三日月・王我主オーガスとは、テレビアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の主人公である。
担当声優は河西健吾(幼少期は諏訪彩花)。
通称は「ミカ(後述)」、それをもじって「ミカニキ」など。
大切に決まってるでしょ。俺の概要も、皆の概要も
火星の民間軍事会社CGS(クリュセ・ガード・セキュリティ)に買われ、非正規部隊「参番組」に身を置いていた少年。後にCGSを再構成した組織「鉄華団」のエースとなる。
その「鉄華団」の代表である兄貴分のオルガ・イツカとは幼少期からの付き合いであり、彼からは「ミカ」の愛称で呼ばれている。オルガの言う「ここではないどこか」にたどりつくことが彼の原点となっている。
オルガと比べると非常に低身長だが、これは後述の「阿頼耶識システム」手術の後遺症によるものという一説があったが、明確なソースはない。
好物はデーツに似た果実「火星ヤシ」であり、待機中などによく口にしている。たまにハズレがある。
何でもよく食べる食欲旺盛な印象があり、アトラ・ミクスタもそのような台詞を残しているが、火星出身故に生物を食べるような経験がなく、故に魚が苦手(他の鉄華団の人間も同じような反応である)。
名前の由来は字の通りだが、火星出身の三日月は当初、地球から見える月である「三日月」を見たことがなかった。
おおらかな性格で歯に衣着せぬ物言いが目立つ。やや達観した節があり、仲間の為なら犠牲も厭わない意思の強さを持った熱血漢でもあり、普段のそっけない言動に反して極めて感情的な部分もある。
その性格のためか、無意識に自分たちにとって失礼な態度をとってしまったクーデリア・藍那・バーンスタインの振る舞いには非常に辛辣な態度をとることも多かったが、クーデリアが鉄華団への依頼を継続し、金銭面で彼らを助けたことで、素直に感謝する間柄になり、以降も距離が近くなっていく描写がされている。
しかし、リスクの大きい話ばかりをとるオルガの言動には全く疑いを持たず賛同する節があった。当初はこれをやや依存した面があると取るか、それとも彼に全幅の信頼を寄せていると取るかと思われていた・・・実はオルガの方が三日月を意識している感があったが、この時のオルガの三日月への意識は決して間違っていなかった。後に明確に、オルガが三日月に引っ張られる場面が存在する。
そして何より、他人を殺すことに対して全く躊躇や抵抗がない。3話では、身勝手な行動で自分達を苦しめていた自身の上司や、己の身とMSひとつで決闘を持ちこんだクランク・ゼントをためらいなく銃殺している。後者に限っては、ミカの視点からすれば仲間の命を大勢奪ったにも関わらず謝罪の一言もなし、ただただ自分がやりたいことをやっていただけと見て苛立ちを覚えていたととることができる。
その証左に、決闘の中「大人の争いのために、子供が犠牲になることはないんだ!」と言うクランクに対して、「散々殺しといて...」とつぶやいている。
さらに、介錯と思い「ありがとう」と言葉を投げかける最中、その言葉を遮り銃を連射している。
これにはもう一つ、ミカが過去に辿ってきた道程や、そこで培われた「強くなければ生き残れない」という価値観も大きいだろう。
オルガはミカを「矛盾の塊」と称している。実際、仲間の為なら率先してその身を張る熱い意思と他人をためらいなく殺す冷たい意思は相反するものであり、それを同時に持ちうる彼は特異な存在である。達観している割に、気に食わないものには妙に感情的であるところも矛盾といえるだろう。
タービンズのラフタ・フランクランドとの戦いで交渉権を勝ち取ったことを知る直前に見せた殺意溢れる表情と、その後タービンズと協力体制を取り仲間となった後、ラフタと共に戦うことになった際、「悪いね、面倒なことに巻きこんじゃって」と自然に会話するこの差が、彼の価値観を表している。
ドルトコロニー内でアトラが捕まって暴行を受けたことを知った瞬間再び殺意溢れる表情を見せつけ話題を呼んだ。
なお、仇名のセンスが凄まじく直球である。
クーデリアに昭弘・アルトランドのことを言及する際「ガチムチ」という言葉で示している他、車両事故を起こしかけたお詫びにチョコレートを子供たちに贈ったマクギリス・ファリドに対して「チョコレートの人」、その事故で子供たちに危害を加えたと勘違いしたことから危うく三日月がブチギレて絞殺しそうになってしまったガエリオ・ボードウィンには「チョコレートの隣の人」という呼称を用いている。
仲間である昭弘はその場限りだったが、マクギリスとガエリオに関しては両名ともに呼び名を使い続けている。
「阿頼耶識システム」の手術を自発的に三度受けながら生き残っており、高い空間認識能力も相まってモビルワーカーでの模擬戦でも頭角を示している。
火星の治安維持組織「ギャラルホルン」の襲撃を受けた際、オルガにCGSの動力部として機能していた「ガンダム・バルバトス」のパイロットに任命され、同機体のパイロットとなる。
しかし、バルバトスに阿頼耶識を移植しているため、その莫大なフィードバックを受け、甚大な負担を抱えながら戦うことになってしまい、初回起動時は接続だけで鼻の血管が切れるという事態に陥ってしまう。
それでも仲間の為にバルバトスを起動し、敵モビルスーツ1機機能停止、残り2機も撤退に追い込むという凄まじい戦果を見せた。少年兵ながら、この時点で撤退中の敵モビルワーカー群を相手の射撃に対する壁として利用したり、とっさの判断で土煙を上げることで敵の視界を誤魔化すなど、戦い慣れした描写が散見される。
その後もバルバトスを愛機として着実に「君をぶち殺すガンダム」としてキルマークを重ね戦ってきた。その姿を見た鉄華団の子供達からは、良くも悪くも憧れの対象になっている。
ただし彼の強さはあくまで相手を倒すことのみに発揮され、戦局を見ることはできない。
なお、バルバトスに関しては単なる機械以上の何かを感じているらしく、彼なりの愛着を示す場面も。
阿頼耶識システムとは
ナノマシンによる外科手術により金属端子を作り、その端子と機体を接続することでパイロットの神経と機体のコンピュータを直結し、情報を脳内で処理できるようにするシステム。
長所として、三日月らのような火星の貧困により学に乏しい人間でも対応機体を動かすことができ、旧式モビルワーカーやガンダム・フレームのモビルスーツを自在に操ることができる。先述の通りの負担を除けば、ガンダム・バルバトスは初の宇宙戦にも関わらずまるで生きているかのような変幻自在の動きを実現しており、システムの強みとして出ている。
しかし、この手術は成長期の子供でなければ上手く定着させることができず、CGSでは麻酔なしで脊髄に端子を埋め込む手術をするため尋常ではない苦痛を伴う。オルガの台詞から、この手術により身体不随を起こしたり死亡した子供たちも多いことが推測される。
それだけでなく、莫大な情報量がパイロットの脳髄に負担をかけることから、1話時点では非人道的として使用を禁止されている。
ガンダムシリーズにおける「強化人間」のポジションに近いこの人体改造は、やはり一般の人間からよく思われていないようで、特にチョコレートの隣の人ガエリオは激しい拒否反応を示したり、宇宙ネズミと罵倒したりと強い抵抗がある模様。しかしそれもギャラルホルンが阿頼耶識の力を恐れて、組織外で使われないようにするためとマクギリスは言う。彼の語る「真の阿頼耶識」とは・・・?
エドモントン市街地でのグレイズ・アイン戦で過度に阿頼耶識の負担を身体にかけたせいか、片目の視力が衰え、右腕が動かなくなるという状況に陥った。三日月曰く、バルバトスに搭乗している間は見えるし動く、というようだが・・・。
CGSの所有する小型陸戦機体のモビルワーカーは旧式であるため、所属する少年たちは例外なくこの手術を受けている。「参番組」に所属する子供たちは生活難からやむなく志願した人間か、或いは人身売買された孤児「ヒューマンデブリ」であるため、非人道云々など関係ない話なのだろう。(ミカの事情は不明。少なくともヒューマンデブリの括りには入っていない)
しかし、語学を修得することすらできない子供たちは、CGSではこの阿頼耶識を埋め込まれて初めて仕事ができるというのも事実。それが火星の現状である。
鉄華団が大きく成長した2期においては、阿頼耶識なしでも子供たちが鉄華団で戦えるようになっている。しかしそれはあくまで少年兵としての仕事であり、少年たちが命を張らなければ生活できない状況に変わりはない。それどころか、「ちょっと手術すればいろいろなことができる」と新入りは阿頼耶識を軽視している節がある・・・。ハシュマルとの戦いで再び阿頼耶識の力を過剰に引き出した結果、今度は右半身全体が不随に陥っている。
彼の夢とクーデリア
そんな彼だが、将来やりたいことをちゃんと持っている。
所属がCGSである段階から農場の手伝いをしていた彼は、「将来農場の経営をしたい」という極めて真っ当な夢を持っていた。
その夢を叶える為には少なくとも読み書きの修得が必須であり、地球への航行中クーデリアの提案により、彼女を先生とし、同じく読み書きをしたいと集まった子供たちと一緒に、タブレットPCのような機械で読み書きの勉強を始めた。・・・先は長そうである。
会敵前とはいえ航行中にコクピット内で書き取りの勉強をしていることもあり、勉強熱心である。
後にテイワズの拠点「歳星」にて式典に出席した際、漢字に興味を示しており、クーデリアの教えていた言語より漢字の方が面白いと言うくらいには語学への興味が進んでいる。
この時、式典用の書を書いていた名瀬・タービンにより「三日月・オーガス」に当てられた名前が「三日月王我主」である。
彼の夢が農場の経営ということは、銃の必要のない暮らしを夢見ているともとれる。
しかし、対峙したパイロットに「お前は人殺しを楽しんでいる」と言われた時、彼の感情にある変化が訪れる。
自分でも自覚していない震えを止めようとしたクーデリアは、どこぞの兄貴に影響を受けた三日月によってとんでもないことをされてしまうのだった。すげえよミカは。
その感情の変化から、ただ守るための戦いをしていた三日月も、クーデリア達が発していた「責任」という言葉に動かされ、考え抜いて、一つの決意をするようになる。
そして、最初に彼女から持ちかけられ拒絶した握手も、地球降下前に再び求められた際、クーデリアの変化を認めてその手を握り返すのだった。
三日月はその環境からか女性の扱いに慣れておらず、男としての欲望も薄い。
現状アトラ・ミクスタのおせっかいにフォローされて漸くクーデリアに気の利いたことができる状態であり、彼に嫁ぐ女性がいたら苦労しそうである。・・・そのアトラは三日月・クーデリアの両名とともに家庭を作るところまでイメージしたりしているが。
だが、徐々に「子供」や「未来」を考えるようになった結果、アトラの願いもあり、二期終盤にアトラと致した。その後、よりによってそのアトラがクーデリアと三日月で子づくりを提案している。この子づくりの話がどうなったかは不明だが、同じ場面で、もしアトラに子供ができていたらという仮定で、三日月とアトラの双方合意で、子供の未来をクーデリアに託している。
数年後、アトラは後に三日月とアトラ双方に似た子供「暁(あかつき)」を育てている。おそらく終盤の行為で懐妊し、出産できたものと思われる。
死生観
「死んだ奴には、死んだ後でいつでも会える」。かつて三日月がオルガから聞いた言葉であり、後に三日月の死生観となっていった。
それ故に、三日月は死んだ仲間の事を引きずろうとせず、未来に進んでいく。
無論、当日まで会話していた人間が亡くなった時も同様であり―――。
「己のせいで他人を死なせてしまった」ということは嫌いなようで、クーデリアに対して不機嫌に言い放ったのもそうだが、ブルワーズとの白兵戦で被害を出してしまったノルバ・シノに対し、クーデリアへの言葉程ではないが「そいつらに失礼だ」と言葉を投げかける場面もあった。
しかし、自分に近しい人物の死を目の当たりにしたことで、鉄華団全ての歯車が狂っていく。
無論彼自身も例外ではない。
ここではないどこか
三日月の原点。
強盗殺人に身を落としたと思われる幼い頃の三日月は、オルガの言う「ここではないどこか」に辿りつけると信じ、彼の手を取った。
それは、三日月の全てを変える選択だった。
以降、全てを擲って三日月はオルガの言う場所を目指し続けてきた。
クーデリアにも一度零していたが、それは人生を大きく変え、覚悟を完全に決めるものとなった。
故に、止まらない。止まれない。
誰かが死んだとしても、オルガに詰め寄ったとしても、その「どこか」を目指し続けてきた。
ベッドもあって、食べ物もあって・・・行ってみなけりゃ、見てみなけりゃ分からない。
互いに突き動かして、互いに突き動かされて、ただひたすらに進んだ道、辿りついた光景は―――。
「そうだ。俺たちはもうたどりついてた―――俺たちの本当の居場所。
だろ? オルガ……」
オルガがその命を散らしながらも繋いだ、崩壊させられる鉄華団の仲間たちが生き残るという希望の道。三日月はその希望に向けて仲間たちを送り届けた。が、昭弘と共に殿を務めていた彼に、無情にも禁止兵器ダインスレイヴが大気圏外から撃ち込まれ、死へと追いやる決定打となった。
それでも三日月は止まらない。機体も大破、自身もいつ死んでもおかしくない状態にも関わらず、敵モビルスーツ十数機を葬り、ジュリエッタとの戦闘の最中に遂に力尽きる。その最期の姿は、最後の相手であったジュリエッタ・ジュリスの心境に大きな影響を残し、表向きは『悪魔を討ち取った』としつつも、後にジュリエッタは三日月達を「どこまでも人間だった」と評している。
ガンダムシリーズの映像で明確に戦死した主人公は初。後のシリーズで「逆襲のシャア」ラストから帰還できずMIAと認定されていたアムロ・レイや、エピローグで天寿を全うした後が描かれるフリット・アスノと、「その後」の話で死亡扱いの主人公は過去に居たが、三日月は明確な死の瞬間が描かれた初の主人公となる(よく間違えられがちだが、『ポケットの中の戦争』の主人公は、バーナード・ワイズマンではなくアルフレッド・イズルハ)。
「―――……けど、今は……」
「俺には……オルガがくれた意味がある」
「何にも持っていなかった、俺のこの手の中に……こんなにも多くのモノが溢れてる……!」
だが彼は、アトラと子を成し、その未来をクーデリアに託し、オルガが最期に切り開いた「生き残る未来」に残った団員を連れて行くと、生きる上で抱えていた望みの全てを果たした。その上先述の通り、今際の際に敵に畏怖を撒くほどの大立ち回りを見せつけ、ジュリエッタの心境にまでも変化を及ぼした。そして戦闘中に、『本当の居場所』の答えを悟り散っていった。彼自身の人生に限ってみれば、全てをやり遂げ、満足してゴールラインを切るような形での死を迎えたのだ。
それでも結果だけ見れば、もう一人の主人公であるオルガの後を追う形となってしまったが、今後本編で果たされなかった息子・暁を生きて迎えられる別の未来を見ることが出来る時が来るかもしれない。
こいつは、死んでいい関連動画だから
俺だって前より関連静画増えたし
何にも持っていなかった、俺のこの記事の中に……
こんなにも多くの関連項目が溢れてる……!!
- 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
- 鉄華団
- クーデリア・藍那・バーンスタイン(護衛対象にして語学の先生)
- ネーミングセンスの犠牲者
- チョコレートの人マクギリス・ファリド(他とは腕前が違うと警戒している) ちなみに仮面で変装したら即バレした
- チョコレートの隣の人ガエリオ・ボードウィン(↑の他) ガリガリとも
- ガンダム・バルバトス
- モビルワーカー(鉄血)
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