十角館の殺人とは、小説家・綾辻行人のデビュー作である。毎回驚きのラストが展開する「館シリーズ」の一作目にあたる。
探偵役は島田潔。綾辻の恩人である島田荘司と彼の作品の探偵役、御手洗潔の名前のもじりであるが、館シリーズが長期になるとは思わなかった綾辻が適当に付けた名前であり本人は後悔している。
ちなみに『「じっ」かくかん』ではなく『「じゅっ」かくかん』と読む。
概要
- 奇妙な館を設計し続け、やがて焼死した建築家・中村青司。彼が住んでいた孤島を訪れた大学の推理小説研究会の一行だが、やがて本物の殺人事件が起こってしまう。事件はやがて、まるで「そして誰もいなくなった」のようになっていく。限られた登場人物の中で、犯人は一体誰なのか。
- 登場する推理小説研究会のメンバーは全て有名な推理小説作家の名前で呼ばれる。
- 作者自らが読み直してから「あまりの下手さに逃げ出したくなった」と言うように、デビュー作と言うこともあり批判される面も多い。とはいえ現在でも新本格の中での代表作とされる一冊である。
- また、2007年に出版された新装版では、登場人物のもっとも衝撃的な告白がページをめくったときにポツンと目にはいるようになっている。改稿もされているので、はじめて読む人はどちらかといえば新装版を読んだほうがいいだろう。
- 清原紘により「コミックリメイク」と銘打たれた漫画化が行われ、2019年から2022年にかけてアフタヌーンに連載された。単行本は全5巻。最大のトリックも漫画ならではの方法で再現されている。
- 2024年にHuluで実写映画化が発表。果たして実写映像であのトリックをどう再現するのか注目されている。
館シリーズに登場する館の数々
- 十角館の殺人……館そのものから家具、食器に至るまですべてが正十角形の館
- 水車館の殺人……幻視する画家が住んでいた、巨大な水車が設えられた館
- 迷路館の殺人……ある部屋からある部屋まで必ず迷路を通らなければならない。各部屋にトイレがある館
- 人形館の殺人……家のそこここに人形が佇む日本家屋
- 時計館の殺人……柱時計の形をした、108の時計コレクションが飾られた家
- 黒猫館の殺人……黒猫づくし、というわけではない。しかしもっとも手間のかけられた館である。
- 暗黒館の殺人……湖の小島にある暗黒館。内装も外装も全て黒く塗られている。
- びっくり館の殺人……壁一面がびっくり箱の館には、不気味な老人が住んでいた。
- 奇面館の殺人……奇妙なお面だらけの館。招待客は仮面で顔を隠さなければならない
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