ガンダム・ヴィダールとは、アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場するモビルスーツである。
概要
GUNDAM VIDAR ガンダム・ヴィダール |
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型番 | ASW-G-XX |
頭頂高 | 18.5m |
重量 | 30.9t |
搭乗者 | ヴィダール(ガエリオ・ボードウィン) |
動力 | エイハブ・リアクター×3? |
採用フレーム | ガンダム・フレーム |
武器 |
アニメ第2期から登場。ギャラルホルンのラスタル・エリオンが整備・調整を行い、彼の側近である仮面の男・ヴィダールことガエリオ・ボードウィンに与えたガンダム・フレーム機。
ガンダム・フレーム機の共通項である、レメゲトン第一章『ゴエティア』の72柱の悪魔の名前が名付けられていない機体であり、型番も「XX」となっている。一説には、北欧神話に登場する神「オーディン」の息子である「ヴィーザル」の別名である「ヴィダール」から名づけられたのではないかと言われている。ジュリエッタからは「自らをMSと一つにし、復讐のために本来の自分を捨て去ろうとしている」と評された。あるいは後述するシステムを考慮すると、自らMSになってしまったアイン=グレイズ・アインに倣ったネーミングであるとも取れる。
元々はガンダム・ヴィダールとしての姿をしておらず、破損した状態のガンダム・フレームをどこからか入手し、アリアンロッド艦隊に運び込んで現在の姿に組み直した機体である。この破損したフレームの出処は語られていないが、パイロットがガエリオであることと後述する真の形式番号からもわかる通りその正体はガンダム・キマリストルーパー。
ヴィダール=ガエリオが正体を明かしたことでガンダム・ヴィダールも偽装をする必要がなくなり、アリアンロッド帰還後は偽装状態の解除と共に新たな装甲へと改装され、ガンダム・キマリスヴィダールとして生まれ変わった。
特徴
V字アンテナにツインアイ、角ばってスリムな体型と、旧来のガンダムシリーズに登場したガンダム系統に近いスタイリッシュなフォルムが特徴だが、漆黒の顔に細長いピンクのカメラアイと、どこか異質な雰囲気を漂わせている。背中のメインスラスターの他に膝とふくらはぎにもスラスターを装備しており、高い機動性を誇る。
操縦システムはこれまでのギャラルホルン系のシステムでもなく、かといって既存の阿頼耶識システムでもない独自のシステム「阿頼耶識システム Type E」が使われている。その調整が難航し、序盤から登場はしていたが実際に戦いに出たのは中盤からになった。
最大の特徴は、ガンダム・フレームに元々搭載されているツインリアクターシステムに加えて、これとは別にMS用のエイハブ・リアクターを搭載していることにある。2基あればMSの動力源としては十分過ぎるエイハブ・リアクターをわざわざ新たに搭載している理由は、エイハブ・リアクターの固有周波数である「エイハブ・ウェーブ」を改変するためのダミーである。エイハブ・リアクターの独占生産をしているギャラルホルンには、当然ガンダム・フレームを含むそれまでのエイハブ・ウェーブのデータが登録されており、エイハブ・ウェーブを探知して検索されれば72機しか存在しないガンダム・フレームは自ずと機体の出自が判明してしまう。隠密裏の行動が必要だったヴィダールには必要な改修だったと云える。
メインウェポンは、刺突に特化した剣「バーストサーベル」。刀身を柄から分離させることができ、分離した刀身は爆発する。そのため、敵に突き刺して爆破するという必殺攻撃を行うことができ、機体左右のバインダーには替刃を3本ずつ搭載している。つま先とカカトにも「ハンターエッジ」という折りたたみ式の刃物を搭載しているが、こちらは「切断する」よりも「カチ割る」ことに特化している。
その他、腰前面のスカートアーマーにハンドガンを2丁、試作型のライフルを1丁装備し、遠近両面に対応した機体となっている。ガエリオはキマリスに乗っていた時と同様に、高い機動性を活かして敵に一気に肉薄し、バーストサーベルやハンターエッジでの攻撃後、一旦離脱して再度攻撃する一撃離脱戦法を好んでいるようだ。
阿頼耶識システム Type E
34話での出撃時、ガエリオは「お前の待ち望んでいた戦場だ」と中に自分以外の誰かがいるともとれる発言をしていた。その「お前」の正体はずばりガエリオの部下であったアイン・ダルトン。阿頼耶識システムの手術によってグレイズ・アインという名の怪物と化し、散っていったあの男である。「一人では勝てない存在」に対抗せんとしたガエリオの要望によってヴィダールの内部にはアインの脳をベースに、グレイズ・アインの阿頼耶識システムを補助として組み込んだ「阿頼耶識システム type E」なるシステムが搭載されている。簡単に言えば疑似阿頼耶識ともいうべきもので、パイロットの肉体動作と機体の挙動をシステムに委ねることで真の阿頼耶識に等しい力を発揮できる。アインの脳を介することによってパイロットの脳にかかる負担という阿頼耶識の問題点が解消されており、これによってガエリオは三日月・オーガスとガンダムバルバトスルプスレクスと同等の力を得るに至っている。
ただし、パイロットの脳には負担は無くとも身体に対する負荷は決して軽くない。本来の人間が認識できる反応速度を上回る阿頼耶識による機動は、エイハブ・リアクターの慣性制御でも軽減しきれず、更にアインに操作を委ねる事は自身の意識と無関係に強力なG(重力)が掛かるという事と同義であり、事実阿頼耶識システム Type Eを作動させていたガエリオはコクピットで振り回されている描写がある。
戦績
前述の通り、第33話まで阿頼耶識システム Type Eの調整に難航していたため出撃せず、34話にて初陣。コロニーの反乱鎮圧任務に出撃し、ほとんど単機で全ての敵機を撃破してみせた。その戦いぶりは、同行していたジュリエッタ・ジュリスから「綺麗」と称されるほど。
ハシュマルが復活した際にはマクギリスを追って火星に降りるが、マクギリスに対して「俺にはお前の気持ちがわからない」と問いを投げかける通信を送る。その後、加勢を求めるジュリエッタの通信に応じてその場を立ち去ったため、マクギリスとの戦いは実現しなかった。だが、結局ハシュマルとの戦いの場にも現れず出番はなかった。
次の出番は、ガンダム・バエルが封じられた秘密格納庫での戦い。バエルを起動させようとするマクギリスの前に姿を見せるが、直後にガンダム・バルバトスルプスレクスが現れたためこれと交戦。ここで初めて阿頼耶識システム Type Eを使用して真価を見せる。その後、マクギリスがバエルを起動させたため一旦退却。すぐに宇宙に上がり、装備を組み替えられガンダム・キマリスヴィダールとなる。
よって、ガンダム・ヴィダールの姿として戦ったのはたったの2回だけということになる。
余談
実はカードゲーム『ガンダムクロスウォー』における本機のイラストには「ASW-G-66」という型式番号が割り振られており、内部フレームがキマリスの物を流用している事になっている。
ただし、本編では上記のようにナンバーは伏せられており、キマリスである事が分からないように工夫されており、エドモントンでの戦闘後にキマリスがボードウィン家に返還された事が記録されている等、キマリスとは別の機体であるように扱われている。
仮に本機が本物のキマリスである場合、ボードウィン家に返還されたガンダム・フレームの正体が謎になる(第43話においてガンダム・フレームの所在が不明な家門はあるが、関連性は不明)。
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関連項目
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