ジョン・カービィ単語

ジョンカービィ

2.5千文字の記事

掲示板へ

記事編集

「John J. Kirby Jr.」とは、星条旗国の弁護士ジョン・カービィの事である。

概要

日本においてジョン・カービィが担当した訴訟で最も有名といわれるのが、1984年におこった「ドンキーコングはキングコングの著作権を侵害してる」と主張する大手映画会社ユニバーサルと、まだファミコン発売前で当時のアメリカでは弱小企業だった任天堂の間で争ったドンキーコング裁判である。

当時、宮本茂が開発したドンキーコングはアメリカ向けにコレコの家庭用ゲーム機に移植されていたのだが、ユニバーサルはコレコに対し、ドンキーコングに関する権利と利益の全譲渡と販売中止を通告。コレコを含めて同様の理由でユニバーサルに訴えられた企業が和解金をユニバーサルに支払ったのに対し、後にアタリショックで冷え切っていたアメリカの家庭用ゲーム市場をNintendo Entertainment SystemことNES（ファミコン）で復活させる荒川實とハワード・リンカーンは、ユニバーサルはドンキーコングの売り上げを掠め取ろうとしているだけだと主張。大手映画会社のユニバーサルに対して蟻が巨象に挑むがごとき法廷闘争を選択した。

この時、ハワード・リンカーンによって任天堂の弁護士に抜擢されたのがジョン・カービィである。

任天堂には法的にキングコングの著作権を侵害した点は無く、1セントも支払う義務は無いとした任天堂側に対して、ユニバーサル側の弁護士は、プロットの類似性とどちらも「コングと言う名の巨大なゴリラ」である事を理由に任天堂の著作権侵害と支払い義務を主張した。

そしてユニバーサル側の主張を聞き続けたジョン・カービィによるリアル逆転裁判が始まった。

まずゲームと映画の違いについて説明。さらにドンキーコング開発と完成に至る経緯について宮本茂の供述書と共に説明。そして蟻が巨象を倒す決定的な一撃となる前例を提示した。

ウィリス・オブライエンが監督した映画「キングコング」を製作・配給したRKOは、1975年にとある会社に訴えられた事があった。その会社は、1933年製作の映画「キングコング」の著作権保護期間は切れておりパブリック・ドメインであると主張し、RKOに勝訴した。

パブリック・ドメイン、つまりキングコングは誰も著作権を持っておらず、持つ事も出来ない状態である事を証明する前例が存在していたのである。

この前例を作った会社こそ「ユニバーサル」だったのである。え？

ユニバーサルが、持っていない権利を主張して金をせしめると言うギャングも同然のゆすりである事が証明されると法廷内の空気は一変。ジョン・カービィは訴訟の略式却下を求め、判事のロバート・スウィートは訴訟の略式却下を認めた。さらにロバート・スウィートは、著作権を持っていないと知りながら様々な企業に対して訴訟を起こして大金をせしめたとユニバーサルを非難。これまでにユニバーサルから金を脅しとられたかたちになっている企業に対して、ユニバーサルから返金を求める権利がある事を認めた。

しかし、ジョン・カービィのターンはまだ終わらなかった。
ユニバーサルのキングコングのゲームが、ドンキーコングに消防士の帽子を被せただけのコピー品であり、ユニバーサルはドンキーコングの著作権を侵害していると主張。更なるユニバーサル側の反訴もあって数年続いたこの戦いは、1986年にユニバーサルが全面敗訴し160万ドルの賠償金の支払いのほか任天堂の訴訟費用まで負担させられる事になった。つまり蟻の任天堂が巨象ユニバーサルを倒したのである。ゆすりが調子にのったら自爆したとも言えるが・・・