メタゲーム(Metagame)とは、あるゲームにおいてゲーム外の駆け引きや戦略のことを指す言葉である。
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の生みの親、リチャード・ガーフィールド氏が作った言葉で、大雑把に言えばカードゲームの大会において流行のデッキに対して強いデッキで参加するなどの戦略を指す言葉である。
まずカードゲームではデッキの強い・弱いの幅はあるものの、どんなデッキでも何らかの弱点が出来るように設計されていることが多い(一部例外はあるが、そこまで突出するとその特定のアイテムと相性のない・悪いアイテムが全て産廃として駆逐されるため、面白みを損なわぬよう修正される傾向にある)。
よって、メタゲームとはデッキの流行り廃りを読んで、流行ってるデッキを投入するか、それとも流行ってるデッキの弱点を突いたデッキを用意するか、それとも意表を突いて誰も知らない・あるいは使わないデッキをあえて投入するか、を選択することで勝利へ近づこうとすることである。つまり、試合に入る前からゲームは始まっているのである。
スポーツで言う「(選手・チーム)対策」や、勉強で言う「ヤマ張り」といったことと似た言葉といえよう。
少々複雑になるが、前例に倣ってMTGライクなトレーディングカードゲームで例えることとする。
前情報が何もなければ、プレイヤーはカード枚数の調整やプレイングを鍛えたり戦略の練り直しを行い、ほとんどのデッキに対して強いデッキ持っていくことが大会で勝つことの最適解となる。 が、ある程度大会に出るデッキの傾向がわかっているとしたらどうだろうか?
どんなデッキが来てもそこそこに戦えるデッキも悪くはないが、例えば大会参加者の中に「A」という型のデッキを使用している人が殆ど居なかった場合、「A」を対策するカードは全くの無駄になってしまう。「A」が居ない事が予め分かっていれば、無駄になるカードを抜いてより有効なカードに差し替えることが出来る。
逆もまた然りで、「B」という型のデッキが多数を占める大会環境であると予測出来るなら、「B」への対策カードが存分に使える。
見事メタを読み切れば、大会で何人もの相手と戦う際に勝率を上げることができるのである。もちろん、逆にメタられてフルボッコされてしまい、惨敗ということもありえるわけだがこれらを含めてメタゲーム、ひいてはカードゲームの妙である。
そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキやサイドボード(サイドデッキ)を組むことが「メタゲーム」である。略して「メタ」、動詞化して「メタる」ともいう。「メタる」は英語では「hate」にあたる。
単に「仮想敵」とか「周りや世間で流行っているデッキ」、「それらに勝てるようなデッキ構築」という意味でも使われる。
事実、MTGをはじめとしたカードゲームではメタゲームによって大会を制した例は数多い。
(トーナメントという大会形式だからこそともいえるが、それだけに連戦連勝のためにメタゲームが大きく作用していることを象徴しているといえる。)
メタゲームは「流行」に左右される要素が大きいために、時期によって「主流メタ」がぐるぐる入れ替わることも珍しくない。メタゲームが入れ替わった結果、 場合によっては再び似たような状況に戻ってくることもある。この現象を俗に「メタが一周する」、「メタが一巡する」という。この循環はしばしば「食物連鎖」や「適者生存の法則」に例えられる。
例
またこうしたメタの変遷をしっかりと読み取ることで、メタゲーム変遷の中にある「メタ中」のデッキを使用せず、その変遷の外にいる「メタ外」のデッキを敢えて構築し、ダークホースとして好成績を収めることも出来る。
このような、メタを逸脱したデッキを「地雷デッキ(Rogue Deck)」と呼ぶ。相手に情報アドバンテージを与えにくく、デッキも個性的になる利点がある。
メタゲームは主にトーナメント(競技レベル)で用いられる用語であるが、カジュアルプレイ(仲間内などでの気軽な対戦)においてもメタという概念がないわけではない。例えば、友人が作るデッキの好み・傾向とわかっていれば、それに対抗するデッキを作る、というものである。
ただし、このように特定の対戦相手をターゲットにしたメタは「対人メタ」と呼ばれ、嫌われる原因となるので注意。
現在ではカードゲーム経験者をはじめ、「(ゲームが提供された)ルールとツール、そして実力の頭打ちが平等に存在する中で、ツールの相性を考えて勝負する」場合によく使われるゲーム用語として定着している。
広く知られてわかりやすい例としてポケットモンスター(ポケモン)がある。
ポケモンも何らかの弱点属性があり、そこををつくことで倒しやすくなるといったことはカードゲームにも通ずるところだろう。
流行のポケモンをいかに撃破するか、は常に要求されるものであり、育成方法・使用技も様々な型が開発されている。それに対してどう対策を取るかの応酬が日々繰り広げられており、メタゲームの典型とも言えるだろう。
また格ゲーでの「キャラ読み」や「人読み」もある意味メタゲームであろう。
「コイツはこの状況ではこの技を使ってくる可能性が高い」からこの技に強い特定行動を取る、と言った行動で相手の次行動を予測し優勢に立つ。お互いの手の内が分かれば分かる程通用する、がその読みを外してぶっぱ等の行動が取られることもある。
また、ダイヤグラムによる「キャラ同士理論上の相性」もメタゲームに該当するといえる。
上記の二例において「地雷」と言えるのは、実戦値に優れた荒らしキャラ、もしくは使用率が低く一般に対戦で使われないキャラ(やそれらの組み合わせ)や挙動で相手を掻き乱す事が挙げられる。
なれないと非常にやりにくいキャラをを駆使し、わからないとどうしようもない連携やネタなどを使って大会を勝ち進んでいく様は「地雷デッキ」に近いものがあるだろう。まあ分からん殺しに近い事もままある。
複数人のタッグチームを組む大会では有利なキャラクターでマッチングするようチーム間でオーダーの采配と読みあいが発生するところもメタゲームとして楽しまれるところの一つである。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し」
孫子 謀攻 より
こんな形で昔の偉い人もメタゲームに苦慮していたということを考えると、自分の力だけでどうしようもない状況になった暁には、敵の事情もしっかり研究せよという金言の現代版なのかもしれない。
ただし、メタゲームが成立するのは「理想的に働き、ミスがない状況」であるため、それによって簡単に相性が崩れ去ってしまう。特にトレーディングカードゲーム等はメタゲームに参加するためのパーツは高価で取引され、折角手に入れても流行に流されて短期間で有効性を失うなど、参入にはなかなか道のりが険しいところであります。
だからこそ、メタゲームはそのゲームを奥深く楽しむための豆知識や通過点としての目標程度にとらえるべきで、他者に強要したり頭ごなしに非難するのはダメであると編者はぽつりと思うわけであります。
メタゲームにのめりこむあまり、暗黒面へと堕ちるプレイヤーも多いです。読者の皆様はこんなふうになってはいけませんよ…… → ガチ厨・ファンデッカス
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最終更新:2024/05/03(金) 04:00
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