SCP-4498とは (モンダイダラケとは) [単語記事]

SCP Foundation > SCPの関連項目一覧 > SCPオブジェクト > SCPオブジェクト一覧 > SCP-4498

They're all me! Every single one of them, Sophia!

SCP-4498 - SCP Foundationより,2023/02/24閲覧

SCP-4498とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。

項目名は『The Plurality of Elias Shaw』。日本語に訳すと「多数のイライアス・ショー」となる。もっとシンプルに表現するならば、『ショーだらけ』だろうか？しかし、日本語圏では2023/02/24現在『ブライトだらけ』と訳されている。「――どこからブライト博士がでてきたんだ？」と思うだろう。ぜひ、読み進めていっていただきたい。

なお、本オブジェクトは原典のストーリーを味わうオブジェクトであり、ゆえに本項ではその部分をあえてバッサリと省略している。本項を読み終わったら、ぜひとも原典を読んでいただきたい。

概要

基本情報
SCP-4498
OC	Euclid 3/Ke neq 2/Caution Level 2: Restric ted
収容場所	4498交通遮断兼立入禁止区域 (旧サイト-53)
著者	dj ka ktus (原著) thor_taisho (和訳)
作成日	2019年 3月13日
タグ	エバーウッド博士エージェント・ラメントギアーズ博士クレフ博士ケイン・パトス・クロウジン・桐生マン博士ライト博士人工人間型場所精神影響記憶影響財団製
リンク	SCP-4498
SCPテンプレート

まずは特別収容プロトコルを見ていこう。SCP-4498は全実体がアメリカ合衆国シルバニア州ピッツバーグ近郊のサイト-53跡地にある4498専用の収容区域に収容されなくてはならない。彼ら実体群との交流は公式な外構業務外においては制限されなくてはならず (つまり非公式・プライベートな場で会うな) 、SCP-4498実体の交通遮断区域からの退出は認められていない。そして彼らの暴動イベントには、専任任務部隊ショー-99”おいやめろ” (Applied Task Force Shaw-99 "Oh No You Don't")がアサインされており、可能な限り非致死的手段をもってSCP-4498実体群を鎮圧しないといけない。この手順はSCP-4498の影響が十分に緩和されるまで実行され、この影響の統御は内部決議部門及びケイン・パトス・クロウ地域研究管理官の管轄に置かれる。

このSCP-4498とは何なのかというと、もともとサイト-53の区域に配属・収容されていた325体以上の男女、動物、そして異常実体群に対する集団呼称である。要はここに勤めていたエージェント、研究者、警備員、食堂のおばちゃん、飼われていたペットや実験用のモルモット、Dクラス職員、いつのまにか住み着いていたネズミやゴキブリ、そして財団サイトなので当然意思を持つアノマリーたちがいるわけであるが、それらすべてが、とある別個のアノマリーの影響のために全員、財団職員イライアス・ショー博士の意識を有しているのである。

イライアス・ショー博士は現在無力化されている異常なアーティファクト (磁器製の猫の小型彫刻) の調査中、尾部について「静止位置から時計回りにしか回転させることができない」という指示を適切に聞いていなかったために、反時計周りに尾部を回してしまった。これによりアーティファクトの尾部はショー博士の手によって折損してしまった。もともとこのアーティファクトは、この尾部を時計回りに回すと周囲の異常性が減退するというものだった。――ということは反時計周りに回せばどうなるか？ちょうどこれを手に取っていたイライアス・ショー博士は、SCP-963という異常アーティファクトの存在により生き残っている存在である。まさに、その異常が増幅してしまい、周囲がショー博士だらけになってしまったわけである。

ショー博士はソフィア・ライト博士にすぐに連絡し、一人残らず自分になってしまったサイト-53から自分を救い出してほしいと依頼する。しかし優秀な人材は一人残らずショー博士になっていた。マン博士、クレフ博士、その他数多くの職員に、サイトに住み着いていたネズミ、果てはSCP-096 ("シャイガイ") に至るまでもが。そして困ったことに、彼らは本物のショー博士の、おふざけをする側面だけをコピーしてしまっている。よって、サイト中はどんちゃん騒ぎ。女性のショー博士は海賊女王を自称し、戦車の上に木造帆船を建造すると、他のショー博士を手下とし、ショー博士のアミュレット (SCP-963) を要求した。しかし事態の中で冷静に、沈着にギアーズ博士は猫の彫刻を海賊女王ショー女史から受け取ると、それを本物のショー博士に投げ渡し、時計回りに回させることで事態の収拾を図った。以後SCP-4498は増加こそしてはいないが、完全に影響が抜けるまではサイト-53は実質ショー博士の封建制が敷かれることになろう。

「ブライト」？「ショー」？

本項はdj ka ktusが2019年 3月13日に執筆し、それを後にSCP-JPのthor_taishoが2020年 4月8日に翻訳した。このthor_taishoは『ウィズダム英和SCP辞典』をニコニコ動画にアップロードしている総たいしょーと同一である。総たいしょーは先立って2020年 3月29日に『ウィズダム英和SCP辞典』vol.16にてSCP-4498を取り上げており、当時の英語メタタイトルは『The Plurality of Jack Bright』であった。そう、もともとはショー博士ではなく、ブライト博士が増殖するオブジェクトであったのだ。ブライト博士といえばSCP-963の中の人、という点と財団きっての問題児というのは知名度は高かろう。

そしてこれを総たいしょーが取り上げる前に、2019年 4月26日に『アニヲタWiki(仮)』にて、ユーザーのひとりが解説記事を執筆していた。そのユーザーは『The Plurality of Jack Bright』を、おそらくは『ドラえもんだらけ』にあやかってか、『ブライトだらけ』と暫定的に訳出。これをそのまま総たいしょーが自身の翻訳時に訳語として採用したわけである。

さて、このブライト博士の中の人として知られるSCP-ENの重鎮、AdminBrightであるが、彼はSCP-ENコミュニティにおいて、ブライト博士とは違った意味で問題を抱えていた。SCP-4498の執筆者であるdj ka ktusはLGBTQ+への理解を深めようという運動に参画し、かつSCP-ENの改革を常々行ってきた、いわば新時代の旗手ともいえる著者なのだが、これに反発し袂を分かったRPC Authorityの面々から、よりにもよってSCP-ENの重鎮であるAdminBrightのスキャンダルが取り沙汰されたのである。それは、AdminBrightが「性的なセクシュアル・ハラスメントを複数の女性に対してメールや写真のやりとりで行っていた」というものであった。中には児童ポルノにあたるものもあるのではないかという指摘もあるが、このあたりの話はRPC Authority サイドからすれば実に愉快な話であったらしく (RPC AuthorityはLGBTQ+差別を公然と行っていないが、一方で創作サイトにそういう政治的な話は不要であるとしており、同性愛者を差別する表現を公然と使用するメンバーもいる) 、「クリーンなサイトを作ると言っておきながら、重鎮の未成年に対するセクシュアル・ハラスメントには見て見ぬふりをし続けた」と半分嘲笑を含めた批判を行っていたりする。

無論、SCP Foundation サイドも (2018年頃からVoteにしかAdminBrightは参加していない半引退状態であったため) 形式的にだがAdminBrightを2022年にBANすることにした。ただしこのあたりもRPC Authority サイドは2018年時点でAdminBrightのセクシュアル・ハラスメントを指摘しているのに対して、実際のBANは2022年と開きがあり、これに対する批判が特に現在のSCP Foundationの中核であるdj ka ktusにも集まった。

そんななか、2023年 2月23日にdj ka ktusは『Jack Bright』と「偶然一致する」Elias Shawというキャラクターを作り上げ、SCP-4498の中のブライト博士をショー博士に置き換えたのである。

ポストを読み込み中です
 https://twitter.com/djkaktus_/status/1628605398818119681

RPC Authorityの自身やSCP Foundationへの嘲笑と批判に呼応するかのように、dj ka ktusは上記のように述べ、「現実世界で性犯罪なんてしないショー博士をブライト博士の代替に使用しよう」と呼びかけた。SCP Foundationの多くのメンバーもdj ka ktusには好意的な者が多いこともあり、現在反発はSCP-ENではあまり見られない様子である。

しかし、これはもともとポリティカル・コレクトネスや政治的な話を好まず、触れようとさえしてこなかったSCP-JP サイドからは動揺の声が起きた。SCP-JPでは「著者とキャラクターは別である」という考えを持つ者が多く、「dj ka ktusはブライト博士とAdminBrightを混同していないか」として逆にこの置き換えに反発する者も多くいる。とりわけブライト博士はSCP Foundationを理解する上での大人気キャラクターであり、それをぽっと出のショー博士に引き継がせるということに否定的なメンバーが多い。今後、SCP-4498にかぎらず「ブライトだらけ」は「ショーだらけ」になるのだろうか。

余談

SCP Foundationがまだ「The Plurality of Jack Bright」であったとき、先述のAdminBrightはDownvote (低評価) を行っている。AdminBrightはRPC Authorityとは違う意味合いで (SCP Foundationのあり方について保守的に考えていた) dj ka ktusとは反りが合わなかったものとみられている。
途中で「アヒルをファックする」という表現が登場する。これはAdminBrightがかつてTheDuckmanというユーザーネームを使用していたからであろう。