ビターグラッセ(競走馬) 単語


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ビターグラッセ

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はじめまして

ビターグラッセと申します

〝ウマ娘〟の世界から来ました

今週日曜デビューしますので

応援よろしくお願いします

――スポーツニッポン 2022年6月14日記事より

ビターグラッセ(Bitter Glace)とは、2020年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。

曖昧さ回避 この記事では実在の競走馬について記述しています。
この馬名の元ネタと思われる『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては
「ビターグラッセ(ウマ娘)」を参照してください。

概要

2021年2月、『ウマ娘 プリティーダービー』のアプリ版がリリースされ、隆盛を極めていた。
当該ゲームには、各育成シナリオのラスボスに据えられているウマ娘がいる。彼女らは「全てのウマ娘のライバル」という使命を負うため、実際の競走馬の名前を持たない、架空のウマ娘である…はずだった。

明けて2022年2月8日、あるTwitterユーザーより、そうしたゲームオリジナルウマ娘と同名の「ビターグラッセ」と「リトルココン」が馬名登録された旨が報告される。また、残る「ハッピーミーク」も申請中である旨が、両頭のオーナーより発表された(2日後に通過が報告された)。

かくして、「ビターグラッセ」の名は、ノーザンファーム産「アンソロジーの2020」の競走名として現実世界に登場することになった。

生い立ち

2020年4月26日生まれ。父ルーラーシップ、母アンソロジー(母父サクラバクシンオー)。

父はG1クイーンエリザベス2世カップをはじめとした重賞5勝を挙げ、現在産駒が絶賛活躍中の人気種牡馬。しかし自身が出遅れ癖に悩まされ、産駒にもその傾向がある。

母アンソロジーは、ビターグラッセで10番目となるベテランママ。産駒の中でもグラッセの二つ上の姉・アナザーリリックは福島牝馬ステークスの勝ち馬であり、一つ上の兄・プライルードは、全日本2歳優駿を11番人気にして3着に突っ込み、2021年度地方競馬強化指定制度の2歳選定馬に選ばれた実力者である。

母父サクラバクシンオーは今以て最強スプリンター論争に顔を出し、大種牡馬としてあちこちの血統表に名前が載っている。

『ウマ娘』には父母エアグルーヴと母父サクラバクシンオーが登場しており、いわゆる「ウマ娘血統」を2頭持っていることもファンの注目を集めた。

馬主はアルクトス(マイルCS南部杯2連覇など)のオーナーとして有名な山口功一郎。2021年セレクトセールにて6600万円で落札した結構な高額馬である。
本馬は、『ウマ娘』から名前を取った(とおぼしき)3頭のうち、最高額馬である。

ツイートの通り美浦の栗田徹厩舎に所属。栗田厩舎には先のアルクトスや、逃げ戦法で2021年菊花賞と2022年天皇賞(春)を勝ったタイトルホルダーなどがいる。

戦績

初戦は6月19日の東京5レース・メイクデビュー東京・芝1600m。鞍上は福永祐一。この週はDコースを用いるためフルゲートが16頭と少なく、出走希望馬22頭の中で抽選になったが、無事に抽選に通りデビューが決まった。

迎えた当日にはネタ元、ビターグラッセ(ウマ娘)イメージのメンコをつけて登場。応援馬券の後押しに良血の期待、また調教の内容を評価されてか、単勝2.9倍の1番人気を背負って出走となった。当日はnetkeibaが突如東京競馬場の蕎麦屋[1]の案内をツイートするなど、周囲もただならぬテンションの高さのまま発走時刻を迎える。
レース本番ではあまり行き足がつかず後方からの競馬となり、直線も伸びあぐねて掲示板まであと一歩の6着で終了。レース後、福永騎手は「もう少し距離があった方がいいかも」と述べており、今後は距離延長などを試しながら未勝利脱出を目指すものとみられる。

というわけで次走は7月24日福島第3レース・2歳未勝利、距離を伸ばして芝1800m戦。鞍上は田辺裕信に変更となった。発走前に5番ドライカプチーノがゲートで暴れて競走除外され12頭になったレース。中団後方に控える形となり、終盤末脚をみせるも2着から3馬身半離された3着(1着と2着の間は4分の3馬身)。上がり600m37秒1というのは1着マイネルビジョン(36.9)に次ぐ2位タイ(同順位はマイレーヌ(2着))。マイネルビジョンとマイレーヌはどちらも逃げたアギレラビーム(9着)のすぐ後ろにずっとつけて、4コーナーで突き放した馬たちであり、先行勢に同等かそれ以上の脚を繰り出されてはさすがに追いつきようがなかった。

一旦休養を挟み、3戦目は10月1日中山第4レース・2歳未勝利、距離はさらに伸ばして芝2000m。鞍上は田辺裕信が続投。このレースでは3番人気に。道中は中団後ろの方につけ、中山の直線に入ったところでは前に馬群がいたが、すっと外に持ち出すと猛然とスパート。大外から中山の坂を1頭だけ明らかに違う脚色で駈け上がり、先に抜け出して先頭に立った2番人気ジュドーを豪快に差し切って、半馬身差をつけて1着でゴール。上がり3Fは最速の35秒3を出し、鮮やかに初勝利を飾った。

無事に勝ち上がっての4戦目は、12月3日、中山第9レースの葉牡丹賞(2歳1勝クラス、芝2000m)。レイデオロやトーセンジョーダン、タイキフォーチュンやウイニングチケットらが経由した由緒正しき出世レースのひとつである。抽選を通って1枠1番からの出走で鞍上は引き続き田辺。京都2歳S勝ち馬グリューネグリーンを新馬戦で破った1番人気ミッキーカプチーノを筆頭に、札幌2歳S組のブラストウェーブやシャンドゥレールなど期待の実力馬が揃うなかなかのメンバーで、ビターグラッセは17.7倍の6番人気に留まった。
レースは内から集団後方につけ、3コーナー手前から内を積極的に上がっていく。直線で馬群を抜けだしたが、前目から鋭い末脚を繰り出したミッキーカプチーノには3馬身半突き放されての2着。とはいえ他の有力馬はまとめてかわしきる好内容で、このメンバーで2着は改めて今後に期待のもてる好走といえた。
なお、ブラストウェーブは2番人気で、ブラストワンピース(2018年有馬記念勝ち馬)の全弟だったのだが、翌年1月に急死してしまい、再戦はなくなってしまったのであった。
また、ミッキーカプチーノはその後ホープフルステークスに乗り込んだものの、大外18番になってしまったこともあり、5着に終わった。

レース後、オーナーによれば、「フローラSまでに1つ勝つのを目標に頑張ってもらいたい」とのこと(該当ツイート)で、この後は距離適性を鑑みて無理に桜花賞は目指さず、オークスを大目標に動く模様。

2歳はこれで終わりで年が明けて3歳になった2023年、初戦は1月5日の自己条件の3歳1勝クラスの平場戦。1頭出走取消で9頭でのレースが行われ、最初7番手で進める。先頭の1000m通過60秒3というペースの中で3コーナーを過ぎた所で一気に加速したものの、大外を回らされることになってしまい、6着に沈んだ。

休養明けの3月26日、中山第9レースのミモザ賞(3歳1勝クラス牝馬限定、芝2000m)。
特別登録14頭、最終的には11頭立てになったこのレース、最終追切では前日に日経賞を勝利した同厩のタイトルホルダーとの追切で話題になり期待が寄せられていた。
レースは常時中団に位置し3コーナーから仕掛け始めたものの、不良馬場の影響か4コーナーあたりからもたつく動きを見せ直線伸びずにまたも6着となってしまった。

春のクラシックのめどが立たなくなったため、休養を挟み6月11日の3歳以上1勝クラスへ。ここでダートに変える。2番人気となり、2番手集団でレースを進めるも、最後は後ろから来た2頭に抜かれていき5着に終わった。

放牧を入れず連戦で挑んだ7月8日の3歳以上1勝クラス。
前走のレースでは5着となったものの1着との着差が0.2であったためそのままダートでの出走になった。
しかし、馬体重は夏負けの影響か-16kgと大きく落としレース中も精彩を欠いた走りになり初めての2桁着順となる13着に終わってしまった。

年月日 開催 格付 レース名 距離 騎手 馬体重 斤量 頭数 馬番 人気 単勝 着順 馬場 タイム
2022/6/19 東京5R 新馬 メイクデビュー東京 芝1600m 福永祐一 498(初) 54 16 13 1 2.9 6 1:36.6
2022/7/24 福島3R 未勝利 2歳未勝利 芝1800m 田辺裕信 498(0) 54 13 1 1 3.0 3 1:52.4
2022/10/1 中山4R 未勝利 2歳未勝利 芝2000m 田辺裕信 502(+4) 54 17 7 3 7.1 1 2:02.6
2022/12/3 中山9R 1勝 葉牡丹賞 芝2000m 田辺裕信 500(-2) 54 18 1 6 17.7 2 1:59.7
2023/1/5 中山6R 1勝 3歳1勝クラス 芝2000m 田辺裕信 500(0) 54 10 4 1 2.1 6 2:01.8
2023/3/26 中山9R 1勝 ミモザ賞 芝2000m 幸英明 500(0) 54 11 3 1 4.1 6 2:08.1
2023/6/11 東京7R 1勝 3歳以上1勝クラス ダ1600m 三浦皇成 506(+6) 53 16 14 2 5.1 5 1:36.7
2023/7/8 福島8R 1勝 3歳以上1勝クラス ダ1700m 三浦皇成 490(-16) 53 15 3 2 4.8 13 1:49.2
2023/10/8 東京8R 1勝 3歳以上1勝クラス 芝1600m 田辺裕信 498(+8) 54 16 9 6 18.0 3 1:33.4
2023/11/18 東京12R 1勝 3歳以上1勝クラス 芝1600m 田辺裕信 502(+4) 54 16 1 6 33.1 13 1:34.5

馬名

名前の由来が本当は『ウマ娘』であることは論を俟たないが、ジャパン・スタッドブックには「苦い+砂糖漬けのお菓子」と登録されている。

「グラッセ」のフランス語表記は「glacé」であり、本来はアクサンテギュ(´)がつく。しかし、本邦では競走馬の英語名にダイアクリティカルマークをつけることは認められていないため、つけずに登録されている。類似の例には「ユーバーレーベン(Überleben)」がいる(登録名にはウムラウトがついていない)。

英語ではアクサンテギュをつけなくともよいが、その場合は「グレイス」と読まれることがある。辞書上は「グレイス」がアメリカ英語、「グラセー」がイギリス英語だが、実際にはそこまできっちり決まっているものではない。→Tomayto, tomahto.
「é」は、「サイレントではなく、『エ』と読みますよ」という意味の記号で、「Pokémon」もその意図でアクサンテギュをつけている。同様に「Glacé」なら米英ともに「グラセー」と読んでくれるが、ついていない場合、ビターグラッセの英語実況がどちらで読まれるのかは担当者次第ということになる。

JRAの英語実況を担当するMurray Johnsonはオーストラリア出身なのでイギリス英語に近く、少なくとも彼の実況は「グラセー」と読まれる可能性が高い。

ウマ娘との共通点・相違点

3頭とも、毛色はなるべく合わせている。

『ウマ娘』では、一部の例外を除き髪の色が実馬と共通である。ウマ娘のビターグラッセは鹿毛であり、それに合わせて鹿毛の馬にその名が与えられている。

相違点として、現実のビターグラッセは牝馬である。
『ウマ娘』なんだからゲームでも女の子じゃないか、と未プレイの人は思うだろうが、実はもとの馬が牡馬の場合は耳飾りが右、牝馬の場合は左についているという違いがある[2]。ウマ娘のビターグラッセはこれが右耳についているので、牡馬想定のウマ娘であるとされていた。

距離適性と脚質は、「アオハル杯」中は中距離・先行。現実のビターグラッセは父が中距離型で先行~差し、母父が短距離で先行馬なので、うまいこと遺伝すれば似るかもしれない。
3戦目の初勝利は2000mなので原典と概ね同じだが、後方からの差しきり勝ちと、相方のリトルココンのような勝ち方であった。

『ウマ娘』の個別勝負服は、現実の馬主服をアレンジしている。ウマ娘のビターグラッセは赤(オレンジ)・白・黒で、名前の公開まではもし実在するなら「ウイン」か「(白がないが)オウケン」ではないか、と言われていた配色である。現実はもちろん、3頭共通で山口オーナーの「黒、水色一文字」になるため、相方のリトルココンには似るがビターグラッセには似ないことになる。デビュー戦では『ウマ娘』の勝負服と同じ配色のメンコを着用していたが、2戦目以降はつけていない。

血統表

ルーラーシップ
2007 鹿毛
キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo Mr. Prospector
Miesque
*マンファス *ラストタイクーン
Pilot Bird
エアグルーヴ
1993 鹿毛
*トニービン *カンパラ
Severn Bridge
ダイナカール *ノーザンテースト
シャダイフェザー
アンソロジー
2004 鹿毛
FNo.7-c
サクラバクシンオー
1989 鹿毛
サクラユタカオー *テスコボーイ
アンジェリカ
サクラハゴロモ *ノーザンテースト
*クリアアンバー
ポップス
1992 栗毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
*ポップシンガー Secretariat
Icy Pop

クロス: ノーザンテースト 4×4(12.50%)

  • 半姉に2022年福島牝馬ステークス(G3)を制したアナザーリリック(父リオンディーズ)がいる。
  • 2代母ポップスの産駒に目黒記念(G2)を連覇したポップロックがいる。

関連動画

左:122番、アンソロジーの2020が後のビターグラッセである。
右:ビターグラッセの初勝利戦

関連商品

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。

関連リンク

関連項目

  • 競走馬の一覧
  • 2023年クラシック世代
  • ウマ娘 プリティーダービー
    • リトルココン(ウマ娘)
    • ハッピーミーク(ウマ娘)
  • 山口功一郎
    • リトルココン(競走馬)
    • ハッピーミーク(競走馬)
  • 瓢箪から駒

関連Twitter

脚注

  1. *ウマ娘のビターグラッセが蕎麦好きキャラなことによる。
  2. *他には体操服に違いがある。詳しくは勝負服(ウマ娘)の記事参照。
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