エーテル(ether, aether)とは、
- アイテール(古希:αιθήρ)のこと、「輝くもの」を表す。
- 転じて、空の輝きや星の動く場そのものを指す。
- アリストテレスが提唱した、熱の性質を引き付け不変の天上を構成する第五元素。
- 相対性理論以前に物理学で光の媒体として想定された偏在する媒質。本項で解説。
- 有機化学で、構造式がR-O-R'で表される化合物。本項で解説。
現代のファンタジー作品では天上界や霊魂から転じて、主に魔法的な源として扱われる。
エーテル(物理学)
- 光は明らかにエネルギーを持つが、エネルギーは物質に着在しているものである。
- 音や熱と違い、光は極めて希薄な気体中を問題なく通ることが実験的に分かった。
- 光が極微の物質であると仮定するとき、屈折や干渉縞の説明は出来ない。
以上から、空間は光波(横波)を伝える物質で満たされているのではないかと推論され、「場を満たす希薄な物質」という意味のエーテルと名称された。後にマクスウェルの方程式を元とするアインシュタインの相対性理論によって、光の物理学的現象の説明がより論理的に可能となり、また複数の実験的事実から、場を満たすエーテル論は否定されることとなった。
エーテル(有機化学)
有機化合物のうち、構造式がR−O−R'(R, R' は有機基、O は酸素原子)の形で表されるものを指す。エタノールに濃硫酸を加えて得られるジエチルエーテル(硫酸エーテル)に対して、1730年に初めてætherとの名称が用いられたとされる。単にエーテルと呼ぶとき、実験室で溶媒として頻用されるジエチルエーテルのみを指す場合がある。
エーテルは揮発・引火しやすく、特にジメチルエーテル・ジエチルエーテルなど低分子エーテルはそれが顕著で、取扱いには注意する必要がある。また、環状エーテルの一種のクラウンエーテルは、その環の大きさに応じた金属イオンを選択的に取り込む性質を持ち、様々な分野で応用されている。
関連動画
関連項目
- 2
- 0pt