笑い・冒険・思想の三重奏
小説の面白さが横溢した
哀しくて楽しい恐怖小説
––––新潮社単行本版の帯より
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドとは、村上春樹による第四の長編小説である。
「でも本当のことを言うと、私には心がどういうものなのかがよくわからないの。それが正確に何を意味し、どんな風に使えばいいかということがね。ただことばとして覚えているだけよ」
「心は使うものじゃないよ」と僕は言った。「心というものはただそこにあるものなんだ。風と同じさ。君はその動きを感じるだけでいいんだよ」
80年代の村上文学を代表する長編の一つ。村上文学の中でも特に日本の読者からの人気が高い。
村上春樹の長編小説でも幻想的、空想的な要素が特に大きいのが本作であろう。凡百の書き手が書いてしまえば陳腐なものになりそうな剣と魔法の?ファンタジー世界や荒唐無稽なSFが春樹流に料理されており独特な味わいが漂っている。いわゆる伝統的な文学・文芸の枠組みを超えてサブカルチャーの世界に与えた影響もうかがうことができる。特に新海誠、麻枝准あたりはその典型で、彼らが中心となってかつて隆盛を迎えた「セカイ系」の元ネタ的な要素も本作に見受けれる。
高い壁に囲まれた時間の流れが死んだような世界(世界の終り)で暮らす「僕」。老博士の開発をめぐって世界の秩序を取り戻すために性と暴力に溢れた世界(ハードボイルド・ワンダーランド)に冒険に出かける「私」。この交わりそうにない二つの世界にはとある共通点があるのだが––––
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最終更新:2025/12/13(土) 06:00
最終更新:2025/12/13(土) 06:00
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