DALL-E(ダリ)とは、OpenAIによって開発された、テキストから画像を生成する画像生成AIである。
DALL-Eは、自然言語で書かれた説明文(プロンプト)を入力すると、その内容に基づいてオリジナルの画像を生成することができる深層学習モデルである。2021年1月にOpenAIのブログで初めて発表され、AI画像生成分野において大きな注目を集めた。
名前の由来は、スペインの画家サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)と、ピクサーのアニメーション映画「ウォーリー」の主人公WALL-Eを組み合わせたものである。
DALL-Eは、大規模な言語モデルGPT-3を画像生成用に変更したバージョンをベースとしている。膨大な画像とテキストのペアを学習することで、言語の意味を理解し、それに対応する視覚的なイメージを生成することが可能となっている。
2021年1月に発表された初代DALL-Eは、GPT-3の120億パラメータモデルを画像生成用に変更したものである。テキストから画像を生成する基本的な機能を備えており、複数の物体やその属性、空間的な関係を理解して画像を生成できることが示された。
初代DALL-Eは、物体の属性の変更、視点の制御、スタイルの変換など、様々な能力を持っていたが、生成される画像の解像度や品質には限界があった。また、ソースコードは一般には公開されず、限定的な研究プレビューのみが提供された。
2022年4月に発表されたDALL-E 2は、初代から大幅に性能が向上したバージョンである。より高い解像度(1024×1024ピクセル)で、よりリアルで詳細な画像を生成することが可能となった。
DALL-E 2では、以下のような新機能が追加された。
2022年7月20日にはベータ版として一般公開が開始され、100万人の待機リストに招待が送られた。同年9月28日には待機リストが撤廃され、誰でも利用可能となった。ユーザーは毎月一定数の画像を無料で生成でき、追加の生成には有料クレジットを購入する形式となっている。
2023年9月に発表されたDALL-E 3は、最新バージョンであり、前バージョンから約1年7ヶ月ぶりの大型アップデートとなった。
DALL-E 3の最大の特徴は、ChatGPTとの統合である。ChatGPTを通じて自然な会話形式で画像生成の指示を出すことができ、プロンプトの作成をChatGPTがサポートしてくれる。また、生成された画像が意図と異なる場合も、簡単な言葉を追加するだけで微調整が可能となっている。
DALL-E 3は、ChatGPT Plus、ChatGPT Enterprise、Microsoft Copilot(旧Bing Chat)、Bing Image Creatorなどで利用することができる。
DALL-Eの基本機能は、テキストの説明から画像を生成することである。「夕日に照らされた富士山を見つめる柴犬」「サイバーパンク風の東京タワー」のような具体的な説明を入力すると、それに対応した画像が生成される。
複数の概念、属性、スタイルを組み合わせることができ、現実には存在しない架空のシーンやオブジェクトも生成可能である。ただし、物体が増えると属性の関連付けを混同する傾向があり、複雑なプロンプトでは成功率が低下することがある。
DALL-E 2以降では、既存の画像を編集する機能が追加されている。インペインティング機能では画像の一部を選択して別の内容に置き換えることができ、アウトペインティング機能では画像の外側に新たな要素を追加して画像を拡張することができる。これらの機能は、元の画像のコンテクストや視覚要素(影、反射、テクスチャなど)を考慮して自然な仕上がりとなるよう設計されている。
既存の画像をアップロードすると、その画像に基づいた複数のバリエーションを生成することができる。元の画像の雰囲気やスタイルを保ちながら、異なる構図や細部の表現を持った画像を作成できる。
DALL-E 3は、ChatGPT Plus(有料プラン)に加入することで利用できる。ChatGPTの会話画面で画像生成の指示を出すと、DALL-E 3が自動的に呼び出され、画像が生成される。ChatGPTがプロンプトの改善をサポートしてくれるため、複雑なプロンプトを考える必要がない点が特徴である。
DALL-E 3は、Microsoft CopilotやBing Image Creatorでも無料で利用できる。これらのサービスでは、Microsoftアカウントがあれば誰でも画像生成を試すことができる。
OpenAIのAPIを通じて、DALL-E 2およびDALL-E 3をプログラムから利用することも可能である。開発者は、自社のアプリケーションやサービスにDALL-Eの画像生成機能を組み込むことができる。
OpenAIの公式サイトによると、DALL-Eで生成した画像の権利はユーザーに帰属し、商用利用も含めて自由に利用できるとされている。ただし、OpenAIのコンテンツポリシーに違反する内容(暴力的、差別的な表現など)や、他者の知的財産権を侵害する場合、法律に違反する場合は除く。
一方、Microsoft CopilotやBing Image Creatorで生成した画像については、商用利用の可否がOpenAIほど明確ではないため、利用にあたっては最新の利用規約を確認することが推奨される。
OpenAIは、DALL-Eの開発において安全性を重視している。学習データから暴力的、性的、差別的なコンテンツを除去し、有害な画像が生成されにくいよう対策を施している。また、実在の人物の顔が写実的に生成されることを防ぐ技術も導入されている。
DALL-E 2では、公開データセットに依存することによるバイアス(例えば、性別や人種に関する偏り)の問題も指摘されており、OpenAIはプロンプトに性別や人種を示す語句を自動的に挿入するなどの対策を行っている。
DALL-Eの登場は、AI画像生成分野に大きな影響を与えた。テキストから高品質な画像を生成できる技術が一般に広く知られるきっかけとなり、Midjourney、Stable Diffusionなど、他の画像生成AIサービスの開発・普及も加速した。
クリエイティブ分野では、デザインやイラストレーションの制作過程において、アイデアの視覚化やラフスケッチの作成に活用されるようになった。一方で、AIによる画像生成が著作権や芸術家の仕事に与える影響についての議論も活発化している。
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最終更新:2025/12/31(水) 05:00
最終更新:2025/12/31(水) 04:00
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