オーディン(Odin)とは、北欧神話に登場する神である。オーディーンとも。
オーディンの名は英語での読みで、古代北欧で使われていた古ノルド語ではオージン(Óðinn)、古英語ではウォーデン(Woden)。ドイツ語ではヴォーダン(Wodan)もしくはヴォータン(Wotan)と呼ばれる。
なお、ゲルマン諸語における「水曜日」、すなわち英語のWednesday・オランダ語のwoensdag・デンマーク語・ノルウェー語・スウェーデン語のOnsdagはいずれも「オーディンの日」に由来している。
概要
神々の一族「アース神族」の王で、北欧神話における主神、すなわち神々の頂点に君臨する最高神。ギリシャ神話におけるゼウスの立ち位置に等しい。
原初神ブーリの息子ボルと巨人族の娘ベストラの子。兄弟のヴィリ、ヴェーとともに始祖の巨人ユミルを巨人族もろとも打ち倒し、ユミルの身体から世界を、2本の木の幹から人間を創造した。
戦争と死、魔法、詩を司る神である。性格も複雑で、様々なものに姿を変える変身能力も備えていた。それにあわせて「万物の神(アルフォズル)」「禍を引きおこす者(ベルヴェルク)」「姿を変えるもの(スヴィパル)」など数多くの名前を持ち、全てあわせると数十にもなる。
知識に対して非常に貪欲で、自らを犠牲にする事もいとわない。
世界樹ユグドラシルにおいて、神槍グングニルに身体を刺し貫いた上で九日九晩首を吊るという神秘体験の果て、9つの詩と18のルーンを覚えた。この逸話にちなみ、かつてオーディンへ捧げる生贄は首に縄をかけて木に吊るし、槍で刺し貫いたという。またタロットカードの大アルカナ「吊られた男」の原型ともされる。
またユグドラシルの根元にあるミーミルの泉の水を飲み知恵と魔法を習得したが、代償として自らの片目を差し出した。このことから「隻眼の神」とも呼ばれ、失った片目を隠すように帽子をかぶった姿で描かれるようになった。
最終戦争・ラグナロクにおいては、ロキの息子である巨狼フェンリルに呑み込まれるという最期を迎える事が予言されている。
所有物
銀色に光り輝く宮殿ヴァーラスキャールヴ(Valaskjálf)に住み、そこに設えられた玉座フリズスキャルヴ(Hliðskjálf)から全世界を見晴らしている。
もうひとつ金色に輝く館・ヴァルハラ(Valhöll)を所有していて、エインヘリャル(einherjar)と呼ばれる戦士達の魂が戦乙女ヴァルキュリャによって集められている。集められた戦士たちはラグナロクに備えて、日々殺し合いによる演習を繰り返す。エインヘリャルを多く集めるために、人間の王たちを戦わせて戦死者を増やしたりもするという。
狙ったものに必ずあたる神槍グングニル(Gungnir)を所有し、ラグナロクにもこれを武器として出陣する。また九晩ごとに同じ重さの腕輪8個を滴らせる不思議な黄金の腕輪・ドラウプニル(Draupnir)もオーディンの所有物である。
乗騎は8本足の駿馬スレイプニル(Sleipnir)。空を駆け、冥府にも楽々辿り着く俊足を誇る。
ありとあらゆる出来事を把握する為、フギン(Huginn)・ムニン(Muninn)という2羽の鴉を従えている。それぞれ「思考」「記憶」を意味する彼らは夜明けに飛び立って世界中を飛び回り、夜になるとオーディンの戻り、肩に止まって報告するという。
また足元にはゲリ(Geri)・フレキ(Freki)という2頭の狼が侍り、オーディンから食物を貰っている。オーディン自身は食事を必要とせず、ワインのみを口にしているという。
創作作品などにおけるオーディン
主神というだけあって、北欧神話をモチーフに採用している作品の多くにその名が登場する。
以下に紹介するのはその一部。
- ニーベルングの指環
リヒャルト・ワーグナーのオペラ。壮大な構成である為、4日に分けて上演される。
神々の王ヴォータンとして登場。世界を支配できる「ニーベルングの指環」を手にするも、指環にかけられた呪いを恐れて所有権を放棄。また命令に背いたブリュンヒルデを罰する立場に立たされつつ、愛娘を守ろうとする姿勢も見せる。 - ヴァルキリープロファイルシリーズ
そのままアース神族の最高神オーディンとして登場。ハーフエルフから最高神に成り上がったという設定になっている。 - 仮面ライダー龍騎
仮面ライダーオーディンという仮面ライダーが登場する。但し特にオーディンにまつわる要素は見受けられない。 - 銀河英雄伝説
ゴールデンバウム朝銀河帝国からローエングラム朝の創成期に至るまでの帝都として 「ヴァルハラ星系・惑星オーディン」が登場。帝国側の登場人物が「大神オーディンもご照覧あれ」と発することもある。 - Sa・Ga2 秘宝伝説
全滅するとパーティーを復活させてくれる役目で登場。また第8世界のバルハラ宮殿にてパーティーを待ち構えており、オーディンがらす、スレイプニルを引き連れて戦いを挑んでくる。 - 新約とある魔術の禁書目録
隻眼の魔神「オティヌス」として登場。少女の成り立ちだが実はオーディン本人である。オティヌスはゲスタ・ダノールムにおけるオーディンの異説の一つ。オーディンの様々な異説は彼女が世界を改変した事に起因しており、作中では全て史実として扱われている(編纂者が記録した“事実”を世界改変の際あえて更新せず残したとの事}。 - スーパーロボット大戦OGシリーズ
敵キャラクターとしてウォーダン・ユミルというキャラクターが登場する。名前はオーディンのドイツ語名ヴォータン(Wodan)と、始祖の巨人ユミルからとられたと思われる。乗機はスレードゲルミル、こちらは同じく北欧神話に登場する巨人から名前が取られている。但し名前以外にはオーディンの要素は特に見られない。 - 聖闘士星矢
劇場版『聖闘士星矢 神々の熱き戦い』およびテレビアニメシリーズの「アスガルド編」は北欧神話をモチーフとしており、オーディーンが纏ったという神闘衣「オーディーンローブ」が登場する。 - ダンボール戦機
主人公山野バン専用のLBXアキレスの後継機で「オーディーン」という名で登場。アタックファンクションに「グングニル」を放つ。また可変型LBXでもあり飛行形態へと変形する。 - テイルズオブファンタジア
古代の神としてオーディーンが登場。PS版では主人公クレスがオーディーンとの一騎打ちに勝つことによって、専用武器「真・グングニール」が使えるようになる。 - 半熟英雄~ああ、世界よ半熟なれ~
上記のファイナルファンタジーシリーズの召喚獣のパロディとして、おでんモンスター「おーでーん」が登場する。 - ファイナルファンタジーシリーズ
召喚獣としてIII、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XI、XIIレヴァナント・ウィング、XIII、タクティクス、ディシディアおよびアニメ「FF:U」の各作品に登場する。なぜか斬鉄剣を得意技とする。グングニルはVから使用。 - 女神転生シリーズ/ペルソナシリーズ
高レベルの魔神および悪魔(ペルソナ)として登場。いずれの作品でもグングニルを持ちマントを羽織った姿。 - 遊☆戯☆王ファイブディーズ
神のカード「星界の三極神」の一枚として、トール、ロキとともに登場。詳細は当該記事を参照。 - 妖魔夜行
神々のまとめ役として登場する。
関連項目
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