一枚絵とは、一枚の絵・イラストのことを言う。
媒体によって白黒・カラーといった色の有無や多寡は問わないが
書籍においては1ページ丸ごと使われているものが多い。
概要
古くは一枚の紙で単体として完成している「浮世絵」を指す言葉として存在していた。複数の紙で構成された続き絵や、本の挿絵などと区別する意味合いであった。
いわゆる多くの芸術としての「絵画」でも、連なって一つになる作品の一部などでない限り「一枚絵」であると言えるかもしらない。だが絵画はそもそも単体の物の方が多いので、「単体の絵画」をあえて「一枚絵」と表現することはあまりない。
浮世絵の他には、例えばビデオゲームなどの分野において使用される。ゲームのプレイ中は普通、様々な画面要素が集まり変動して全体の画面を構成するが、「イベント」や「エンディング」などの特別な場面では、印象的なシーンを演出するために、画面全体~大半を占める一枚の単体の絵で画面が表現されることがある。これを「一枚絵」と呼ぶことがある。
ポスター、宣伝広告などインパクト・センスのあるものは絶大な効果を発揮しやすい。
人物がおらず背景や模様だけの一枚絵は、単純に素材として用いられる場合も多い。
漫画・イラストでの一枚絵
通常の漫画にあるコマ割り[1]などはされておらず、一枚の絵で完結するイラストのこと。一つの絵の中でキャラクターの動きや背景、あるいはストーリーまで透けて見えるように描かれており、一枚の絵でどれだけのことを表現できるかが漫画家・イラストレーターのセンス・腕の見せ所でもある。
漫画では『ONE PIECE』のように表紙を飾るのに使われたり、作品のイメージを詰め込んだ宣材用イラストとして使われている。また、アニメなどではエンドカードとして一枚絵を使う場合も多い。
必ずしも作中の世界観・進行中のストーリーと連動しているとは限らず、変わったコスプレやシチュエーションなどファンサービスといった部分もある。文字を併記し紹介・設定資料として使われるものもある。
連載雑誌における漫画、および各話が始まる部分に描かれる、1ページを丸ごと使ったものは「扉絵」とも呼ばれ、未読者を作品に惹きつける要素にもなりうる。(→扉絵)
左右の2ページ領域を使ったダイナミックな一枚絵は「見開き」と呼ばれ区別される場合も多い。
ファンブック・公式ガイドブック等においてはカラーの一枚絵[2]・各話の扉絵を集めた画集もある。
「挿絵」の場合は広義となり、小説や文中・教科書に小さく添えられる一枚絵も含める。
ゲームにおける一枚絵
アドベンチャーゲームなどではイベントの際に表示されるイラストのこと。エロゲではいわゆるCGギャラリーに登録されるイラストのことを指し、収集の対象になる。画面いっぱいに表示されるイラストには原画家の魂が込められている
ゲーム内の重要イベントの際に豪華な一枚絵を用意することはPCゲーム黎明期から行われてきた手法であり、ムービーが入れられるようになった昨今でさえ、イベント=一枚絵の回収ポイントという位置づけは変わっていない。通常パートは立ち絵とウィンドウメッセージでゲームを回していき、いざ見せ場となった時にはイラスト担当の力のこもった一枚絵で一気に雰囲気を盛り上げるのは日本のアドベンチャーゲームのセオリーとなっている。
ちなみにエロゲでの一枚絵は、一枚絵と言いつつ差分が多数あることが普通で、キャラの表情や細かい動作・背景(時間帯別)など微妙に違った一枚絵が複数用意されて組み合わせる。ただし、差分の切り替えは一瞬でアニメーションはしないのが普通である。
現在ではアドベンチャーゲーム以外にも一枚絵を使うゲームも多くなっており、例えばRPGでフィールド切り替えの際に新しいフィールドのイメージイラストの一枚絵を挿入して雰囲気を出すなどの手法で使われている。
その他、必殺技を発動する際などド派手に挿入されるものは「カットイン」と呼ばれる。
(→カットイン)
VOCALOIDカテゴリにおける「一枚絵」
ニコニコ動画のVOCALOIDカテゴリでは、イラスト(またはフォット)一枚でできている動画のことを「一枚絵」と称している。要するに、PVや映像作品ではない動画のことをいうので、厳密には「動画」とは言えないが、ニコニコ「動画」に投稿されている以上、それも動画ということになっている。ボカロリスナーの間には、「一枚絵」派と「PV」派が存在し、影で熾烈な鍔迫り合いを繰り広げている(その一端は、例えば週刊ボカランのコメント欄でおりおり観察することができる)。
また、イラストは一枚だけなのだが、それを拡大したり動かしたりすることで、動画にしている作品もあるが、これを「一枚絵」に含むかどうかは判断の分かれるところであろう。
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関連項目
脚注
- *簡易的にコマ分割されて2枚以上の一枚絵、世界観やキャラクターが並んでいる場合はある。
- *巻頭カラーであっても単行本においては白黒印刷にされてしまう場合もあるが、ファンブック等においては連載当時のカラーで掲載してくれるものもある。
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