概要
PSPで発売されたメタルギアシリーズ。これまでのメタルギア本来のステルス要素をシミュレーションにMIXし、カードゲーム+ステルスゲームとして新たに生まれ変わった。
過去作と比べてもまるで操作や考え方が変わっており、かなり特殊なつくりになっているが、ハマる人にはとことんハマれる。
当項目では次回作のAC!D2についても解説する。
ストーリーは既存のメタルギアシリーズとは異なるオリジナルストーリーが展開される。MGSシリーズとは世界観が異なるが、ゲームボーイで発売されたゴーストバベルとは世界観を共有する。ただ、各作品間のつながりは強くないので、前作を知らなければ楽しめないというわけではない。
タイトルロゴではI(アイ)を!で表記している。ただし、通常の文章ではそのままACIDと表記されることもある。
METAL GEAR AC!D
ストーリー
2016年、合衆国。次期大統領候補といわれるヴィゴ・ハッチ上院議員を乗せた旅客機が何者かによってジャックされた。犯人の要求は「ピュタゴラス」の譲渡。合衆国が謎の言葉「ピュタゴラス」を調査したところ、それはモロニ共和国ロビト島で研究されているプロジェクトだと突き止めた。
合衆国政府は伝説の傭兵、ソリッド・スネークを召還し、「ピュタゴラス」調査のためロビト島へと潜入させる。
システム
行動はすべてカードで行う。移動、攻撃、エルードやCQC等全てカードを使って行う。
ステージの最初にカードを6枚引く。まず最初にスネーク、次に相棒のテリコが順に行動し、次は敵のターンに回る。
カードはそれぞれコストが設定されており、4マス移動するカードがコスト3、攻撃力10x4のSOCOMがコスト4等々。
全員が行動を終えたあと、1ずつ全員のコストが消費され、一番初めにコストが0になった者から行動する。
そのため、やたらに強力なカードを使いまくってコスト30も貯めてしまうと、敵に連続で行動されてしまいそのまま倒されてしまう。
各ターンに使えるカードはスネークが2枚、テリコが3枚まで。1ターンに使えるカードを増やすカードもある。
1ターンに行える事には限りがあるため、敵に囲まれるとあっさりやられてしまう。やはり本家MGSと同じく敵に見つからないように行動しなければならない。
マップは全てマス目で区切られており、銃の射程、移動距離、敵の視界、地雷の範囲などは全てマスによって決まっている。
最初は移動→敵を攻撃して排除と繰り返すだけだが、おなじみクレイモア地雷などを使えば敵を1マス後ろに飛ばせるので、その先にさらに地雷を設置するなど、工夫すれば一切銃を使わずともクリアできたりする。
カードの種類
カードゲームだけあって200種類程登場する。
移動のみができるカード、敵からのダメージを軽減する装備カード、コストを減らすカード、体力を回復するカードなどなど。
おなじみSOCOM、AK等の銃器、グレネードやC4などの爆発物からPSG1、高周波ブレードなど特殊な武装が登場する。
なんといってもファンをにやりとさせるのがキャラカード。メタルギアシリーズに登場したキャラクターがほぼ全員カードになっており、そのどれもが強力な効果を持っている。まさかまさかのジョニー佐々木まで収録されている。
問題点
PSPにて発売された新シリーズで、今までにないカードシミュレーションということもあり様々な問題点が存在する。
・処理落ちがひどい
装備、敵の状況、こちらの動き等様々な処理を行っているためか、移動・戦闘などの度にすさまじい処理落ちが起こる。
・長いステージがある
長い道のりを経て到着した先でまた入り口まで戻らなければならないステージがある。そのステージ以外にも、入り組んだ建物の中をひたすら移動しなければならないステージがある。
先述した処理落ちもあいまって、1ステージにかかる時間がかなり長い。
・ボスが少ない
MGSシリーズといえば独特の超人ボスと戦うのが醍醐味の一つだが、歴代のMGSと比べてもかなり少ない。ボスとの戦闘がゲームの見せ場である以上、もう少し居てもいいんじゃないか、というくらい少ない。
上記の問題はあるが、また違ったタイプのMGSシリーズであり、荒削りながらその魅力は確かなもの。一度手にとってみる価値は十分にあるだろう。
METAL GEAR AC!D 2
1の不満点などを改善し、本家MGSに似てクールだったイメージを一新。
エフェクトやUIなどを見やすく一新し、アメコミ調のド派手な演出と鮮やかな色彩でスタイリッシュな雰囲気に進化。
カードの種類は500以上まで増加し、「リンケージ」「トラップ」カードも登場しさらに深化。
MGS、MGAの要素を引き継ぎながら、どのメタルギアとも違う個性的なAC!Dに進化した。
ストーリー
2023年。麻薬王エスコバルの追跡から逃れるためにセレナ共和国を脱出し、アメリカへ入国したレジスタンスがFBIのダルトン捜査官によって逮捕された。そのメンバーには、「スネーク」を名乗る記憶喪失の男がいた。
「スネーク」には不法入国に加え、セレナ共和国のペレス長官殺害の疑いをかけられており、セレナ共和国からアメリカ合衆国へ身柄引き渡しを要求されていた。しかし、ダルトンは仲間の身柄と1500万ドルを引き換えに、「スネーク」に「ストラテロジック社」への潜入を迫る。
変更点、改良点
色んな意味で試作だった1を経て、様々な改良が加えられた。
・移動、格闘などの操作を簡略化
→1では行き先を決めてから移動を行っていた。立ち、ホフクの変更が移動した後にしかできず、低い位置にある穴を通ろうとすると穴の前まで移動、ホフク移動に更にカードをもう1枚消費していた。また扉の中に入ろうとしても、扉の前で一度立ち止まる→更にカードを1枚つかって中に入ると2枚消費していた。
2では1度方向キーを押す毎に1マス移動するので、カードの無駄な消費が無くなり、ゲームのテンポも良くなった。
また、1では移動後にメニューから近接格闘を行ったが、2では移動中に行えるようになった。
・ゲーム全体の高速化
1では複雑な処理をうまく行えていなかったせいか、銃を使用したりする度に処理落ちが起こっていた。
が、2では大幅に改善されている。ロードも早い。
また、1ステージがかなり長かった1に比べ、かなり短く調整されている。
・「リンケージカード」「トラップカード」の追加
「銃撃時にリンクしてダメージ+10」や、「敵からの攻撃を受けた時にダメージ-10」という効果が自動で発動するリンケージカードが追加。
発動にコストを必要としないので、とりあえず入れておいても問題ないカード。後半では「射撃時に弾薬+1」というぶっ壊れカードも登場する。
「クレイモア地雷」や「C4爆薬」とは違う「トラップカード」というカテゴリが追加。
使用すると地面にカードの絵が表示され、その上に乗ると効果が発動する。
「装備1つ破壊」「コスト+10」などのマイナス効果から、「毎ターン体力回復」や「銃撃の命中率UP」などのプラス効果のカードもある。
・BGMの変化
クールな前作のイメージを引き継ぎながらも、明るくスタイリッシュな音楽が中心となった。オープニングタイトルからとてもかっこよく、戦闘時、対ビンス戦はとくにかっこいい。必聴。
・BOSSの増加
1ではボスの数は多くなかったが、2になり数多くの特徴的なボスが追加された。
どう見てもゴリラなハラブセラップ、体が可燃体質で火を噴くゴラブ、天井に張り付いたりこちらを混乱状態にしてくるカイギディエル、ガソリン入りのドラム缶を片手で投げる警備部長ビンス。
もちろんMGSシリーズおなじみの「アレ」も登場。さらにアリーナモードでは歴代MGSキャラが様々な戦法を使い勝負を挑んでくる。全力を以て戦おう。
問題点
・一部の強力なカードによるバランス崩壊
●ジョナサンイングラム コスト0:現在のコストから-15
●ジョナサンイングラム+ コスト0:現在のコストから-20
AC!D2はカード+シミュレーションゲームであり、手札6枚とコストによってカードのバランスを保っている。
が、ジョナサンイングラムというカードが特に強力で、現在のコストから-15するという凄まじい能力を持っている。
殆どの行動(移動→銃撃)を行った後でもジョナサンさえ手札にあればもう1ターンこちらが先に行動できる。
アップグレードして+ともなると現在のコストから-20してしまう。20ともなるとほとんどのメタルギア系の強力カードを使用してもコストが0になってしまう。
入れられる枚数はアップグレード前後の2種類2枚づつだが、こんな凶悪なカードが4枚もデッキに入ってしまうせいでどんな強力なカードもタダで使えてしまうので、バランス崩壊の原因となってしまっている。
●ゴルルゴン コスト7:範囲内の生物にコスト+15
●ゴルルゴン+ コスト10:範囲内の生物にコスト+20
ジョナサンがコスト軽減ならばゴルルゴンは敵のコストをプラスする。
自分を中心に3x3の範囲にいる敵のコストを全て上げてしまう。更に自分はそれよりも軽いコストしかたまらないため、敵より先に行動できる。
基本的に強力なのに、上記したジョナサンで軽減できる範囲に収まっている上、AC!D2はスネークと味方が一人居るため、味方が効果範囲外にいれば
行動させることなく容赦なく敵を一方的に狩れる。
●ADA コスト6:3ターンの間、使用者の移動コストを1にする。
●ADA+ コスト4:5ターンの間、使用者の移動コストを1にする。
●ランニングマン コスト4:7マス移動する。
●ランニングマン+ コスト4:8マス移動する。
どちらも移動系のぶっ壊れカード。ADAは移動時にかかるコストが全て1に。ランニングマンはカード1枚とコスト4でなんと7マス、+ともなると8マスもの移動を可能にする。
このゲームは手札1枚を「使用する」か「移動に使う」か選べるのだが、移動に使ったとしてもそのカード分のコストは必ずたまるようになっている。だがADAの効果中は全て1になってしまう。
ADAの効果中には、1回だけ移動してコスト1でターン終了→コスト1なので基本的に一番最初に行動ができるハズなので、再度1回だけ移動→敵兵に近づいて先手を打って殺すという動きが可能。
敵から逃げることも、敵を無視して移動してゴールに飛び込んでしまうという荒業も可能。
コスト4で3マス前へローリング移動するだけの雷電の立場がない。
●ジェフティ コスト15:全ての装備品・効果を破壊する
●ジェフティ コスト12:全ての装備品・効果を破壊する
AC!Dには武器や防弾チョッキや攻撃の回避など、様々な装備品が存在する。ダメージを減らしたり、特殊な効果を発揮したりする効果を得たりするものがあるが、基本的にはコストとカードを使って装備する。が、このカードは1枚で敵の装備品を全て破壊してしまう。
装備型カードは基本的に装備→攻撃に同じカードが2枚必要になるし、回避系カードもコストは決して軽くはない。
そんなカードもコストもターンもかかる行動をこのカード1枚で全てなかったことにしてしまう。自分にも効果は及ぶが装備カードをつかわなければいいだけで、USE型の武器を使えば何のリスクもない。敵兵は基本的に防弾チョッキなどを装備することでこちらとのバランスを取っているが、このカードを使った途端唯の動く標的に成り下がる。
・無駄なカード、明らかに弱いカード、+による収録カード水増し
1からの引継ぎである以上仕方がないことだが、前作で効果を発揮したが今作では実用性のないカードが収録されている。
1で敵の迷彩を奪い、そのカードを装備することで敵の目を欺くという「迷彩服赤・緑・青」が引き続き収録されているが、効果は前面からのダメージ軽減など他の装備系カードの完全な下位互換となっている。
また、マスター・ミラーなどははっきり「効果はない」と明記されており、(実際何の効果もない)グラーニンにいたっては現在のコストを15にするというメタルギア系カードを使った後のケアとしてしか使い道のないカードがある。(こんなカード入れるならジョナサンを入れるだろう)
一応カードゲームよろしく、カードはパックをあけて手に入れるため、ある程度弱いカードを入れる必要があるにしてもこれではあんまりである。
関連商品
関連項目
- ピュタゴラス(メタルギア)
- 異次元怪獣ゴルルゴン
- メタルギアシリーズ
- メタルギア ゴーストバベル(ゲームシステム的には別物だが、世界観を共有する)
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