した作品でも2巻乙になるケースもあり、決して油断できない。
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珍しいケースでは、みやびあきの『なでしこドレミソラ』は最終回の発表直前に打ち切りが決定したということが明らかになっている(なでしこドレミソラは5巻で打ち切りとなっているが、単行本化のスパンが短い「まんがタイムきららフォワード」で連載されていたため他誌でいうところの3巻乙あたりに相当する)。
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他の作品においても、何巻で終わってもいいように単行本の締めの部分は毎回上手くまとめることが要求されるという話も多く聞かれるため、2巻乙のプレッシャーはそういった意味でもきらら作家に大きくのしかかっていると思われる。
2巻で終わるような作品にとってアニメ化なんて夢のまた夢……と思われるかもしれないが、実は意外とそうでなかったりする。例えば、阿部かなり『みゃーこせんせぇ』は2巻乙した作品にも関わらず、1巻発売後半年ぐらいでアニメ化の打診があったことが作者から明かされている。
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また、くろば・U『ステラのまほう』は2巻で、伊藤いづも『まちカドまぞく』は3巻で本来は終わるはずだったのだが、アニメ化が決まったことにより打ち切りを回避している。
くろば:『ステラのまほう』も、本当は2巻で終わる予定だったんですよね。いろいろな幸運が重なって今も描かせてもらっていますけど、僕的には棺桶から出てきて街中を徘徊している気分です。
記者:アニメ化が決まったとき、どんなお気持ちでしたか?
伊藤:熱が出ました(笑)。もともと『まちカドまぞく』は3巻くらいで完結させようと思っていて、そのときすでに次回作の企画を担当さんに出してたんですよ。
だけどアニメ化が決まって、もう少し連載を続けられることになって……。もちろんすごく嬉しかったですけど、こんなこともあるのかという驚きのほうが大きかったですね。気持ちの気温差が激しすぎて体調を崩すみたいな。
このように、本来なら2巻乙で終わるはずだった作品がアニメ化によって命を救われるというケースもあり、まさに2巻乙とアニメ化は紙一重と言っても過言ではない。また、きららではまだ前例がないものの、2巻乙で終了した作品が突然アニメ化する、という可能性もゼロではないので希望は捨てないでおくべきであろう(種田優太『フレラジ☆』は、2巻乙で終了した後にドラマCD化が決定し、whiplashから発売されている)。
中には、あfろ先生やマウンテンプクイチ先生やはまじあき先生のように過去に2巻乙を経験(『月曜日の空飛ぶオレンジ。』『あまゆる。』『きらりブックス迷走中!』)しながらも、後の連載作品でアニメ化を勝ち取った事例もある(『ゆるキャン△』『球詠』『ぼっち・ざ・ろっく!』)。
連載が決まったものの単行本が出ずに打ち切りとなるケース。今はあまり見ないが昔のきららではたまに見られていた。単行本の売り上げで判断できないので、よほどアンケートの結果が悪かったか、作者の一身上の都合によるか、作者が炎上するかといったレアなケースとなっている。
また、川井マコト『にじげんめのうた』や大熊らすこ『ハッピーセピア』のように、早めに打ち切って次の作品に移るために結果的に0巻乙とさせられるケースも存在する(ちなみに川井マコト先生はにじげんめのうた終了の次号から『幸腹グラフィティ』を連載開始、大熊らすこ先生はハッピーセピア終了から約1年後、『星屑テレパス』できららに復帰している)。
記者:『ハッピーセピア』の連載が終わったときは本当に残念でした。あと数話で単行本1巻ぶんのストックが溜まるタイミングでもあったので。
担当:『ハッピーセピア』に関しては、編集部内でも意見が割れていたんです。単行本を出してもいいんじゃないかと言う者もいれば、そこまで待たず次の作品に切り替えたほうがいいと言う者もいて。
検討を続けた結果、もうすぐ1巻が出せる直前で終了という判断になってしまい、大熊先生には申し訳ありませんでした……。
0巻乙となった作品は単行本が存在しない以上、読みたい場合は実際に掲載された雑誌を国立国会図書館なりで探し出すしかないため、後追いしたい人向けのハードルは非常に高くなっている。
単行本全1巻で打ち切りになるパターン。単行本が出るか出ないかという雲泥の差があるとはいえ、打ち切りの基本的な理由は0巻乙とほぼ同様と思われる。これも0巻乙と同様昔のきららでは多く存在していたが、最近は珍しくなっている。
1巻の壁を越えたものの、様々な事情により2巻が出ることなく終了するパターン。最終回まで描かれることもあれば、休載になりそのまま再開されることなく終了する場合も。こちらも最近では珍しくなっている。タイトルのみで刊行される1巻乙とは異なりこの場合は単行本には1巻とナンバリングされる。
最近あった珍しいケースでは、2017年の「まんがタイムきららミラク」の休刊に伴う強制打ち切りである。これにより、うちのまいこ『ななつ神オンリー!』、ちろり『お願い!ロイヤルニート』といった作品が本来2巻に収録される話を抱えたまま1巻乙となってしまった。そのためこれらの作品は全1巻にも関わらず単行本を読んだだけでは中途半端なところで最終回と感じられてしまう。現在では単行本未収録回はCOMIC FUZで読めるようになったので少しはマシになった。
また、内藤隆『黒髪巫女とマリアウィッチ』では、単行本未収録回を含めた総集編を同人誌としてBOOTHで販売している。
2巻乙を回避した作品が次に超えるべき壁。ぶっちゃけ打ち切り作品とアニメ化作品の境界線はこれを超えられるか否かと言っても過言ではない。
特にまんがタイムきららMAXにおいてはこの傾向が顕著で、いくら人気のある作品でもアニメ化できなければ容赦なく打ち切りになるという修羅の世界となっている。中でも、有馬『はんどすたんど!』、晴瀬ひろき『魔法少女のカレイなる余生』、相崎うたう『どうして私が美術科に!?』あたりは未だに3巻乙での打ち切りがファンの間で惜しまれている。特に『どうびじゅ』が打ち切られた事実は、きらら編集部の「人気より売り上げ」という精神をファンに改めて認識させることとなっている(ちなみに、相崎うたう先生はどうびじゅ終了から約1年半後、『瑠東さんには敵いません!』できららMAXに復帰している)。
記者:失礼な質問かもしれませんが。3巻での完結は予定していたものではなく、打ち切りということになるのでしょうか。
担当:読者、特に学生の方からの反響が大きい作品であることは編集部としても認識していたのですが……。単行本の売上などを見て、3巻あたりで「どうびじゅ」は一区切りにして新作にシフトしたほうが、今後の諸々の条件を鑑みて結果よくなるだろうなという判断ですね。相崎先生とは、3巻で締めましょうという話は前々からさせていただいていました。
3巻の壁を突破したものの、4巻で打ち切りとなった作品。とはいえここまで来ると(2巻乙が多すぎるせいで)アニメ化しなくても十分にやりきったという評価になりがちなので、4巻乙という呼称はあまり使われない。
最近の例だと、とめきち『すわっぷ⇔すわっぷ』、スーパーまさら・うみのとも『私を球場に連れてって!』、タツノコッソ『社畜さんと家出少女』あたりが該当する。
掲示板
103 ななしのよっしん
2024/09/21(土) 22:40:46 ID: wS+h2pdB74
ばーがー・ふぉー・ゆー!の2巻乙追加よろしくお願いします
104 ななしのよっしん
2024/11/12(火) 22:08:17 ID: MO1jlzl2I7
こうして見るときらら系も打ち切り基準が厳しいのな……会社としては利益を出さなきゃいけないから当然なんだろうけどさ
105 ななしのよっしん
2024/11/12(火) 22:40:23 ID: L28t5xHtdm
2巻打ち切りが大半、3巻でアニメ化しなきゃ打ち切り、4巻で連載期間十分ってすげぇ世界だな
週刊連載と基準違い過ぎるわ、連載の回転率激しいジャンプですらもうちょい優しいぞ
単純計算すると同話数で連載期間4倍だから悠長なこと言ってられんのかね
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/26(木) 22:00
最終更新:2024/12/26(木) 22:00
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