セルティックスウィング(Celtic Swing)とは、1992年生まれのイギリス生産・調教の元競走馬である。
概要
父*ダミスター、母Celtic Ring、母父Welsh Pageantという血統。
父*ダミスターは通算16戦4勝、うちGII2勝・GIII1勝があるものの、ダービーステークス3着、ブリーダーズカップ・ターフ2着など大舞台では勝ちきれなかった。1994年に日本に輸入された。
母Celtic Ringはイギリスで6戦1勝。母父Welsh Pageantはロッキンジステークスを連覇するなどマイルを中心に20戦11勝の成績を挙げた。
セルティックスウィングはノーフォーク公爵夫人によって生産され、英国競馬公社会長のサヴィル氏に購入された。ノーフォーク公爵夫人の娘であるヘリス師が管理し、本馬を見てサヴィル氏に勧めた専属騎手のケヴィン・ダーレイ騎手が全レースで騎乗した。
2歳時(1994年)
7月16日の未勝利戦(芝7ハロン)でデビューすると4馬身差のセーフティーリードで勝利した。続く10月8日のハイペリオンステークス(芝7ハロン)ではのちのジャパンカップ優勝馬Singspielが出走してきたが、これに8馬身差をつけて圧勝した。
そして10月22日のレーシングポストトロフィー(GI・芝8ハロン)では日本でもいろんな意味でお馴染みの*アヌスミラビリスが相手になると思われたが、これに直線で12馬身差をつけて圧勝した。
ここまでで3戦全勝、つけた差の合計は24馬身。文句なしにカルティエ賞最優秀2歳牡馬に選出された。
シーズン終了時点で既に本馬は超大物と誉れ高く、セルティックスウィング陣営は早くも「Nijinsky以来の三冠馬を目指す」と宣言した。
しかし、その能力の高さと激走により早くもガタが来ていたことに気づいていた者はまだ少なかった。
3歳時(1995年)
3歳時の初戦はグリーナムステークス(GIII・芝7ハロン)となり、のちのGI2勝馬Bahriが相手になった。ここでは勝利するが、1馬身1/4差とこれまでと比べて差が縮まっていた。
それでも三冠初戦の2000ギニーステークス(GI・芝8ハロン)では単勝1.8倍というかなりの一本被りとなり「最低でも8馬身差は付けないと勝ったとは言えない」とまで言い切る解説者もいた。しかし、セルティックスウィングはやや出遅れながら徐々に順位を上げ一度は先頭に抜け出すも、Pennekampにアタマ差競り負け、早くも三冠の夢は潰えた。
次戦はダービーステークスではなく、フランスのダービーに当たるジョッケクルブ賞(GI・芝2400m)が選ばれた。このときにはもうセルティックスウィングの足に不安があるのが判明していたので、固いエプソムの馬場より、少しでも柔らかいシャンティイを走ることを決意したのである。レースでは先行から直線で抜け出しPoligloteに1/2馬身差競り勝った。2歳時ほどの派手さはなかったが、2歳チャンピオンの矜持を見せた。なお、本場のダービーステークスでは「神の馬」*ラムタラが勝利した。
次走は競馬関係者の強い要望によりアイリッシュダービー(GI・芝12ハロン)に出走したがセルティックスウィングは燃え尽きたかのような8着に終わり、さらにレース後に故障が判明。1年間復帰の機会をうかがったが回復はかなわず、そのまま引退することになった。
通算7戦5勝。最後は尻つぼみに終わったが、2歳時に見せた圧勝劇が色あせることはないだろう。
種牡馬として
引退後は英国とオーストラリアでシャトル種牡馬として供用された。
産駒にオーストラリア最強スプリンターのうちの1頭で日本のスプリンターズSも制したTakeover Target(テイクオーバーターゲット)とフランスを中心にマイルGIを3勝した牝馬Six Perfectionsを輩出し欧州2歳最強馬の威厳は保った。ただしTakeover Targetは騸馬だったので後継種牡馬は残せず、2010年に大腸炎のため18歳でこの世を去った。
血統表
*ダミスター Damister 1982 黒鹿毛 |
Mr. Prospector 1970 鹿毛 |
Raise a Native | Native Dancer |
Raise You | |||
Gold Digger | Nashua | ||
Sequence | |||
Batucada 1969 黒鹿毛 |
Roman Line | Roman | |
Lurline B. | |||
Whistle a Tune | Double Jay | ||
Siama | |||
Celtic Ring 1984 黒鹿毛 FNo.8-c |
Welsh Pageant 1966 鹿毛 |
Tudor Melody | Tudor Minstrel |
Metelda | |||
Picture Light | Court Martial | ||
Queen of Light | |||
Pencuik Jewel 1974 鹿毛 |
Petingo | Petition | |
Alcazar | |||
Fotheringay | Right Royal | ||
La Fresnes | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Court Martial 4×5(9.38%)、Owen Tudor 5×5(6.25%)、Fair Trial 5×5(6.25%)
主な産駒
- Takeover Target (騙 母 Shady Stream 母父 Archregent)
- 2004年サリンジャーS(豪GI)、2006年ライトニングS(豪GI)、2006年ニューマーケットH(豪GI)、2006年スプリンターズS(GI)、2007年ドゥーンベン10000(豪GI)、2009年T.J.スミスS(豪GI)、2009年グッドウッドH(豪GI)、2006年キングズスタンドS(英GII)、2008年ウィンターボトムS(豪GII)、2005年サマーS(豪GIII)、2008年クリスフライヤー国際スプリント(シンガポールGIII)、2008年A.J.スカヒルS(豪GIII)
- 2006年豪州最優秀短距離馬、2006年グローバル・スプリント・チャレンジシリーズチャンピオン、2006~08年豪州最優秀国際活躍馬、豪州顕彰馬
- Six Perfections (牝 母 Yogya 母父 Riverman)
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関連項目
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